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夜空の星
作:灯夜



夕暮れ


「そして何でここに来るのかな、私は。」

眞由美はいつもの様に、高台に来てしまった。

(あんなに怒る事なんて無いじゃない。)

あいつは人の輪に居ても、どこか冷めている様な感じだった。
だから・・・。

(まったく。)

トントントン

背後から足音がする、きっと陽一だ。
でも、まだ冷静になった自信は無い。
喧嘩の続きはしたくない。
けれど、階段を登りきった陽一の顔。
視線は私の方に向いていたけれど、私を見つめてはいなかった。
私じゃない、どこか遠くを見つめる瞳。
だから気が付いたんだ。
終わりだって。

「眞由美。」

「来ちゃったんだ。」

(・・・破局が。)

「ここに居そうな気がしたんでね。少し話していい?」

「別れたいんでしょ?
顔を見れば分かるよ、あんたは何時だってその目で空を見上げていた。
私を通り越して、違う何かを見つめてる。」

「少し聞いてくれない?」

なぜか穏やかな雰囲気、だから私は黙って聞くことにした。

「ありがとう。
僕達は付き合っていても、お互いを見てなかったと思うんだ。
・・・今朝の喧嘩。
きっと眞由美は自分の町で、二人で付き合っていける事を喜んでいたんだと思うんだ。
でも僕は自分の大切な故郷を馬鹿にされた様な気がして、我慢ならなかった。
僕はこの村で、このまま穏やかな日々が続くと思っていた。
眞由美は大切な故郷に、二人で戻りたかった。」

(そう・・・私はあの町で、皆で幸せになりたいんだ。
友達に祝福されて、羨ましがられて・・・毎日が楽しくて。)

「でも僕達は二人とも、肝心な所に気が付いていなかったんだ。
お互いが別々の人間だって。
僕には僕の、眞由美には眞由美の、生きてきた道筋と想いがある。
それぞれの希望を、相手に求めるのは恋愛とは違うよ。
僕達は二人とも子供だったんだ。」

「じゃあ、恋愛なんて意味が無いじゃない。
係わりたくないなら、一生一人で居ればいいのよ。」

(バカね、私。)

「それは違うよ、大好きだから束縛しない。
でもそれは無関心とは違うんだ、お互いの事を想っている。
だから二人のこれからを決めるのは、どちらか一人じゃない。
二人で考えなきゃいけなかったんだ。」

「あ〜あ。」

「?」

「あ〜、もう。
過去形なんだね、いいよ私にそんな恋は無理。
本気で相手を想うって難しいよね。
貴方は大切だから、側で支えたい。
そう考えている内に、恋愛感情に気付かなくなっていったんでしょ。
本当に大好きな人への・・・。」

「悪いな。」

「気にすんな、こんないい女ふったんだから頑張りなさいよ。
今回と同じ結末を、迎えないように。」

「ありがとう、向こうに行ったらよろしくな。
もう友達としてだけど、大好きだよ。」

そう言って階段を降りて行く。
だから。

「バ〜カ。」

思いっきり大声で叫んだ。
そっか、私が好きなのは私の自由になる人だったんだ。
私が好きで、何でも思い通りになって・・・。
好きな人にも、たくさんの思いや考えがあるのに。
子供だったんだ。
初恋なんて、実らないものよね。
だって自分の理想を押し付けるから。
けれど、きっと今度こそいい恋が出来るって信じてる。
短かったけれど、すっごく幸せだった。
これは私の、大切な夏の思い出。












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