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夜空の星
作:灯夜



星の煌き


いつの間にか、辺りは暗くなっていた。

「・・・ううっ。」

それでも、私の涙は止まってはくれない。
(何で行かせちゃったんだろ。)
破局はチャンスだったのに。
いい人ぶっても、好きな気持ちは変わってなんかいない。
離れる事も、近づく事も出来なかった。
最悪。

不意に、手が差し延ばされた。
だから私は、思いっきり振り払ってやった。

「何しに来たのよ。」

「泣き虫。」

陽一は、口元に笑みを浮かべて続けた。

「僕は『行って来る。』って言ったんだよ。
そりゃ、戻ってくるでしょう。」

(お願い、嫌な私にしないで。
そんな事言われたら・・・。)

「私は・・・そんな事頼んで無い。」

「そうだよ、僕の意思による事さ。」

「まゆ。」

「眞由美とは、別れる事にしたんだ。」

質問は、答えによって遮られた。

「なんで?」

「僕達の好きは、恋愛の好きじゃなかったんだ。
例えるなら、食べ物や服、そういったモノに対する好き。
それぞれの希望だけで相手を見ていた。
そして、今回の件でそれに気付いてしまった。」

何も答えられない。
私はどんな風に、陽一の事を好きなんだろう?

「だから離れたんだ。」

「でも、もしそうだとしてもこれから。」

「麻美が居なければ、そんな選択肢もあったのかも知れないけどね。
深く相手を思い遣る気持ち、その人が大切だと感じる気持ち。
それが、恋だと知ってしまった。
自分でも気付かなかった、君の支えになりたいって思い。
それは記憶の中に仕舞い込んでいた、小さな頃からの想い。」

いつしか私の涙は止まっていた。
陽一と視線が絡み合う。

「覚えてる?
あの高台で昔、手を握った時に僕がいった言葉。」

(・・・そうあれは。)



大分昔の出来事。



「陽一、暗いよ、怖いよ。」

私の手は、そっと暖かな掌に包まれた。

「もうすぐだからさ。」

「手、離しちゃやだ。」

「大丈夫だよ、ずっと一緒だよ。」



そうだった、あの時の言葉。
嬉しかったのに、次の日から冷やかされるのを怖がって離れてしまった。

「覚えてるっぽいな。
僕は何時でも側で、支えたかった。
君の力になる事が、好きな気持ちの現われだった。
でもあの後、態度がよそよそしくなって行ったし。
だから僕は記憶からその事を追い出していったんだ。
そしていつしか無かった事になっていた。」

「それは・・・。」

「わかってるよ。
それに、当時はその気持ちがどういったモノなのか理解出来ていなかったし。」

「陽一、私。」

「麻美、俺は君と一緒にいたいんだ。
わずかでも支えになりたい、それがどんな関係でも構わない。
麻美が本当に大切だから、これまで通りでも、恋人でも何でもいい。」

「ふふっ、別れてすぐに告白か、節操なし。
・・・私は、そんな風に想える自信ないよ。
ずるくて自分が傷つきたくないから、積極的になれなかっただけ。」

「うっ、節操なしは自覚があるだけに、ダメージでかいな。
・・・だったら、今日なんで応援したの?
そしてこんな時間まで一人で泣いていたのは?」

「・・・っ。私は。」

(ねえ、陽一。
言っても良いの?
私はこれを言ったら元の二人には戻れないよ。)

「私は貴方が好き。」

かろうじて言葉に出来たのは、それだけだ。

再び手を差し延べられる。
今度は、ぎゅっとつかんだ。

「僕も好きだよ。
もうこんな遠回りしないように、きちんと二人で話し合っていこう。
これからもずっと二人で過ごせるように。」












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