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  月が泣く 作者:橘。
第四話 白 -宰相-
 
 書斎のドアがノックされる。するとすぐに部下が顔を出した。

「樒様。榛将軍です。」
「通せ。」
「はい。」

 数分後、部下に連れられ将軍が顔を出す。彼は一言「失礼する。」と口にして、樒の前に立った。

 でかい図体で立たれては私の書斎も息苦しい。そのほとんどが筋肉なのだから呆れたものだ。

 樒は書類に走らせていた筆を置いた。

「お互い忙しい身だ。用件があるなら手短に願おう。」
「うむ。例の客人の事だ。宰相殿。何故王に報告しないのだ。」
「得体の知れない人物を簡単に王に合わせるわけには行かないだろう。彼のことはもっと調べる必要がある。」

 樒が言うと、榛はにこりともせずに言葉を続けた。

 まぁ、暑苦しい髭面が笑う所など見たくもないが。

「会わせる事が出来ずとも、城へ連れてきた事を報告するだけなら問題あるまい。私の部下達の間ではそれを不満に思う者も出てきている。」
「部下の不満ぐらい御する事が出来ずに将軍が務まるのかね。」
「本来なら王からお褒めの言葉を頂戴する所。不満に思っても仕方あるまい。」

 樒はその言葉を鼻で笑った。

「わざわざそんな事の為に執務中の私の書斎を訪ねたのかね?将軍殿は随分とお暇があると見える。」

 すると将軍の眉が動いた。眼光が鋭くなり座っている私を見下ろす。
 だが、いくら睨みを効かせようとそんなものは何の役にも立たない。逐一他人の言葉に反応を示すなど幼稚な証拠だ。

「しばし待っていただければ、いくらでも王から兵士達へ褒美の言葉が与えられよう。」
「・・・。」
「もう良いかね?」
「あまり独断で何でもお決めにならない方が良い。そなたを不信に思う者も出よう。」
「覚えておこう。」

 将軍はすぐに踵を返して書斎を出て行った。

 政治の事など何も分かっていない筋肉の塊のくせに、私に指図するなど失礼極まりない。
 将軍という地位を勘違いしているようだが、駒の頂点にいるだけだ。国を動かす政治の前では何の役にも立たない。頭を使う事の出来ないような奴らは黙って従っていればいい。

 奴等は何も分かっていない。
 お褒めの言葉だと?そんなものが何になる?

 王へ不老不死の男の事を報告したとて、それば王の欲望を満たすだけに過ぎない。こちらには何の利もないのだ。

 不老不死だぞ?誰もが憧れる永遠の命。それを手に入れる為に私財を投げ出す金持ちはこの世界に山ほどいる。これを利用しない手はない。

(せいぜい無能な王に尻尾を振っていればいい。)

 私は違う。王でさえも十分に利用させて貰うさ。




  *  *  *

 翌日、朝食を終えると鳴月は自分で腹の包帯を巻き直しながら銀を呼んだ。

「銀。お前みどりとコロナ連れて城見に行ってこい。」
「城を?」
「今日は崔の祝日だから観光客が多い筈だ。城の周りに居ても怪しまれない。」
「・・あぁ。」

 そしてすぐにみどりに向き直る。

「みどり。」
「何?」
「お前は城に登れるか見てこい。」
「分かった。」

 みどりは素直に頷く。
 だが、銀はそうはいかなかった。

「城壁を登る気なのか!?」
「だから出来るかどうか見て来いと言ってるんだ。登るだけなら俺やお前よりみどりの方が得意だろう。見て無理と判断したならそれでいい。」
「・・・。」
「つべこべ言わずにとっとと行ってこい。」
「・・分かった。」

 鳴月は城へ侵入する気らしい。巨大な敵を相手にするのだ。どんな事でも可能性があるなら探るべきなのだろう。
 そう思い直し、銀は二人を連れて宿を出た。





 城へ真っ直ぐに続く大通りは沢山の人で賑わっている。今日が祝日というのは本当のようだ。おまけに気持ち良い位の秋晴れだった。
 銀達が城の近くまで着くと周りでは観光客達が城を見上げている。城の周りは兵士達が警備している為、流石に城壁へ近づく事は出来ないが、二百メートル程離れた位置までなら一般人も近づく事が出来た。
 銀も城を見上げると、改めてその大きさと美しさに感嘆の声を漏らした。

「凄いな・・・」

 三階建てのその建造物は高さこそ他国の城よりないものの、面積の広さは他に類を見ない程だ。
 支柱と屋根は深紅で統一されていて、真っ白な外壁に実に良く映えている。良く見れば屋根の先端や欄干の角には金の装飾が施されており、一階の壁には円形をした透かし彫りの窓枠もある。
 城の美しさを競ったなら恐らくこの飛揚城が一番に違いない。

 城の正面は真っ直ぐに東を向いている。大陸最西端に位置するこの国では日の出が最も遅い。その為東から登る太陽を重要視する習慣があった。城が日の出る方向を向いているのはその為だ。
 恐らく最上階に壁が無いのも同じ理由だろう。四面全て漆塗りの木の襖になっていて、開け放せばどこからでも日の光が入るようになっている。

 銀達はゆっくりと城の周りを歩いた。観光客も多い上に、それを目当ての売り子の姿もちらほら見える。この人出なら一日中城を見ていたって怪しまれることは無いだろう。
 ただ、城を登る場所を探すとなるとそれはまた別の話だ。

 すると、みどりが銀の袖を引いて小さな声で言った。

「多分どこからでも登れる。」
「・・・。」
「兵が居なければ。」

 確かに、城の周りには一定間隔で兵が配置されている。出入り口の周りだけでなく、外壁だけが続く場所にも居るとなると難しい。
 城の周囲には木なども生えておらず、城は綺麗な長方形をしているので死角もなさそうだ。

「そうか。とりあえず一周してみよう。」

 西の海側、つまり城の裏まで来ると兵の人数が増えていた。西側には裏口とその左右に兵が出入りする通用口が二つあるからだ。裏口は城の使用人や荷物を搬入する為のもので、今も荷物を運ぶ人々が出入りしている。王族や役人以外は裏口から入るのが決まりなのだ。

「銀様。」
「どうした?」
「どうして あの人達は一般の人なのにお城に入れるんですか?」
「あぁ。あれは城に食料なんかの必要な物を納めている商人達だよ。」

 コロナの言葉を受けて、改めて裏口を見る。常に人が出入りしている入口。兵とその横に役人が二人立っていて、何やら書類に書いている。恐らく業者と荷を確認しているのだろう。

「・・・そうか。」

 兵よりも役人の方がやり過ごすのはずっと容易い。

 三人は城を一周したが、北側は南側と同じく外壁が続いているだけの構造だった。
 その日はそのまま宿へ引き返し、翌日再び銀は一人で城へと向かった。





「イル。」
「違う。ウ、ィ、ル。」
「ウイル。」
「うーん。おしい。」

 ウィルは上手く発音できないみどりに自分の名前を教えている。一方みどりは匙で炒飯を突っつきながら、懸命にウィルの口元を見て練習をしていた。

 ウィルとロブの二人が協力してくれる事になってから早三日。情報交換の為にと、俺達は宿の部屋で昼食を食べていた。
 だが、みどりを見るなりウィルはみどりが可愛いのか、隣の席に座って構い始めたのだ。そのほほえましい光景に、誰も文句は言わずそれぞれ食事を進めている。
 ロブも後から食事の載ったトレイを持って部屋に入ってくると、空いていた銀の隣に座った。

「そういや、櫟って文官知ってるか?」

 テーブルの上に皿を並べながら、そう言ったロブの言葉をみどりが首を傾げながら復唱した。

「イチー?」

 聞き間違えたのか上手く言えないだけなのか。そう口にしたみどりを見て、ウィルが顔を崩す。

「イ、チ、イ。なんでお前そんな舌ったらずなの?ちょー可愛いんですけど。」

 みどりの頭をフードの上からぐりぐりと撫でるウィルを鳴月が怪訝な表情で見た。

「・・お前ロリコンでゲイなのか?勘弁してくれよ。」

 ウィルは心外だと言わんばかりに鳴月を見返す。

「失礼だな。俺は女が好きだ。だが、人として可愛いものを愛でるのは当然だろ?」
「変態。」

 にべもなくそう言い放つ鳴月の言葉をまたもやみどりが拾う。

「ヘンタイって何?」
「変態ってのは、せ・・」
「子供になんてこと教えてるんだ!お前は!」

 銀はみどりの疑問に答えようとした鳴月の頭を突然はたいた。鳴月は思いっきり銀に不機嫌な顔を向ける。

「痛ってぇな。」
「当たり前だ。反省しろ。」

 みどりにどう解答するつもりだったのかは分からないが、どうせロクな事は言わないのだろう。
 その様子をウィルとロブはにやにやしながら眺めいていた。それに気付いた鳴月はロブを睨みつける。

「とっとと話の続きを言え。」
「ハイハイ。その櫟って奴が、やけに白って兄ちゃんに興味持ってるらしくってな。何かと理由をつけては白の所に足を運んでいるらしいぜ。」
「・・・・・。何をしてるんだ?」
「取り調べってことだが、実際の所は本人しか分からない。」

 鳴月は食事の手を止めた。何かを考えているようだ。

「不老不死と言われている人間に興味がない奴なんていないだろうが。確か、櫟ってのは最年少で高位を得た文官じゃなかったか?」
「その通り。ま、ある意味一番まだ歳を取るのが怖いって年齢じゃないよな。」
「・・・。気にはなるが、それ以上調べようがないしな。興味があるくらいじゃ、特に影響はないだろ。」
「ま、そりゃそうだ。」

 食事が終わるとテーブルを片付けて、早速情報交換に入った。

 まず得意気にウィルがテーブルに広げて見せたのは、城内部が簡単に書かれた見取り図だった。全員がそれを覗き込む。
 銀は三枚の内一枚を手に取った。

「こんなものどうやって・・・。」
「書いたのは俺だよ。構造は城で働いている人に聞いたんだ。」
「お前の事だからどうせ女中でもナンパしたんだろ?」
「まぁね。」

 ウィルとロブのやり取りに銀は驚きを隠せない。
 鳴月が目を覚まさなかった間に自分がいくら調べても分からなかった情報をこうも簡単に手に入れて来るなんて。

「さすがエロ保安官。」

 鳴月のとても賛辞とは思えない言葉にウィルは顔をしかめた。

「あのねぇ、コロナちゃんの前でそういう事言わないでくれる?」
「本当の事だろ。」
「本当の事だな。」

 すかさずロブが同意する。言い訳する気はないらしく、ウィルは先を続けた。

「ハイハイ。説明続けるぞ。こっちが正面。城は三階建てだがとにかく広い。三階が王族の私室。二階が王座のある広間と文官達の仕事部屋と官位を持つ者達の私室。一階は細かく分かれているが、全て家来や従者達の仕事場。兵達の常駐しているのもここだ。それと一階の最西部。」

 ウィルは図面の右端を指差した。西とは即ち海に面している方角だ。

「此処が半地下になっていて、一般の従者では入れないそうだ。牢があるって噂になってるらしい。白って人が居るとしたら此処で間違いないだろうな。」
「もし此処に運ぶとなると嫌でも従者達の目に付く。だが、お前が聞き込みした娘は白の事は知らなかったんだろ?」
「甘いなロブ。この地下へは一階からは入れない。二階からこの階段を通らなきゃならないような造りになってるんだ。だから、普段一階で働いている人達は誰かがこの地下の部屋へ出入りしても分からないのさ。」

 そう言って、ウィルは小さな階段を指差した。

「お前良くそこまで聞き出せたな。」
「俺の魅力の成せる技だな。」

 二人のやり取りを聞き流し、鳴月は図面を見て呟いた。

「二階・・。宰相の部屋の裏か。」
「そ。」

 するとロブがコロナの煎れたお茶に手を伸ばしながら鳴月を見た。

「宰相と言えば面白い話聞いたぜ。」
「何だ。」
「王室が政治に無関心なのを良いことに結構好き勝手やってるらしい。」

 その情報に興味を持ったのかウィルが食いつく。

「金か?女か?」
「金だ。結構な額が宰相の懐に入ってるんだと。」
「お前それどっから仕入れた?」
「城で文官の下働きしてるおっさんに聞いたんだ。酒場で愚痴聞いてやったらペラペラ。ありゃ相当ストレス溜まってんな。」
「その情報信用できんのか?酒が入ってたんだろ?」
「あぁ。すっかりその人と意気投合してな、仕事仲間紹介して貰ったが皆同じ事言ってたよ。だが、誰も宰相には逆らえない。職を失いたくないからな。」
「ごもっとも。だけどその話は俺達とは関係ないだろ?」

 すると暫く黙ってウィルとロブの話を聞いていた鳴月が口を開いた。

「いや、使えるな。」
「そう言うと思ったぜ。」

 ロブは嬉しそうにニカッと笑う。

「だが、証言だけじゃ何の役にも立たない。証拠が必要だ。」
「まぁな。しかも王の前で直接叩きつけてやらなきゃモミ消されるのがオチだ。」
「証拠か・・。銀。」
「何だ。」
「横領と言っても方法は様々だ。証拠になるとしたら何がある?」
「そうだな・・・。宰相ならあらゆる分野に口を出せると思うが、横領している限りは必ず裏帳簿がある筈だ。」

 ウィルは腕を組んで顔をしかめた。

「けど、それって宰相が持ってるとは限らないんじゃないか?」
「協力者がいることは十分に考えられるが、宰相の部屋なら入る事の出来る人間が限られているだろうし、そう簡単に他人が調べる事は出来ない。一番見つかりにくい場所なんだ。」
「そうか。確かに。」
「鳴月、証拠を見つけられたとしてもそれをどうやって利用するんだ?」
「それは後で説明する。ウィル。白の監禁されている部屋を開ける鍵はどこにある?」
「そこまではさすがに分かんねぇよ。恐らく軍の人間が管理してるんだろうけど。だが、鍵を盗む危険を犯してまで開ける必要はないと思うぜ。」
「どういう事だ?」
「王は地下へ入れない。王が白に会う為には地下から出す必要がある。」
「確かか?」
「崔が儀礼やしきたりを重んじる国なのは知ってるだろ?太陽を重要視する崔の王は光の届かない場所には入ってはいけない決まりだ。だから地下へは入れない。」
「白が地下から出される機を狙う、か。」
「それが事前に分かるのか?でないと、城に潜入して見張らない限り無理だ。」
「もしくはこまめな情報収集。」

 ウィルとロブの意見に鳴月はそっけなく言い放った。

「どちらも確実とは言えないな。近々何か城で儀式や行事は無いのか?」
「さぁ。特には聞かなかったな。」

 ロブは頭を掻きながら鳴月を見た。

「白を王に御披露目する機会って事か。」
「あぁ。王は一刻も早く白を見たいだろうからな。だが、名目が必要だ。王とて私欲の為に国民を一人拉致したとは堂々と言う事は出来ない。かといって、捕らえたときと同じように反逆者として表に出すのも難しいだろう。」
「白は占い師って事になってるんだろ?名目って言うなら城専属の占い師として正式に召し抱える事にすればいつでも王の好きな時に召喚できるんじゃないのか?」

 そう言ったウィルに、ロブは手を叩いて同意した。

「・・そうか。その可能性は高い。」
「すると、白が地下を出る機会は近い内にある訳だ。」
「やはり、潜入が必要だな。」
「は?」

 鳴月の言葉に一同黙り込む。銀は恐る恐る鳴月にその先を尋ねた。

「具体的には?」

 鳴月は銀ではなく皆と少し離れたソファに座っていたコロナを見た。

「コロナ。」
「・・・。何?」
「お前が一番警戒されない。」

 コロナは驚いて思わず立ち上がる。

「え?私がやるの?」
「そうだ。ロブ。」
「あ、あぁ。何だ?」
「一緒に呑んだおっさんにコイツを城で働けるよう頼んで来い。」
「まぁ、頼むだけなら可能だが・・。上手くいくとは限らないぞ。」
「駄目なら他の手を考える。やるだけやって来い。」

 呆然と立ち上がったままのコロナを見て、何を思ったのかウィルが口を挟んだ。

「待てよ!コロナちゃん一人なんて、何かあったらどうすんだ?」
「ならお前も行って来い。」
「は?・・・・・・。分かった。」

 ウィルはコロナに向き直る。そして笑顔を見せた。

「いざとなったら俺が守ってあげるからね。」
「・・あ、はい。」

 コロナも釣られて笑顔を作る。だが、その顔は固い。
 二人を横目に鳴月は指示を続けた。

「お前等は白がどのルートを通って謁見の間へ行くのか、城の警備、宰相の毎日の行動を調べて来い。」
「行動?横領を調べるんじゃなくてか?」
「宰相の部屋へ入らなければ横領の証拠は挙がらない。新米の下働きじゃ入室は無理だ。宰相が何時に部屋に入り、出るのか。それと部屋に出入りする人間が分かればいい。」

 その言葉に呆れたようにウィルが腰に手を当てて呟いた。

「人使いが荒いな。」
「出来ないなら行くな。」
「ハイハイ。俺もウィルも行きますよ。期待には応えなきゃ男が廃るからな。だろ?」

 ロブは鳴月の辛口にも慣れているのか、そう言って笑った。





 その夜、鳴月はロブと酒場に入った。
 鳴月は怪我人だというのに構わず酒の入ったグラスを煽る。その様子を見て、呆れながらもロブは隣で笑った。

「今回は随分と活きの良いの連れてるじゃないか。」
「世話が焼ける連中だけどな。」
「ウィルはいい奴だろ?」
「確かに。馬鹿だが使えるな。」
「あぁ見えて、自分が信じるものには真摯だ。その分、国の役人に振り回される保安の中じゃあ苦労してるよ。」
「随分と女には手が早いみたいだな。」
「外に出ればナンパばっかりさ。」
「あいつの手癖の悪さも役に立ってるぞ。」
「何?」
「煽られなきゃ動かない奴がいるからな。」

 その言葉にロブも思いつくことがあったのか、グラスを置いて鳴月をまじまじと見る。

「・・お前、意外と苦労してんだな。」
「してるさ。ガキの面倒みなきゃならんしな。」
「そういや、あのみどりって子。もう十四だって?歳の割には随分幼いな。」
「生まれた時から森の中で、食べる物もロクに得られない生活だったようだ。栄養が足りてなかったんだろう。体も知能も発達が遅れてる。」
「そうか。だが、あの歳ならあっという間に追いつくさ。今が成長期だから体もでかくなる。」
「・・そうだな。」

 ぷっ、とロブが吹き出す。その顔は何故か嬉しそうだった。

「まるで親父みたいだな。」
「馬鹿言うな」

と、鳴月は苦笑した。

 そうして日付が変わっても、二人はただの旧友として酒を酌み交わしていた。


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