159.猫の恩返し
動物にやさしくしたことはあるだろうか?
作者は幼少の頃より
たくさんの動物に優しくしてきた
小学校の頃は飼育係だったし
道端で血を流している小鳥を連れ帰って手当てしてやったこともある
だがおかしい……
いまだにうちの玄関を叩く美女がいないのだ
あれだけ助けてやったんだから
そろそろ美女が来てもいい頃だと思うのだが……
おかしい……
第159話 猫の恩返し
哀は窓辺に腰掛けて庭先を眺めていた
手にはにぼしの入った袋を持っている
それは これからやってくるだろう来客のためのものだ
最近……
阿笠宅の庭に 一匹の猫が毎日のようにやってくる
茶色い毛色の……おそらくは雑種
人懐っこい猫だった
最初は特に気にかけていなかった哀だったが
向こうから擦り寄ってくるものだから
元々の動物好きもこうじて猫の相手をするようになった
「コナン……」
哀はその名を呟いた
とりあえず付けた名前だが
好奇心旺盛なその猫にはピッタリだと哀は思っている
同時に メガネ面の探偵を思い浮かべながら
哀はまた庭を見渡した
その時……ガサッと音がした
「コナン?」
「にゃーん! 遊びに来たにゃ!」
現れたのは……
茶色い全身タイツを身にまとい
尻尾とネコミミを装備した謎の男だった
「…………誰よあなた」
「コナンだにゃ! にゃーん!」
そう言うと……
コナンを名乗る男は猫の様に両手両足を使って駆け寄ってきた
そして哀の肩に手を乗せて 頬をペロペロ舐めてきた
「汚いわね!」
哀の鉄拳が炸裂した
猫男は「おうふ!」と一瞬素の声を上げ……
しかし すぐに猫らしさを取り戻すと 涙目で訴えた
「痛いにゃ……いつものように遊んで欲しいんだにゃ」
「えぇ……本物が来たらそうするつもりよ」
「だから僕が本物のコナンなんだにゃ!
そうそう……今日はいつも遊んでくれてるお礼をしに来たんだにゃ」
そう言うと 猫男は一度門を出ていった
塀の向こうからは「ガチャ」「バン!」という
明らかに車のドアを開閉する音が聞こえてくる……
そしてその数秒後
猫男は普通に二足歩行で 手に紙袋を持って戻って来た
「心ばかりの物ですにゃ」
差し出された紙袋を哀は受け取る
中にはクッキー詰め合わせとトロピカルランド優待券が入っていた
「猫の恩返しなんだから……
猫の国の王子のお妃様にしてくれるとかじゃないの?」
「いや……そういうのはちょっと……」
猫男は哀の反応に困ったような顔をし……
それからもう一度門の外に停めた車に行くと
財布をとって戻って来た
「こ……これで全部ですにゃ……」
お札を数枚取り出すと 猫男は震えながらそれを差し出した
「生々しすぎるわよ」
哀はそれを付き返す
そして とりあえず紙袋だけ頂いてお礼を言った
いつもの恩返しができて
猫男も嬉しそうに笑うと また哀にすがり付いてきた
「哀お姉さん大好きだにゃ!」
またペロペロと顔を舐める
哀は 今度は腰の入ったアッパーカットを下から突き上げた
「げぺぇ!」
舌を噛んだのか 猫男はしばらく悶絶していた
と……そこへフリーザ様がやって来た
「おや……今日は変な人がいますね」
てっきり哀と猫がじゃれ合っているのだと思っていたが
見ると 全身タイツの気持ち悪い男だったので
フリーザ様は一瞬目を見開いた
「こ……コナンだにゃ……」
しかし猫男はあくまで自分がコナンだと主張する
「少し見ない間にえらい変わりようですね……変身ですか?」
「そんなわけないでしょ」
言われたままを鵜呑みにするフリーザ様に哀は突っ込んだ
と同時に……フリーザ様が持つビデオカメラに気が付いた
「あ……コレですか? 実はですね……
日売テレビの企画で『面白ペット・ビデオ大賞』というのがありまして
なんと最優秀賞に輝くとグアム旅行が貰えるんですよ!
ちょうど猫さんもいることですし……応募してみようかと」
フリーザ様の話を聞くと
哀はなるほどと頷く反面 ため息をついた
「コナンは可愛い子よ……
でも賞が貰えるほどの変わり者だとは思わないけど?」
「何を言ってるんですかハイバラさん
こんな変な猫は世界中探したっていませんよ」
哀の言葉に首を振ると フリーザ様は猫男を見た
哀は数秒の間 猫男を凝視してからフリーザ様に問いかけた
「コレで応募する気?」
「最優秀賞間違いなし! グアムは頂いたも同然です」
「悪ふざけと見なされて一発アウトでしょ……」
「にゃーん!」
「黙れ」
再びすがり付いてきた猫男の顔面に 哀は容赦なく蹴りをおみまいした
猫男はもんどりうって床に倒れる
と……その衝撃でネコミミが取れてしまった
「……!? どなたですかあなたは!?」
フリーザ様が驚愕の声を上げる
すると猫男も気が付いたのか 頭に手をやった
ドラえもんのようなことになっている……
「うわああああああああああ!
見るなぁ! 見るなああああああああああ!」
「いや……最初から分かってたから……」
バレていないとでも思っていたのか?
温度差についていけない哀はため息と共に言った
とにもかくにも……
正体がバレてしまった猫男は自分の素性を話し始めた
名前は河内章吉
ここ最近来ていた猫は彼のペットらしい
「ちなみに本当の名前はセクレタリアトです」
「そう……」
章吉はセクレタリアトと二人で暮らしていた
しかし……2ヶ月前
彼は事故に遭い 記憶を失ってしまった
自分が誰なのかも分からず……
病院のベッドの上で数日前まで過ごしていたらしい
「お陰様でこの通り記憶も戻ったんですが……」
章吉は同時にセクレタリアトのことも思い出した
家には1ヶ月以上も戻っていない
近くには世話をしてくれそうな知り合いもいない
彼は走って……すぐに家に帰った
「するとそこには元気なセクレタリアトの姿が!」
誰かに餌を貰っていたのか?
章吉は気になり……次の日
外に遊びに行くセクレタリアトの後を尾行した
「それでうちに来たわけね?」
「いや〜本当にお世話になりました」
章吉は笑顔で言ったが
しかしすぐにしゅんとした表情に変わってしまった
「今日はお礼と……お伝えしたいことがあってきました」
章吉はそこで一度口を閉ざした
喉がゴクリと音を立てる
眉間には深いしわ……
そんな表情でしばらくの間黙っていた
しかし 決心がついたのか彼は切り出した
「セクレタリアトは……もうこの世にはいないんです」
「え……? だって……昨日だって……」
「そうなんです……昨日……
ここから家に帰ってくる途中で車に……」
哀は目頭が熱くなるのを感じた
しかし どうにも泣く気になれなかった
信じられなかったというのもあるが……
目の前で「あの子」の死を語る人物が
全身タイツ姿でいるというのが一番の原因だろう
「本当は……言わないつもりでした
君の悲しむ顔を見たくなかったから……
僕がこのままセクレタリアト……
いや……コナンになりきろうと思ったんです
だけど……バレてしまったらしょうがない」
それだけ言うと……
章吉はフラフラと立ち上がり 玄関へ向かった
そして……後は何も言わずに行ってしまった
数日後……
哀はまだ悲しみが癒えきっていなかった
が……いい加減立ち直らなくてはならないということも分かっていた
哀は気晴らしにテレビを点ける
やっていたのはペットの番組……
視聴者が送って来たペットのビデオを放送しているようだ
『どのペットも可愛いですね
この中から最優秀賞を決めなくてはならないのかと思うと
いやいや……困ってしまいますね』
タレントがにこやかに言う……
どうやら数日前フリーザ様が言っていた番組のようだ
哀がそんなことを考えていると 次のコーナーが始まった
『このコーナーは番外編です
最優秀賞の選考からはもれてしまったんですが
しかし内容が面白かったので放送することにしました
投稿してくださったのは
東京都在住のペンネーム『フリーザ様』さんです』
「はぁ!?」
テレビから聞こえてきたその名前に
哀は飲んでいたコーヒーを吹き出した
そのまま画面を凝視していると VTRが始まった
画面には……
泣きながら話をする全身タイツの男が映っていた
『これがフリーザ様さんのペット『セクレタリアト君』
一応猫だそうですが……ははっ……
これは耳が取れてしまい泣いているところだそうです』
『んなわけねぇだろ!』
お笑いタレントの的確な突っ込みが入る
スタジオは大受けしているようだったが
哀は顔を引きつらせて固まっていた
そして数秒後……
「フリーザ様あああああああああああ!」
続く
おまけ:アラレちゃんと英祐くん2
排泄物をつつき始めて数時間……
英祐は妙に清清しい気分だった
最初は周囲の視線に泣きたくなるほどだったが
今は何とも感じない
見るなら見れば良い
笑いたければ笑えば良い
『裸で何が悪い』と某ツヨシさんは言ったそうだが
それに近い開き直りだった
「ねぇねぇ! えーすけくん!」
「へ……? あ! はい何ですか?」
無我夢中で排泄物をつついていたので気づかなかった
英祐は慌てて振り返ると アラレを見た
「うんちツンツンするの楽しい?」
アラレは英祐の顔を覗き込みながら聞いてきた
「いえ……楽しくは……」
「ほよ? うんちさんとお友達じゃないの?」
「お……お友達って……無理ですよ」
「あのねえ! あのねえ!
うんちさんとお友達になればねえ
もっとツンツンするのが楽しくなるよ!」
「へ?」
意味が分からず呆然とする英祐を放ったらかしにして
アラレは先ほどまで英祐がつついていた排泄物を……
こともあろうに素手で持ち上げた
「きゃははははは!」
アラレは笑いながら
さらに排泄物を探し出すとそれを頭にのせた
目の前の……
いともたやすく行われるえげつない行為に
英祐はただ唖然とするしかなかった
「ほい!」
そんな英祐の頭にアラレは排泄物を容赦なく乗せた
「うあああああああああああああ!」
慌てて振り払う……
しかし髪の毛にも……振り払った両手にもそれはベッタリ
英祐の全身から変な汗が噴出し
そして心を絶望感が覆い尽くした
「きゃはははははははははははは!」
アラレはそんな英祐を指差し
お腹を抱えながらひたすら笑っていた
「もうやだ……こんな……こんな……!」
来年の春のスペシャルは「アラレちゃんVS名探偵コナン」で良いと思います。
でも、もしベルモットが出るとしたら、一人二役になるから大変ですね。
それにしても……ベルモットとアラレちゃん。
あんな180度違うキャラクターの声を同じ人が演じているなんていまだに信じられません。
どんな声帯してるんでしょうね。
摩訶不思議。
それはそうと7月です。
七夕が近いですね。
今年は短冊にどんな願いを書いてくれようか……。
最近、どんどん欲が無くなって来たので困り者です。
う〜ん……
もっと面白い話が書けますように!
……かな。
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