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童話シリーズ

不器用夫婦の結婚

あるところに怖がりな女の子がいました。


彼女は、お父さんとお母さんがいません。

けれども、優しいお祖父さんとお祖母さんに育てられました。


女の子は、家族仲よく幸せに暮らしています。

だから、なんで周囲のものが怖いのか、女の子は分かりませんでした。


彼女は、知らない人がお客さんとして来ると、挨拶をして自分の部屋に逃げて行きました。

ある時は、大きな音がすると飛び上がるようにして驚きました。

更には、暗闇の中を一人で歩くことさえ嫌がりました。


それでも女の子は、一人で本さえ読めれば満足だったのです。


そんな日常は、あっさりと壊れてしまったのです。

それは近隣でも恐ろしいと評判の領主さまとの結婚のお話でした。


彼女は、村に住まうものとして渋々、話を受け入れました。

お祖父さんとお祖母さんは、恐ろしいと評判だけれどもあの人は悪い人じゃない、

けれども、どうしても辛くなったら戻っておいでと言ってくれました。

女の子は胸があたたかくなり、却って頑張ろうと思えました。


女の子は領主さまと初めて会うことになりました。

その男の人は、確かに厳めしい顔をしていて、無口な男でした。

彼女は、こんな人とやっていけるのか心配になりました。


けれども、お祖父さんとお祖母さんの言うことを信じてみたのです。

思い切って、庭に咲いている花が綺麗ですねと言いました。

そうすると、領主さまは付き人に一輪花を取ってこさせました。

そうして、貴方に差し上げますと言いました。


女の子は怖い人じゃなくて、不器用な人なんだと思いました。


そうして、少しずつお互いのことを知っていったのです。


彼は、緊張すると顔が引き攣るタイプだそうです。

女の子は、私も声が出にくくなると言いました。

お互い不器用ですねと領主さまは言いました。


ある時、暗がりから急に表れた領主さまに女の子が叫び声を上げてしまったことがありました。

しょんぼりする彼を彼女は、一生懸命慰めました。

女の子は自分は怖がりなので、びっくりしただけですと言いました。

それでは私があなたを守りましょうと領主さまは言いました。


そうして、亀の歩みのように少しずつ2人は仲良くなりました。

そしてとうとう、晴天の青い空の下結婚式を挙げました。


女の子は怖がりであることを村の人に知られていたので、

領主の妻としての役割を果たせるか心配されました。


彼女が意外と上手にお客様を接待したり、お茶会の手配をしていました。


あんなにびくびくしていたのに、大変じゃないのとある人に聞かれると、

夫が側にいなくても、守ってくれる感じがするから大丈夫と言いました。


ごちそうさまと、その人は肩をすくめました。

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― 新着の感想 ―
[一言] こんにちは! 「怖がりの女の子」⇒「領主様との結婚」⇒「恐ろしいと評判」⇒「ハッ! 領主さまは人間じゃないんじゃ!?」 ……と思いましたが、そんな事はなかったですねー。 単に二人とも不器…
[一言] ほっこりする、いいお話でした。 二人共不器用ゆえに勘違いされるけど、でも、少しつづ距離を縮めていく様子がとても好感が持てました。 こういう夫婦っていいですよね? 憧れます!
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