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魔法少女は誰かを愛しちゃダメなんですか 作者:貞治 参

第1章

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第5話 サークル・オブ・マジック2戦目

「もちろんです!」

 アイが応える。

 ミミは一度頷いて、サークルへと向かう。



 整理をしよう。ミミはサークル中央へ向かう途中に考える。

 魔力の観点からは分が悪い。しかし、先の対戦で得た情報がこちらにはある。

 まず、相手の魔法について。

 相手は、エネルギー変換・風を主に使っていた。ただし、風だけではなく、他のポピュラーな変換である熱、光、音、それからテレキネシスもおそらく使えると見ていいだろう。今回の勝負では、相手をサークルの外に追い出すことが目的なのだから、有効なのは風とテレキネシスだ。実際、風で私は飛ばされた。風速は30m/s以上はあっただろうか。あとは、こちらを怯ませるために音や光を使うことはあるかもしれない。

 ああ、そうか。シズがアイにとって今回のルールが有利だと言っていたのは、きっとアイが風をよく使うからだ。よく使うがゆえに練度が高い、ということなのだろう。

 それ以外の系統の魔法については不明であるが、神経支配、偽の物質生成くらいはきっと使えるだろう。



 では、次に私の魔法について。

 私が使える魔法は、限られている。エネルギー変換については、テレキネシスと、相手のエネルギー変換魔法を打ち消す「散消」しか使えない。実体力は弱いが偽の物質生成は使える。それから、神経支配系だが、これは自身の反射および体力強化のためにしか使えない。

 こう考えると、私が相手に勝てる手段としては、相手にテレキネシスを食らわせ、一気に場外へ飛ばすしかない。問題は、テレキネシスが近距離でしか使えない、ということ。それから、私の魔力不足のために、相手を飛ばすほどのテレキネシスは一度しか使えない、ということ。

 つまり、相手に近づいて、全力でテレキネシスを放つ。これが私の取れる唯一の方法だ。



 そうだ、忘れてはいけない。メイの使い魔クッキーもいるのだ。クッキーは魔力探知に特化した使い魔。自分の力ではないため、少々抵抗は感じるが、今回も協力してもらおう。



 さて、どうやったら相手に近づくことができるのか……。



 ✳︎ ✳︎ ✳︎



 試合開始前、相手の魔力の渦を見たとき、これはちょっと可哀想かな、という気が実のところしていた。



 なぜアイはメイを選ばずにミミを選んだのか。それは、シズからメイの実力について聞いていたからだ。なんでも、操り魔法によって強化されたシズのエネルギー変換・風をメイは一瞬で打ち消したという。さらに、おそらく神経支配と思われる魔法で、シズは気絶させられた。これは、勝てる相手ではない。魔力も違えば、格も違う。自分では、まともに相手にすらされないだろう。

 だからメイではなく、隣にいたミミを選んだ。

 アイは、自分が慎重派であることを自覚していた。そして、自分が臆病であることも。勝てる相手にしか勝負を挑まない、ということでは決してない。しかし、初めから負けることがわかっている相手に勝負を挑むほど、アイには(それをこう呼ぶなら)勇気がなかった。

 しかし、ミミを選んだことを、正直後悔もしていた。これは、もしかすると、弱いものいじめというやつではないのか。実際、先の勝負では、相手にほぼ何もさせることなく、勝ってしまった。いつものような、爽快感を感じる勝ち方ではなかった。

 だから、ミミがもう一度勝負をと言ったとき、少し迷ったのだ。口では元気よく応えてはみたが、なんとなく気が引けている自分がいる……。

 ……いや、そんなんじゃだめだ。相手が勝負を挑んできたのだ。こちらも全力を尽くさないと相手に失礼になってしまう。仮に次も圧勝するとしても、こちらが手を抜くわけにはいかない。さあ、考えるんだ。相手は、どう出る?

 相手の情報は少ないが、確実に言えるのは、魔力差ではこちらに分があるということだ。どのようなタイプの魔法を使うのかはわからないが、遠距離でこちらを攻撃できる魔法があるならすでにさっき使っていたはず。ならば、近距離で使えて相手を追い出すというこのルールに合致しているポピュラーな魔法、テレキネシスを警戒するのが妥当だろう。

 だとすれば、近づかせないことがこちらの勝利条件になる。

 風を使えばそう難しいことではないように思えるが……。

 とにかく、やってみるしかない。



 ✳︎ ✳︎ ✳︎



 ミミは、サークル中央から1メートル離れた付近に到着した。

「シズ、お願い」

 アイはすでに構えている。

「では、準備をお願いします」

 両者とも集中に入る。魔力が体を中心に渦を巻く。

「……よろしいですか。では、2戦目、始め!」



 おそらく、決着までに時間はそうかからない。

「クッキー」

「わかった」

 クッキーによるある魔法がミミにかかる。それと同時に、ミミも自身の魔力で、神経支配魔法の一種である神経強化を行った。

 神経強化は、簡単に言うと、運動神経を増大させる魔法である。ただし、ミミの魔力では大幅なアップは望めない。せいぜい、同世代のスポーツ優秀な女子程度にしかならないだろう。だが、これが精一杯だ。テレキネシスのために魔力の温存が必要だった。



 ✳︎ ✳︎ ✳︎



 ミミが自身に魔法をかけている間、まずアイは少し後方に下がり距離を取った。そして、すぐさま右手で風の魔法を放った。最大風速20m/sの面の風だ。

 ミミの反応は速かった。アイは、さきほどと同じく散消がなされるものと予想していたが、違った。ミミは、自身の体だけで面の風を避けたのだ。

 おかしい。どうやら身体能力が上がっているらしいことは動きからしてわかるのだが、それだけで風を避けることができるとは思えない。面の風は横に広がる風だ。それを少しのステップで避けることは不可能なはずだ。範囲の設定が甘かったか。間違って範囲を狭めてしまったのか。

 もう一度、今度は力を込めて、最大風速40m/sの広範囲の面の風を放つ。

 するとどうだ、やはりミミは軽い2、3のステップで躱したではないか。いや、今回は散消も使っているようだ。しかし、先の勝負でこのレベルの風の散消はできなかったはず。何が起きているのだ。



 広範囲の魔法の使用で出来てしまった隙をついて、ミミが間合いを詰めてくる。速い。どうする。もう一度風を使うか?いや、次に躱されたら、もうミミの間合いだ。

 ここは……、こちらが先にテレキネシスで飛ばす!



 その判断が誤りであったことは、即座に明らかになった。

 アイの動きは読まれていた。アイが伸ばした右手とその延長線上が避けられる。

 しまった、と思った時にはもう遅かった。アイの左足付近で、低い体勢で構えたミミはアイの脇腹めがけ、右手で魔法を放った。ずん、という加速度を感じた。



 何メートルも飛ばされた。

 体に痛みを感じた時には、すでにサークルの外であった。



 ✳︎ ✳︎ ✳︎



 ミミはサークルの中でうつ伏せに寝転がっていた。

 つ、疲れた……。

 神経強化は、ミミの体に多大な負荷をかけたようだ。さらに、ラストに放ったテレキネシス。あれには残りの魔力全てを込めてしまったので、半端じゃない疲労感に襲われている。

 うう、もう、一歩も動けない。でも、……。



 でも、勝った……!



 勝ったのだ……!!

 クッキーの力が大きかったとはいえ、魔力差を覆して勝つことができた。

 やればできるじゃないか、自分で自分を褒めたくなる。喜びを体全体で表現したいところだが、今は無理だ。

 やったよ、メイ!ああ、メイは今、どんな表情しているのかな。見たいけど、見れない。



 と、喜びを感じていたのも束の間、別の欲求が襲ってきた。

 うーん、というか、なんか、ねむい……。

 ……おやすみなさい。
[ 公開データ ]
魔力の大きさ
ミミ<<アイ<シズ<<メイ
+注意+
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