72.今週のザ・ベスト
日本を襲った歴史的な降雪
そんなことがあった日に海老原は愛車を運転し
ひとり秋田へ向おうとしていたが途中で事故に
その場に居合わせた二人に助けられた
「あの日は秋田に残した妊娠中の妻の具合が悪くなったと聞いて
すぐにでも秋田へ向いたい心境だったんだ・・・
でもまさか・・・あんな事になるなんて・・・」
第72話 今週のザ・ベスト
「絶対にだめよ!」
哀が断固として反対する
フリーザ様は一度博士のビートルをボコボコにし
恐ろしく高額な罰金と賠償金を請求された前科があるのだ
そんな男の運転に任せたら海老原は秋田ではなくあの世に到着してしまう
「大丈夫ですよ・・・信用無いですね」
「当たり前よ!前科者のくせして・・・」
「それに免許証も持っとらんじゃろう?」
哀と博士が阻止しようと必死になって食い下がる
しかし当のフリーザ様はまるで聞く耳を持とうとしない
「大丈夫ですよ!実は二人に内緒で特訓してたんですから」
そう言うとフリーザ様はその特訓の成果を見せることにした
・・・・・・ブゥゥゥゥン!
凄まじいエンジンの音と共にタイヤが滑らかな軌道を描く
無駄の無い動きはまるでプロのレーサーである
「どうです・・・うまいもんでしょう?」
「はぁ・・・大したもんじゃのぅ」
「そうね・・・」
そのドライビングテクニックを前に哀は溜息をついた
「マリオカートじゃ秋田まで行けないけど・・・」
哀は疲れ果てた表情でゲーム機のコンセントを抜くと
海老原の方をチラリと見やった
「まぁ奥さんなら大丈夫よ・・・雪が収まったら駆けつければいいじゃない」
優しい表情で諭す哀
海老原はがっくりとうなだれ諦めの表情を見せた・・・が
ブシュウッ!!!
「きゃああああ!何よもう!」
哀を再び毒霧攻撃が襲った
「ちっ・・・腰抜けが!良いですか?ハイバラさん?
良く覚えておくんですね・・・諦めたらそこで試合終了なんですよ!」
それだけ言うとフリーザ様は携帯を取り出した
誰かに電話をしているのか傲慢な口調で上からものを言っているようだ
2〜3分話をすると電話を切った
「OKです!もうすぐ雪道専用車両・運転手付きが来ますよ」
「えぇ!本当ですか!?」
それから半信半疑で待つこと30分・・・それはやって来た
・・・・・・数時間後
フリーザ様と哀・・・そして海老原を乗せたそれは東北の山道を突き進んでいた
除雪車・・・
並み居る雪を掻き分け憮然と突き進む勇者の名前はそれであった
ちなみに運転手は・・・
「桜塚さん・・・なんでこんなもの持ってるのよ?」
見るからにそっち系の人・・・桜塚やっさんであった
「あぁ?借金返さねぇ野郎の家の前に雪を積んで嫌がらせしたり
この巨大な車体でそのまま家に体当たりしたり・・・まぁ多目的だな」
「反社会的ね・・・」
そんな会話をしつつも除雪車はズンズン進んで行った
このまま順調に秋田まで行けるだろう・・・だれもがそう思うぐらいに
しかししばらくすると皆の表情が曇り始めた
「くそ・・・雪がすごすぎてうまく進めねぇ・・・」
目の前にあるのはもはや壁と呼んだ方が良いような雪
しかも吹雪も激しく視界は最悪・・・
しかもそこは一歩間違えれば谷底へ・・・という山間の道である
「何とかならないの?」
「私が吹っ飛ばして上げますよ」
そう言うとフリーザ様は前方の雪めがけエネルギー波を放った
閃光が止むとそこにはぽっかりと道が開かれている
「よっしゃ!これなら進めるぜ!」
そんな喜びもつかの間だった・・・
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・
地鳴りのような凄まじい音が鳴り響く
音は遠くからどんどん近付いて来るようだ
「まずい!雪崩だァァァ!!!」
「フリーザ様のせいね・・・」
「か・・・佳苗・・・佳苗ぇ!!!」
・・・ん
・・・・・・ラさん
「ハイバラさん!」
哀が目を覚ますと目の前にフリーザ様の顔があった
「寝起きで見るもんじゃないわね・・・」
「殺しますよ?」
悪態をつきながら哀は何が起こったのか思い出すため頭を回転させた
ぼんやりとしていた頭が冴えてくるにつれ
先ほどの惨事がありありと蘇って来る
哀はハッとして辺りを見回す・・・見渡す限りの銀世界
いつの間にか雪が止んだのだろうか青空が広がり東の空に日が見えはじめている
「え・・・なんで東に太陽が・・・たしか夕方だったはずだけど・・・」
「夜通し探したんですからね・・・感謝しなさ〜い!」
「じゃあ随分長く埋まってたのね・・・私も悪運が強いわね」
実際哀は運が良かった・・・
雪崩により除雪車からはじき出された後
運良く山の斜面にできた窪みにはまったのだ
適度な空気と温度、気絶していたことによる体力の温存により生き延びたのだ
「で・・・海老原さんは?」
「んっふっふ・・・私に最初に発見してもらえて光栄でしょう・・・」
「そう・・・手分けして探しましょ!」
日が登り始めているということはあれから10時間は経っている
急がなければ海老原の命が危ない・・・
「はっきり言って絶望的でした・・・
ハイバラさんは運良く呼吸のための空気と空間があったため助かりましたが
海老原さんがそう言う状況にあるとは・・・限らなかったからです」
「何ブツブツ言ってるのよ・・・見つかったの?」
「いえ・・・」
某番組風に喋って盛り上がっていたフリーザ様だったが
目の前に人の手を発見し表情は真剣なものへと変わった
必死で掘り起こしてみると
「・・・ゲホッ!・・・フリーザ様か・・・助かったぜ」
「なんだ・・・桜塚さんですか・・・海老原さん知りません?」
「何ガッカリしてんだよ!・・・ここには俺一人だぜ」
「そうですか・・・じゃああなたに用はないですね」
「ちょ・・・何埋めてんだよ!待て!待って!あぁ待ってくださ・・・」
「何か聞こえたけど・・・見つかったの?」
「何も・・・」
それから数十分後・・・
懸命の捜索も虚しく二人は海老原の影も形も見つけることが出来ずにいた
「海老原さあぁぁぁん!」
叫んで見ても応えてくれるのは山彦だけ・・・
虚しく響き渡る自分の声を聞きながら二人は辺りを慎重に探って行った
すると哀が木の間に何か動く物を見つけた
「海老原さん?」
一瞬期待した哀だったがそこに現れたのはヘルメットにはんてんを着込んだ
凡そ海老原とは似ても似つかぬ中年の男だった
「おめぇたちはひょっとして雪崩に巻き込まれたのか?」
「その通り!何かご用でしょうか?」
「その様子じゃ大丈夫そうだな・・・」
良く見ると同じような格好をした男がそこらにいる
どうやら地元の消防団らしい・・・
「ねぇ・・・スーツ姿の男見なかった?」
哀は消防団の団長を務めるというその男に聞いてみた
「ん?それならこのずっと下で見つけたな
ただ体中打ってたし呼吸もしてなかったからすぐに病院に運んでもらったけど
その後どうなったかはちょっと分かんねぇな・・・知り合いか?」
「発見された海老原さんは長時間雪に埋まっていたことにより呼吸が停止
一刻を争う状態の中救急車で病院に搬送された・・・」
「おめぇ何ブツブツ言ってんだ・・・?」
「無視してちょうだい・・・それで?どこの病院に?」
待機していた救急車に乗り込み
海老原が搬送された秋田市近郊の病院へと向った
病院に着くと二人は看護士や医者の制止を振り切って受付に行き
数時間前に搬送されたらしい海老原の病室へ向った
「あ・・・フリーザ様・・・」
呼吸器を付けているものの予想以上に元気そうな海老原
某番組風に長時間に渡る大手術を予想していたフリーザ様はガッカリだった
そんなフリーザ様を小突きつつ病室にいるもう一人に気付いた哀は
その海老原の異様なまでの元気な様子に納得した
「紹介しますよ・・・妻の佳苗です・・・」
お腹の膨らんだ女性がペコリと頭を下げた
「主人の我侭を聞いていただき本当にありがとうございました」
「奥さんもこの病院に運ばれてたのね・・・奥さんは大丈夫なの?」
「えぇ・・・そんな心配するようなことではなかったんですけど・・・」
「結局私が怪我しただけでしたよ・・・ははっ・・・」
何はともあれ久しぶりに会えた夫婦
水をささないためにも退散しようとした哀だったが
帰ろうと促したフリーザ様は哀の思いとは裏腹に口を開いた
「そして数ヵ月後・・・そこには後遺症もなく元気に走り回る海老原さんが」
「え?何の話ですかフリーザ様?」
唖然とする海老原夫妻を前にフリーザ様は声色を変えて続けた
「本当にもうダメだと思いましたよ・・・
病院で再び妻の顔を見た時は本当に最高の気分でした
もう除雪車は・・・こりごりですよ」
「フリーザ様?」
「気にしないで・・・コナンの後にやる某番組を見すぎただけよ・・・」
・・・・・・
哀がフリーザ様を病室から引きずり出した2ヵ月後
そこには本当に元気に走り回る海老原の姿があった
そしてその手には新しい命がしっかり抱かれていたと言う
続く
おまけ:ショート劇場
エピソード8「どっきり名探偵」
続いてのターゲットはこの高校生
彼はこの年で数々の事件を解決した高校生探偵である
今回のどっきりはその高校生探偵に小さくなる薬を飲ませてしまおうというもの
はたしてうまく引っかかるだろうか?
さてまずは黒尽くめの仕掛け人・・・ターゲットに接近すると
「飴でも舐めない?」と薬を手渡す・・・
わざとらしすぎるかと思われたが人の良いターゲットすんなりとそれを口に入れる
無事薬を飲ませることに成功!ターゲットがみるみる小さくなっていく
「なんだよこれ!体が縮んでるじゃないか!」とビビリまくりのターゲット
とりあえず知り合いの阿笠博士に助けを求める
が・・・この博士も仕掛け人
助けを求めるターゲットだがこのじいさん
なぜか靴を取り出す・・・
「コレはキック力増強シューズじゃ」と説明を始める
「そうじゃなくて元の体に戻りたいんだ」ターゲットが必死で説明
が・・・じいさん今度は蝶ネクタイを取り出した
「コレは蝶ネクタイ型変声機じゃ」とまた関係のない道具
イライラしてきたターゲット「そうじゃない」と必死の説明
するとじいさん「分かった分かった」と女の子を連れてきた
どうやら薬の開発者らしいが6才ぐらいにしか見えない・・・
「君と同じ薬を飲んだんだ」と言う説明にしぶしぶ納得するターゲット
しかしもちろんこの女の子も仕掛け人・・・
「解毒剤よ」と言って適当な薬を投与する
「大丈夫なのか?気分が悪くなってきたぞ」と訴えるターゲット
しかし女の子「男の子でしょ?がまんしなさい」とお説教
しぶしぶ言う通りにするターゲット・・・しかし一向に戻る気配が無い
終いには女の子「ん?間違ったかな?」と大混乱
コレにはさすがのターゲットもブチギレ
「ふざけるな!早く何とかしろ」と顔を真っ赤にして怒鳴り散らす
するとじいさん今度はメガネを持ってきた
「追跡メガネじゃ」とまた関係のない発明品
「ついにボケたか?クソじじい!」と言ってはいけないような言葉を連発
さすがに可哀想なのでここでネタばらし
解毒剤をもらうといつものスマイルで
「蘭には内緒にしといてくれ」と苦笑い
普段は見れないターゲットの本性にじいさん腹を抱えて笑い転げる
それにしてもこのじいさん・・・ノリノリである |