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クマに出会ったら
作:さとう


山下部長と部下の品川は、ある調査の為に、この山に来ていた。
部長は、
「よし、これで調査完了だ」
と言った。
品川は、
「やっと終わりですね。それでは帰りますか」
と言った。
その時!!
何やら前方に黒いものが見える。
部長が小さな声で、
「クマだ!!」
と言った。
クマは、こちらに気づくと猛烈な勢いで走ってきた!!
部長は、
「死んだふりだ! 死んだふり!!」
と言って横になった。
品川も、急いで地面に伏せた。
クマは2人に近づくと、まず部長の方を見た。
そして、体をつつき始めた。
部長は、
「死んだふり、死んだふり…」
と思った。
品川は、
「こっちに来るな…こっちに来るな…」
と思った。
クマは、部長をつついている。
品川は、
「ヤバイ…このままでは食べられる……何とかせねば……」
と思った。
品川は、少し考えた…。
そして、クマに気づかれないようにバッグから昼食で残したトウモロコシを出した。
食べ物でクマの意識をそらす作戦だ。
部長は、
「よし! それを遠くへ投げろ!」
と、目で合図を送った。
すると品川は、部長に向かってトウモロコシを、
「ポイッ!!」
と投げた!!
「えー!!!」
トウモロコシは、仰向けになっている部長の胸の上に、
「ポン」
と乗った。
「このばか!!」
部長は、心の中でそう叫ぶと品川をにらんだ。
品川は、死んだふりをしている。
すると、クマはトウモロコシを凝視した。
部長は、
「やばい!!」
と思った。
しかし、ピクリとでも動けばアウトだ。
クマは、
「グガー!!」
と声を出してトウモロコシを、
「ガブッ!!」
と食べた!
部長は?…………何とか生きてるようだ。
でも、ピンチに変わりはない。
部長は、薄目で品川を見た。
しかし、品川がいない!!
どこへ行ったのか?
実は品川は、横になったまま少しづつ移動して逃げているのだ。
自分だけ助かろうとしている。
部長は、
「品川のやつめ!」
と思った。
すると、また遠くからトウモロコシが飛んできた!!
品川が投げたようだ。
トウモロコシは地面に1回バウンドして部長の胸の上に乗った。
しかし、部長はピクリとも動けない。
クマは、またトウモロコシに気づいたようだ。
そして、
「グガー!!」
と叫んで、部長の胸の上で勢いよくトウモロコシを食べた!!
品川は、そのすきに横になったまま、どんどん部長から離れていく!
凄いテクニックだ!
品川は、
「いい感じだ。このままいけば助かるかも…」
と思った。
すると、クマは急に振り向いて品川の方を見た!!
そして、
「グガー!!」
と叫んで勢いよく品川に近づいていった!!
品川は、
「ヤバイ!!」
と思った。
クマは、
「グガー!!」
と再び叫ぶと、品川を強引に転がして部長の所まで運んだ。
これで品川の、
「自分だけ助かるぞ作戦」
が水の泡だ。
部長は、腹話術のような感じで口を動かさずに小さな声で、
「こらっ」
と言った。
品川は、死んだふりをしいている。
今、品川は部長の足元に自分の顔がある状態だ。
「うーん……クマの意識を部長に向けさせるには……」
そこで、品川は、あることを思いついた!
品川は、クマが別の方向を見ている隙に部長の靴を脱がした。
部長は、心の中で、
「今度は、何をする気だ?」
と思った。
すると品川は、いきなり部長の足の裏をくすぐった!!
こちょ! こちょ! こちょ! こちょ!
部長が思わず動く!!
ピクピクピクピクッ!!
するとクマは、その動きに気づき、部長に向かって、
「ガー!!」
と叫んだ!!
足の裏は、ちょうどクマの死角に入るので、くすぐっていても見えない。
どうやら、また品川の、
「自分だけ助かるぞ作戦」
が始まったようだ。
品川は、さらに足の裏をくすぐった!!
こちょ! こちょ! こちょ! こちょ!
「うっ! ばか! やめろ!」
部長が心の中で叫ぶが、品川はくすぐるのを止めない!!
こちょ! こちょ! こちょ! こちょ!
「うっ! うっ! うっ! うっ!」
部長は、小さくピクピク動いている。
クマが、
「ガー!!」
と叫ぶ!!
品川は、
「よし! 完全にクマの意識は向こうにいった! 逃げるぞ!」
と思った。
その時! 
「ぐる〜」
という音が聞こえた。
何の音だろう?
そう! 品川のお腹が鳴ったのだ!!
「しまった!!」
クマは、クルッと振り向いて品川の方を凝視した!!
そして、体をつつき始めた!
「うっ!」
今度は、品川がピンチだ!
その時、部長は、
「はっ! 今がチャンスだ!」
と思った。
そして、今度は部長が、
「自分だけ助かるぞ作戦」
を開始した!
品川がつつかれているうちに、どんどん距離をとっていく。
もう、完全にサバイバルゲームだ!!
部長は、
「このまま行けば逃げ切れる…」
と思った。
すると、クマがいきなり、
「ガー!!」
と叫んで部長の方に走ってきた!
「うわっ!」
クマは、部長を品川の所まで転がして運んだ。
また、元通りだ。
部長は、小さな声で、
「ただいま」
と言った。
品川は、
「おかえり」
と言った。
すると、クマは、品川の服をあさり始めた。
そして、ポケットから財布を抜き取った。
次にクマは、部長の服をあさり始めた。
そして、また財布を抜き取った。
このクマ、お金の価値がわかるのか?
クマは2つの財布をくわえると、そのまま走り去っていった。
なんとか助かったようだ。
部長は、静かな口調で、
「行ったか?」
と訊いた。
品川は、
「行ったようですね」
と小声で答えた。
すると部長は、体を起こして、
「おい品川…お前、俺をクマのえさにしようとしたな!!」
と怒鳴った!
すると、品川は、
「なっ! なに言ってるんですか! 部長も逃げようとしたじゃないですか!!」
と言い返した!
そんな事より、早く逃げなさい…

その頃クマは…
「ふー疲れた。今日の収穫は6万5千円か。それにしても暑いな…このぬいぐるみ…」

(おしまい)



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