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10 都市伝説の起源
とぼとぼと、私は一人で帰り道を歩く。
いつもなら、隣りには美穂がいるのに。

「待ってたぞ」
ちょうど昨日、【ひきこさん】に遭遇した辺りで、霊斗先輩が声を掛けてきた。

「………霊斗…………せん、ぱい」

「何をこの世の終わりみたいな顔をしているんだ。辛いのは分かるが、お前にはまだやる事がある」

「…………やる、こと?」

「しっかりしろ。俺を含めて、あのホラーサークルに所属していた人間は、存在が無かった事になっている。お前を除いてな」

「やっぱり!!やっぱりホラーサークルは合ったんですね!!夢なんかじゃなかったんですね!!夢なんかじゃ……………」

「気をしっかりもて。昨日お前が引いたカードは、【都市伝説の起源】だったよな」

「……………はい。」

「俺なりに考えてみたんだが、お前は、文字通り都市伝説の起源になる必要がある」

「どういう事ですか?」

「…………その答えを、俺の口から言う事はできない」

「そんな!!」

「が、可能な範囲でヒントは教えてやる。……そのくらいなら、おそらく大丈夫だろう」

「……………大丈夫?」

「まあ聞け。怪異に巻き込まれて死んだ人間は、多くが存在ごと消える。まるで元からそんな人間いなかったかのように」

今日の出来事が思い返される。
教師の反応。クラスメイトの反応。それに、母親の反応。

「いま巷で都市伝説として囁かれてる噂が、どういう風に始まるか知ってるか?」

それは、おととい調べたので知っている。
「確か、友達の友達に聞いた話なんだけど、です」

「そうだ。つまり、どんな話にも、生存者がいるという事だ。そうしないと、話自体が伝わらないからな」

「で、でも」

「部長が狙われたのは、【口裂け女】だが、何故部長が死んだか分かるか?」

「……………きっと、回避手段を知らなかったんじゃ」

「さすがに【ポマード】くらい知ってるだろう。そうじゃない。怪異も進化してる。そういう事だ」

「よく、分かりません」

「分からなくても、お前はやらなくてはならない。選ばれたんだ。……………俺はそろそろ行く。後は頼んだぞ」
ぽん、と私の肩に手をおくと、霊斗先輩は、私に背を向けて、歩き始めた。

「待って!!行くって、何処へ!?」

「さあな?俺はもう、本来存在しない人間だからな。この町にいると、色々ときしんでしまう」
霊斗先輩は、そう言うと、今度は本当に行ってしまった。



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私は、その日家に帰ると、小説を書く事にした。
それが、今書いているこれだ。
だから、だけど、この作品は、どうしようもなく創作物だ。


物語を締める前に、私はもう一度言っておこうと思う。


この話は、作り話です。
だから、絶対に信じないで下さい。


さて、そろそろ物語を終わろうと思う。
この事件を通して、私の価値観は、180度変わってしまった。
失ったものは大きくて、
得たものは…………。
得たものは、何かよく分からないけれど。

それでも私は、間違いなく、どうしようもないくらいに、【都市伝説カルタ】を扱ったこの話の、【都市伝説の起源】なのだ。
最後まで読んで下さって、ありがとうございます。

今回、ホラーという事で、都市伝説を扱ってみましたが、どうだったでしょうか。少しでも怖いと思って頂ければ幸いです。都市伝説というのは、作中でも触れているように、生存者がいなければ、そもそも話が生まれません。
本当にあるかもしれないというリアリティを保ちつつ、死ななかった理由を、それらしく作らなければならない。

その点に留意して、今回の作品は書かれています。

あとがきという事で、少し作品の補足的なものをしておくと、今回の話は、霊斗が露天商を追うようになったきっかけでもあります。
正直、登場人物は六人もいらなかったのでは、と反省してます。最後の方、先輩がたは半分空気化していますし。

部長は、【口裂け女】から逃げ切れませんでした。
副部長は、【トミノの地獄】を音読してしまいました。
斉藤先輩は、【さとるくん】を呼んだ後、振り向いてしまいました。

本当は作中で、それぞれの都市伝説にも触れようと思っていたのですが、あまり長くなりすぎるのもどうかな、と思ったので、今回はこうしました。



最後に、感想を頂けると本当に本当に嬉しいです。
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