32.水芭蕉は見た
「アニキ・・・」
都内の一角にあるバー・・・
店内の片隅にあるテーブルに二人の男が腰掛けている
二人とも全身黒ずくめである
「最近姉さんの顔を見ませんね・・・」
「どうせまた何か企んでやがるんだろ・・・
まぁあの女のことだ・・・何も教えちゃくれねぇよ」
タバコの煙を吐きながら「アニキ」と呼ばれるその男は言った
第32話 水芭蕉は見た
決戦の日はやって来た・・・
フリーザ様と哀は正午前に尾瀬の湿原地帯にやってきた
いろいろな花が咲き乱れている・・・
見ごろは過ぎたが尾瀬の代名詞水芭蕉も咲いている
「出来れば旅行として来たかったわね・・・」
哀がつぶやく・・・なんでここなのだろう?
「来たようですよ・・・」
フリーザ様の声にふっと前を見る哀
そこにはモカ野郎がいた
「来たな!モカの良さを分らぬ愚者どもめ!」
「ふふん!たった一人で挑んでくるとはとんだお馬鹿さんだ!
消してあげますよ!この花達と一緒にね・・・」
エネルギー波を放とうとするフリーザ様・・・が
「そうはさせん!」
もうひとり乱入して来た
またまたどこかで見たような男だ・・・
「あなたは確か・・・花田教授!逮捕されたはずじゃ・・・」
「ニュースを見なかったか?脱獄したのさ!
ちなみにここを選んだのは私だよ・・・素敵な花たちだろ・・・はぁはぁ萌え〜
・・・この花達を守りながら勝ってこそ・・・あの時のリベンジは完了する!」
花田教授とモカ野郎がじりじり間合いを詰めてくる
哀は警戒して後ずさる・・・
そこへ背後からもう一つの影が・・・
「逃げようったって無駄ザマス!」
そう・・・今回の黒幕
帝丹小学校PTA会長ザーマス田辺である
「また貴方ですか・・・私の優雅な生活の妨害をしたのは」
「ふん!貴方たちに敗北してから・・・私のPTA会長としての面目は丸つぶれ!
『帝丹の猛虎』とまで言われた信用も失ったザマス・・・
だからこの恨み!絶対に晴らす!そう誓ったザマス!」
鬼の形相のザーマス
荒々しい鼻息からは彼女のエキサイト具合が伺える
「それで教授やモカさんと手を組んだのね・・・」
「そうザマス!私と同じく貴方たちに恨みを持つ者を集めて軍団を作ったザマス
見るが良いザマス!3人だけだと思ったら大間違いザマス!」
すると周りからぞろぞろと人が出てきた・・・
今までフリーザ様が迷惑をかけた人間や
哀が巻き込まれた事件の犯人などがいる
「目障りな奴らザマス!今日ここで消えるザマス!」
ザーマス田辺が指を鳴らして叫んだ
軍団はどっとフリーザ様に襲い掛かる・・・
「始まったわね・・・」
その様子を遠くから見守る二つの瞳・・・
「シェリーと行動を共にするビジュアル系のタフガイ・・・
実力拝見と行かせて貰うわよ・・・」
女は口元に笑みを浮かべながら双眼鏡を覗き込む
「あわわわわ・・・私の尾瀬が・・・国立公園が・・・」
管理人さんも見守る・・・
「ふっふっふ・・・お疲れのようですね・・・」
「馬鹿な・・・あれだけ居た仲間が・・・」
その人数はもう4分の1程度になっている
フリーザ様は左手の小指だけで戦っているのに・・・
「きぇあああああああああ!!!」
臆せずに襲い掛かる者・・・
しかしあっという間にKOされる
次々と水芭蕉の咲く湿地にその身を横たえていく
「くだらない・・・この程度でリベンジとは・・・」
「なんですって!ムカつく野郎ザマス!
モカ!殺るザマス!」
待っていたとばかりにモカが出てくる
「私をただのその辺のコーヒー好きだと思ったら大間違いだ!
コーヒーに含まれるカフェインの覚醒効果を私は100%引き出し
常人にないパワーを生み出すことが出来る!
これがモカ流珈琲神拳だ!」
ムキムキに隆起した両腕で攻撃を繰り出すモカ
が・・・フリーザ様が小指で軽く触れると
指先から破裂した
「ぎにゃぁああああ!」
「知ってますか?体が膨らむようなパワーアップをする者は
破裂する運命にあるんですよ?」
フリーザ様はモカの傷口を踏みつけて余裕の発言
この男・・・ドSじゃない・・・
哀はあまりの惨状に吐き気がした
「ちっ!花田行けザマス!殺ってしまうザマス!」
花田が前に出る・・・全身汗でびっしょりだ
「フリーザ君・・・君のその力・・・やはりすごいよ・・・
どんなに努力しても君には勝てないのかも知れない
でも俺は心で君にぶつかって行くよ!
今の俺は一人じゃない・・・そう!こんなにすばらしい花達が」
ドン!
花田が吹っ飛んだ・・・
「話が長い・・・」
花田教授の心・・・あっけなくやられる
所詮ただの花フェチである
「はぁはぁ・・・水芭蕉たん・・・僕・・・もう疲れたよ・・・
なんだかとっても眠いんだ・・・水芭蕉たん・・・」
花田教授昇天
仲間を失ったザーマスは慌てふためいている
「さてと・・・お仕置きは何が良いですかね・・・」
腰を抜かすザーマスに詰め寄るフリーザ様
「ちょうど前に作った風邪の症状を引き起こす薬があるけど・・・」
その言葉を聞いたフリーザ様は薬のビンを受け取ると
中に入っていたカプセル全てをザーマスに投与した・・・
「げぇ・・・がは・・・全部飲んじまったザマス・・・げほっ!」
「早速効果が出ているわね・・・飲ませすぎよ」
「良い気味です・・・さて・・・こんなの放置して帰りますよ!」
「待って・・・ゲフ・・・せめて・・・エホッ・・・救急車・・・プリーズ」
ザーマスの懇願も虚しく本当に帰ってしまったフリーザ様
哀はそのサディストぶりを目の当たりにし
今度からはもう少し大人しくしていようと思ったそうだ・・・
「うふふ・・・せっかく脱獄を手伝ってあげたのに・・・
やっぱりただのビジュアル系じゃないわねタフガイ・・・」
一部始終を見届けた女がミステリアスな笑みを浮かべる
その顔には満足の色が伺える
まるで新しい玩具を買って貰った子供のようだ
「今後彼がどう組織に絡んでくるか・・・楽しみだわ
ジン・・・クールガイ・・・こんなイレギュラーがいる中で
貴方たちは思うように動けるのかしら?」
女は再び微笑を浮かべる
日の傾き始めた午後の尾瀬で・・・
「私の尾瀬がぁああああ!!!」
「うるさいわね!人がクールに締めてるのに!」
続く
おまけ:今日のスカウター
ピピピ・・・クリス・ビンヤード(ベルモット) 戦闘力153
フリーザ様から一言
ん?誰?
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