第3話―お昼前、残金僅かです。
僕らが住む街、葉桜町はいわゆるベッドタウンだ。町内のほとんどが居住区で、コンビニがちらほらある程度。つまり、買い物をする際には少し足を伸ばして隣町に行かなければならない。
急な用事がある時は不便だけど、非番な日にはぶらぶら歩くだけで1日過ごせてしまう。
だからというわけではないが、僕と華は今、電車に揺られている。
華はお子様よろしく、車窓の景色でテンションが上がっているようで、鼻歌混じりだ。僕はというと、朝の騒動ですっかり疲れてしまっている。何かもう……帰っていいですか? って気分だけど、華に財布を握られてしまっているので付き合うしかない。
華がはしゃいで手を振る度に悲鳴をあげる僕の財布、3890円。結構気に入ってるから壊さないでほしい。……いや、ほんとに。
「着いたー!」
はい。着きました。隣町。華は駅前で当たり前のことを叫んだ。道行く人が僕らを見る。華は結構、美人なのでただでさえ人目につくのに。
居た堪らなくなった僕は取り敢えず他人のフリをした。
「何やってんの? タニ?」
そんな僕の努力も台無しになった。
僕は笑顔で言う。
「危ない人には関わらない方がいいかな、と思って」
輝かんばかりの笑顔で華に鳩尾を突かれてから僕らの買い物はスタートした。
最近の僕はだんだん扱いが酷くなっている気がする。 僕は本日2枚目の福沢さんに別れを告げながらそう思った。
この馬鹿、金の使い方がおかしいね。まだ、お昼にもなってないのに。
聞いたことねぇよ。もやし8000円分も買うやつ。あの時のレジの人の顔が忘れらんない。
「はあ……」
「どうしたの? 自分の存在が嫌になった? そんくらいで死んじゃ駄目だよ。私の方が我慢してるんだから」
華が可愛らしい笑顔で言うもんだから、泣きながら走った。
「人に迷惑かけるなよ〜。くず!」
「誰がやねん!!」
そんな感じで走ってたら、目の前の人影に結構な勢いでぶつかってしまった。
「いて!」
「……」
尻餅をつきながら相手を見る。怖い人だったらどうしよう……。
「すみません!大丈夫ですか?」
僕は起き上がって手を差し伸べた。
「あ! タニ!」
「げっ……」
しまった。僕はどうやらとんでもない人にぶつかったらしい。 |