嗚呼、新しき日々よ。(8/28)PDFで表示縦書き表示RDF


嗚呼、新しき日々よ。
作:Gunter



第7話:笑う狐と怒れる魔王


 赤い竜は天を裂くように咆哮する。
 楽しげに愉しげに、戦友との出会いを喜ぶように。

 異国の剣士は不適に笑う。
 道化のようにくるくるからから、狂々虚々(くるくるからから)






「……到着……してしまった」
 ベリアはそう呟きながら壮絶という言葉でも表しきれない沈みきった表情で天を仰ぐ。
 この世の終わりでも人々はこんな顔をしないだろう。
「お父様は何故ここまで…………この依頼を選んだのはお父様なのに」
「サーシャ様。女心は秋の空、ベリア様の心は創世記の空でございます」
「創世記って……七日間の大嵐ですか? 破天荒なんてレベルじゃないですよ……」
「ベイルシア様には申しておりません」
「何だろう、僕は時々何もかもが無くなれば良いと思うんだ」
「そっ……それにしても! 凄いですね……共和国の王都でもここまで……」
 サーシャが驚くのも無理は無いだろう、彼女は人で賑わう街を見た事はあっても溢れるほどの人が密集した街を見るのは初めてだったのだから。
 そんなサーシャにベイルシアは素朴な疑問をぶつけた。
「あれ? この街はじめてなんですか?」
「あ、うん。クローセル達と一緒に旅する前は小さな村とかで魔物を討伐したりしてたし。やっぱり都市くらいの大きさになると冒険者とかも多いからお仕事が少ないんだよね」
「あぁ……でも帝都でやった凱旋式は?」
「うーん……。あれは他の街から人が集まってきてるのかと思ってたし」と呟き、苦笑を浮かべながらサーシャは街をもう一度見回した。
 大きな街、というのが第一印象。
 人が溢れ、人の居ない場所は無いのではないかと思わせるほどの人。
 しかもそのほぼ全員が忙しなく動き、何かに追われるかのように働き続けている。
 巨竜の影響かなのだろうか? 彼等の表情には一つとして笑顔が見当たらなかった。
「何で笑わないのかな」
「……この風景は……、この街の特徴でもありますからね」
 ――笑わない街、誰が付けたのだろうかそんな呼び名は今では事実となり果てていた。
 何も領主が狂っているだとか、魔物に脅かされているからだとかではないのだ。
 彼らは皆一様に役目を負い、誰かに役目を負わせ、誰かに役目を負わされた。
 だから彼らは演じ続ける、笑わずに、仮面(ペルソナ)を心底大事そうにその胸に抱いて眠る。
 笑わない街。
 そこは人々が何かに追われ続ける哀れな都市にして帝国最大の貿易都市。
「だから僕も…………」
「え?」
「あ、いえ……何でもないんです」
「よし、いつまでもここで悔やんでいても仕方ない! 早速酒場へ行くぞ!!」
 暗い雰囲気を纏うベイルシアを知ってか知らずか、ベリアは強めにベイルシアの背を叩き、高笑いを上げながらズンズンと進んでいく。
 ベイルシアはそんなベリアに「有難う御座います」と呟き、後へ続いた。
「やっぱり……クローセル、気にしてるのかな」
「人とは思い悩み打ち砕かれる生き物です。サーシャ様、貴方は光です、私達が知りうる全てを救える光です」
「私はそんなに良い人間なんかじゃないよ……」
 哀しげに俯くサーシャ、だがセバスチャンは決して彼女を慰めない。
 彼は知っているから、彼女の強さを。
 だからセバスチャンはサーシャに一つだけ教えた。
「ですが……、貴方は陛下とその従者(・・・・・・・)を救いました」
 そんな彼の言葉にハッとしてサーシャはすぐに顔をあげ、傍らを見たがそこには誰もおらず。
 ただ目の前に自分を待つ三人と家族と友人がいた。
(弱いなぁ・・・私は)
 彼女は出来るだけとびきりの笑顔を浮かべて彼らの後へ続いた。




「で、感動のシーンなとこ悪いけど、割り込んじゃうぜ?」
 彼等の頭上から届いた声、くぐもった道化でも出さないようなふざけきった嘲り声。
 その声に最も速く反応したのはベリア。
「……ッ!! 立花ァ!!」
 ベリアの視線の先にいたのは薄い藍色の着物と呼ばれる服ときつねを模した白い面を頭にかけた黒髪に黒い瞳の男。
 腰と背中には合わせて六本の刀と呼ばれる剣が差してある。
 彼の名前は立花(たちばな) 総一郎(そういちろう)、東亜最大にして唯一の勇者の家をたった一人で取り仕切る勇者にして、かつて魔王を討伐した男だ。
 その彼は何故か、ベイルシアの頭上に腕を組んで愉しそうにつま先立ちしていた。
「怒ること無いじゃないの、義父上。なぁ? ベイルぅ」
「……いや、僕に言われても……。というか降りてくださいよ……重みを感じないのは毎度のことなんですけど」
「ハッハッハァ! そりゃあ拙者のお家芸だからなァ、どうも立花の魔法だけじゃ使えないんで魔術はお前並みに勉強したんだぜ? 特に重量移動やら重力制御やらはなぁ」
 そう言いながらカラカラと笑う総一郎、どうやら彼がベイルシアの頭の上に立っていられるのはそういう理由があるかららしい。
 そのまま一通りベイルシアとの会話を楽しむと思い出したかのように殺気を振り撒く大男へと視線を向けた。
「どうも久しぶりですねぇ義父上。まさか拙者の依頼を受けてくれるのが義父上とは・・・サーちゃんくれるっていう義父上なりの意思表示ですかね? 最近東亜で流行ってるんですよ? ツンデレ」
「コロス」
「ありゃ、こりゃまいったヤンデレかぁ! よっと!!」
 そう楽しげに笑うとベイルシアの頭上から飛び降り、サーシャの目の前へと着地する。
 カランという下駄が地面へ触れる音までもが楽しげで。
「久しぶりだねぇ! いつ見ても拙者の好みだね?」
「総一郎も変わってませんね。あげはさんに怒られてしまいますよ?」
 苦笑いを浮かべながら答えるサーシャに「確かに確かに」と笑いながら返す総一郎。
「クソガキィ……今度こそ冥府に叩き落してやろうかァ……」
 荒い息のまま、失われた右目から魔力の光を漏らしつつ幽鬼の如く総一郎の背後に忍び寄るベリア、総一郎は依然として己のペースを貫きながらサーシャの背後に隠れる。
「アッハッハ! 義父上もお人が悪い! ちょっと口説いただけでこうだぁ」
「黙れ色魔!! 万年発情期の貴様は口を閉ざして粉微塵に消えロォォオオ!!」
「うおっ!!」
 予備動作も無く総一郎の背後に回りこみ、拳を振り下ろすベリア。
 総一郎はそれを腰に差した刀を鞘のままで防ぐが、勢いを殺しきれずに足を滑らせ転倒した。
 そんな様子にベリアは微塵の遠慮も慈悲も無く、ある一点を狙って踏みつけた。
「ぎゃぃ!! ……………………ケフッ」
 白い灰になりその場で動かなくなる総一郎。
 その光景を眺めていた男性のほぼ全員が青ざめた表情で顔をしかめていた。
「ハッ! これで少しは盛りもとれるだろう!!」



 立花最強の勇者は次の日まで目を覚ます事は無かったという。


イテェ・・・自分で書いてみたけど実際これは無い。
「男性としては最大の弱点ですからねぇ・・・」
うん、ベイルシアは喰らったことある?アレ。
「そ・・そりゃあ、何度かあらぬ疑いの制裁に・・」
ハッハッハッ、さすがだな。
「何が!?」
「本当に義父上の金的は壮絶だったぜ」
うわ、色情魔きた。
「ハッハッハ!愛の剣聖、立花総一郎様だァ!」
「あんな魔力込められて・・しかもベリアさんの力で踏み付けられて、再生可能なんですか?」
「まだまだ甘いなぁベイルぅ!拙者は女性の為なら心臓の数だって増やせるんだぜ?」
「キモ!!」
キモいね、何でこんな子になったんだろ・・・。
最初は真面目で初心な侍少年な設定だったのに・・。
「それは暗黒太陽の陰謀だ(ry」


さて、次回は・・・・秘密です!!
「実は考えてないだけなんだぜ?」

でわでわー。






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