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俺にはアンタしかいないんだ
作:神風





よぉ、元気かぃ?



あぁ、そういやアンタとしゃべるのはこれが初めてだな



あんだけ同じ部屋にすんでたってのにな



え?俺のことなんて知らないって?



無理もねぇ、アンタにとって俺なんかただの空気と同じなんだろさ



でもな、居候だった俺にとってもアンタは生活の全部だったんだ



アンタと同じ明かりを浴びて、同じ空気を吸って、同じテレビ番組を見た



そして時々アンタの温かい肌に触れさせてもらった



そんときアンタはいつも俺をウザそうに払いのけたよな



俺がアンタにずっと触れることができたのはアンタが寝てる間だけだった



いい迷惑だったって?



そりゃそうだろうな



だが俺はアンタがいなきゃ生きてけないんだ



またここに居させてくれよ、お願いだ



冬になる前には出ていくさ



家族はだって?



どいつもこいつも死んでったよ、殺されてな



まぁ、人を刺してその血を吸っていきてたやつらだ



いつかはああなるだろうと思ってたよ



…でもいいやつらだった



ブンブンいわせてうるさいやつらだったが、いいやつだったんだ…



家族だった



あいつらが死んだ日、俺は…



す、すまねぇ!こんなコト、アンタに言う話じゃなかったな。忘れてくれ



とにかく、ここに居させてくれよ



…?なんだよ、恐い目すんなよ



確かにつきまとってるようで気持ち悪いかもしれねぇな



…だがおれにはアンタしかいないんだ、頼むよ



おいおい、その振り上げた手をどうする気だ?まさか俺を叩くのか?



わかったよ、そんなに俺を嫌ってるなら出ていくさ



…思い出にすがっちまっただけなんだ



?!



うわ、あぶねぇな!いきなり手をふるなんて何考えて…



おい…やめろ…



そんな物騒なもん向けるなって!



俺を…俺を殺す気なのか?



わかった!俺が悪かった!



だから、殺さないでくれ!



やめろ…よせ…



やめてくれぇ!


――ぶしゅぅぅ


ぎゃぁーー!!ぁぁ……



…パタ





「ママー、蚊やっつけたー」

「あ、そのキンチョール新品でしょ!使いかけのを使いなさいって言ってるじゃない」














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