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Go Ahead !!

作者:ピノ
私はなんで小説を書き始めただろう。
誰も居ない部室でふと思った。
なんでこんなことを思ったのは簡単だ。
目の前にあるのは真っ白のPCの画面。
書こうとしていたのは、来月に迫った文化祭に出す部誌の原稿。
だけど、全く書けない、一文字も思い浮かばない。
原因はなんだか分からない。ただ、何も書けなくていつまでも文字が書き込まれないまま真っ白な画面の前の中で悩んでいるのだ。
もし、このまま原稿を仕上げないと部長である友人から口ではいえないくらい恥ずかしい罰を受けることにある。
具体的にいえば、コスプレさせられて学校一周引き回しの刑とか……
考えただけで、身震いしてきた。
なんとかして原稿を仕上げないといけないっていうのに……
ふと部室の周りを見回す。
部室はもともと教室だった場所を無理やり2分割したものだからあんまり目新しいモノはない。
違うものと言ったら部室の両側にずらりと並ぶ本棚とそこに隙間なく入っている様々な本たちだ。
本はもともと図書室にあったものだったり、先輩やらなんやらが置いていったりするものだ。
歴史も結構長いためか、結構な数の本がある。
ジャンルも様々で、ファンタジー、SF、恋愛、ミステリーといった小説から外国の神話や民謡や昔話といった類の本、はたまたなんだか題名が英語で書かれたやたら分厚いものまで並べられている。
私はその本棚に近づいて、一冊の本を開く。
その本は、私のお気入りの本で、何事にも本気になれなかった少年がとある組織と異世界人との戦闘に巻き込まれ、その戦闘にいた少女を救うことをきっかけに少年が住む世界と異世界との戦闘に巻き込まれていくというSF小説だ。
少年は少女やその仲間と一緒に異世界との様々な問題を解決していく中で、自分自身の本気をみつけていく。
そして物語の最後では、異世界と全力でぶつかり、そのことによって互いを分かり合い和解する。
この物語で私が好きだと思うのは、少年が何事も全力でなれないと言いながら、全力になれることを必死に探しているところだ。
全力になる、すなわち本気になるってことは、それを失うと何もないってことだ。
それはすごく怖いことだと思う。
だって、その目標がなくなってしまったら自分は何をすればいいのかわからなくなると思うからだ。
それでも前へ進むことを望み前へ行く少年は、羨ましく思う。
自分は、本気になれることはあるの?
私は、振り向いてさっきまでじっと見つめていたPCにそう呟いた。
小説を書くってことだって、今まで本が好きだった延長線上なだけで、本気になれるのかと問われれば微妙だ。
ただ物語を書く事は楽しいと思う。
そして、物語を通して何か自分を思っていることを伝えたいと思う。
ただ、それを否定されるのは怖い。
友達に見せたりするものは、自分のことを知っている人に対して書いたものだから怖さも半分くらいだった。
だけど文化祭に出すということは、知らない人のも目にもとまるってことだ。
これが何かの小説なら誰かに「面白かった」なんて言われるかもしれないけど、現実はそんなことない。
きっと「面白くない」とか「下手」とか言われるんだ。
いや、それすら言われないでゴミ箱のなかにポイと捨てられてしまうことだってありえる。
うまく書こう、面白く書こうと思う、そうなるにつれて体は重くなって全く手が進まなくなる。
全力を出すってそんなマイナスなことも全部背負っていくことなんだろうと思う。
私にはとても無理だ。
逃げちゃおうか。
そんな考えが頭の中を過ぎる。
逃げればそんな恐怖から逃れられる。
コスプレ校内一週は確かに嫌だけど、人の噂も七五日。
恥も一時的なものだ。
だけど、頭の中でもう一人の私が言う。
「Go!ahead!!」
前に進め!!
私の好きな小説の主人公がいうセリフで、私が一番気にいっているセリフだ。
前に進め!困難だろうが、恐怖だろうが殴り飛ばして行け!
でも怖い。
だけど、もう一人の私は笑っていう。
だけど、君は、そこに行きたいんだろう?
私は、本棚を見上げた。
部室の天井まで届く本棚。
そこにぎっしりと埋め込まれた本たち。
そして本棚の最上段には、いままでこの部活にいた先輩たちが書いてきた部誌が収められている。
私と一緒の年代の人たちが私と同じように悩み、苦しみだけど一歩を踏みしめて書いた物語だ。
初めてこの部室に入ったとき、私はそれを読んで感動した。
確かに、本屋さんで売っている小説に比べれば、文章だって物語の構成だってそんなに上手くない。
だけど、その不器用な文章には「この物語を伝えたい」という気持ちがすごく込められていた。
私もこんな物語を書きたい。
そう思って、その日のうちに入部届に自分の名前を書いて出した。
私は小さく笑う。
そうだ、私は書きたくてこの場所に居るんだったなぁ。
忘れていた思いを思い出したとたん、急に頭の中で物語が動き始めた。
私は、PCが置かれた席に戻りキーボードを打ち始める。
いままで書けなかったのが嘘のようにどんどん広がっていく。
きっと出来上がった物語は不器用なものだと思う。
だけど、それは私の今の正直な思いで、今の私の全力だと。
そして、それがきっとこれを読んだ誰かに伝わると信じている。
私はようやくスタートラインに立っていることに気がついた。

初めまして、ここでは初めての投稿となります。
生暖かい目で見ていただけると幸いです。
作者、作品ともどもよろしくお願いします
ではでは!

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