全ての『愛』が報われませんように(3/5)縦書き表示RDF


感想、お待ちしてます。
全ての『愛』が報われませんように
作:ゆうじん



第2話―つまり、出掛ける


 休日の過ごし方としてはただ惰眠を貪り、貴重な時間を贅沢に浪費するのが好ましいと思う。









 朝食の後片付けも済ませて一段落ついた頃、僕はソファーの上で寛いでいた。
 今日は水曜日だけど、高校も既に春休みに入ったので行かなくてもいい。特に誰と遊ぶ約束をしたわけでもないから、今日はゆっくりできる。

「おーきーろっ!」

と思ってたのに……。
 華は僕の額に躊躇いなく踵を振り下ろした。間一髪でそれをかわす僕。その後聞こえてくる風を切る音とソファーの軋む音。

「華さん? 僕に何か恨みでもあるのかな? 朝からこんなじゃ身が持たないよ」

「別に恨みがあるわけじゃないのよ。ただ気に食わないだけ」

「それはもっと悪いんじゃないでしょうか」

 腰も低くければ、目線も低い僕。ソファーから落ちて床に寝そべっている。つまり、華を自然と下から見上げるわけで、アレがスカートの中から見えちゃ……とか考える暇もなく振り下ろされる第二撃。

 そこで僕の意識は途絶えた。






「つまり華は買い物に行きたいんだ」

「わかればよろしい」

華はケタケタと笑ってみせた。

「だけど知っての通り、僕は金なんか持ってないよ」

「バイトの給料が入ったでしょ?」

華はニヤニヤと悪役のような笑みを浮かべている。

「何故それを……」

「私に隠し事はできないよ。忘れたの?」

華はいつのまにやら僕の財布を握り締めていた。僕は本日何度目かのため息をついた。

「さあ、行こう!」

華は近所迷惑よろしく、高らかに叫ぶのだった。












ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう