3.気のせいか・・・
この頃、なぜだか妙に視線を感じることに和葉は気づいた。
その視線の主の方へ和葉も顔を向けると、でもその人物は目を逸らしてしまう。
(・・・・・まさか・・・・気づいてるんやろか・・・)
(・・・・そんな訳ないか。)
気のせいだろうとバレているかもしれないという焦りを誤魔化した。
それでも、平次の様子を見ているとおかしいのだ。
毎日機嫌が直ることもなく鋭い目で何かを探しているようで、自分が動くと平次も同じように動いている気がする。
それに会話をしていると、いつも何か聞きたそうな顔をしているのだ。
まさかやはりバレているのではと思ったが、それにしてもだからといってなぜずっと不機嫌で尾行されるのだろう・・・
(・・・迷惑・・・・・なんかな・・・・・・)
そう考えてハッと頭を振った。
決心したじゃないかと自分に言い聞かせる。
例え、平次が和葉のことをただの幼馴染だと思っていても、平次が誰かを好きだとしても。
今年こそ、自分の想いを伝えると決心したのだ。
だから、もし平次に気づかれてしまってダメかと思うような反応をされても、それを覚悟して決めたのだ。
自分の想いを精一杯チョコにも表現したいと、バレンタイン当日に向けて毎日学校から帰ってとケーキを試作しようと考えていた。
散々迷っていた時に思い出したのだ。
以前、甘いものが苦手な平次が美味しそうだと言っていたケーキ。
ビターチョコを使って至ってシンプルだが、それでもチョコたっぷりで確かに美味しそうだった。
初めて作るものなので、失敗はしたくない。
平次にはまだ知られたくないので、部活をさりげなく早めに切り上げていたのだが。
なぜか平次も同じ帰宅時間で、それに和葉の家に当たり前のようについてくる。
「ど、どないしたん、平次?家に帰らへんの?」
何か家に用でもあるのだろうか。
それなら仕方ない、平次が帰ってから作ればいいのだから。
さりげなく、そう思ってもどもってしまったが・・・
「なんや、オレがオマエんち行ったらなんかあかん理由でもあるんか。」
まただ、また怒っている。
横にいる平次を見ると、こちらを見ていないものの不機嫌丸出しだ。
平次といられるのは嬉しいのだが、平次が長居するとケーキを作ることができないのでそれはちょっと困る。
でも、自分の都合のせいで平次と喧嘩はしたくない。
それに不審だが、平次が傍にいてくれることが何より嬉しいと思う。
ケーキは平次が帰ってから作ればいいことなのだ。
「あ・・ちゃうよ。そんな訳ないやんか。それやったら、今日の古文の宿題一緒にしような。」
そう笑顔で嬉しそうに言う和葉。
そんな和葉をじっと見ている平次。
(・・・・・今、妙な間があったな・・・・・)
さては、自分にいられたらチョコを作ることができないのだ。
それを隠そうとしてる。
と思うと、またイライラしてくる。
それならば・・・・
(邪魔したる。)
そうだ、そうすれば犯人に和葉から手作り本命チョコを貰うことはできない。
我ながらナイスアイデアだと感心し、今度は少しイライラが減ってきた。
名探偵でなくとも、むしろ子どもの嫉妬レベルだが平次は満足していた。
バレンタインまで、あと3日。
和葉はまだ知らない。
平次がこれからバレンタインが終わるまで、毎日和葉の家に入り浸ってやろうと企んでいることを。
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