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魔法少女は誰かを愛しちゃダメなんですか 作者:貞治 参

第1章

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第34話 圧倒

「お前らは近寄るな! 遠くから牽制し続けろ!」

 サキはハルの方を見たまま、振り向かずに援軍に告げた。

「サキ先輩、腕が……」

 誰かの声がする。中学の時の後輩か? まあ、どうでもいい。

 右手に持った刀を体の左に構える。それを、勢いをつけて一気に右へと薙いだ。

 真空波。

 刀から放たれた魔力を伴う真空の波が、一直線にハルへと襲いかかる。

 だが、相手はあのハルだ。

 片手を前に突き出しただけで、いとも簡単に散消してみせた。

 ハルが反撃の構えを見せたその時。



 またもどこかからか何かが飛んできたようだ。

 ハルがそれに反応し、右手を薙いでいた。

 サキの後ろからは、次々に攻撃が仕掛けられていた。

「殺すつもりでやれ! どうせ死なない!」

 声をかけると同時に、ハルとの距離を徐々に詰め始めた。



 ✳︎ ✳︎ ✳︎



 アイはサキの右斜め後方から前へと飛び出し、数個の鉄球を生成、続けざまにハルへと飛ばした。

 サキの左斜め後方からは、ナナが何やら銃のようなものを構えて、ハルめがけて撃っている。

 シズは、その様子を見ながら、自分にできることを考えていた。

 ユリはサキの後方から、導線をつけたナイフをハルめがけて飛ばしていた。

 これで、一度に3方向からの攻撃を受けることになる。

 しかし、ハルは、やはりというべきか、全く動じず、手を適切な距離と方角に薙ぎ続けていた。アイの鉄球もナナの弾丸もユリのナイフも届かない。

 そこへ、サキが刀を振りかざし、ハルに切りかかった。



 ✳︎ ✳︎ ✳︎



 サキの刀は、いつの間にか折れていた。

 いや、これは散消だ。刀の動きが見切られている。

「ちっ」

 ハルから一旦距離を置く。

 ハルはまだアイやナナの攻撃に対応している。

 まだこちらには余裕がある。

 そう思い、サキが刀を再度生成し始めたそのとき、ハルが動いた。

 動きは相変わらず手で宙を薙いでいるだけだったが、鉄球や弾丸が散消されるというよりも蒸発したと言った方が自然な消滅の仕方を見せたのだ。

「!」

 気づいたときには、もう遅かった。

 サキは近づきすぎたのだ。所詮、ハルにとっては、数々の攻撃も、サキも、<蒸発させる>対象に過ぎなかった。

 咄嗟に右腕で頭を庇った。



 しかし、ハルの放った圧倒的な熱は予想を下回る温度でサキを覆ったのだった。

 右腕を払うと、そこには、黒い壁があった。

 熱にやられたか光を放ちながら、ブスブスと崩壊していく。

 いや、そんなことに構っている暇はなかった。

 一気に後方へと飛ばされたのだ。

 サキの目が捉えたのは、壁から自身もテレキネシスで離れようとしている魔法少女、シズの姿だった。



 ✳︎ ✳︎ ✳︎



 ハルは目の前に出来た壁にも無関心な様子であった。もう一度、左手で宙を薙ぐと崩壊した壁の破片が飛んでいき、サキやシズを襲った。

 直撃は免れないだろう。壁の生成も間に合うかどうか。

 ハル自身も相手との距離を詰めようと足を一歩踏み出したそのとき、ハルの動きが一瞬だけ止まった。

 いつの間にか、ワイヤーが張ってある。

 熱が及ばないほどのハルの近傍に、数本のワイヤーが張られ、ハルの前進を阻害したのだ。

 そして。



 ✳︎ ✳︎ ✳︎



 ユリは自身が持てる最大の電圧で、電流を導線ワイヤーに流した。

 効いたか!?

 ハルを見る。

 ハルは平然としていた。

 なぜだ。気絶程度では済まないはず。どうして効かない!?

 悩む間はなかった。

 現在ハルに最も近い位置にいるのは、ユリであった。

 ハルが攻撃態勢に入った……!



 ここでまたもや救いの手は訪れた。

 ナナの銃撃とイチの遠距離攻撃である。

 もはや、こちらにできる手段は攻撃を続けて相手に隙を与えないことしかない。

 さもなければ、ハルの、あの圧倒的な熱量でみんな仲良く蒸発させられてしまう。

 うるさそうに、ハルは横と後方から飛んできた攻撃を散消する。

 アイの鉄球もやや遅れて飛んできたが、やはり消される。

 もう、逃げる余裕はユリにはなかった。

 ここまでか……!



 ✳︎ ✳︎ ✳︎



 アイによって生成された壁にシズとサキは飛んでくる壁の破片から助けられた。

 が、今度はユリが危ない。

 サキは自身の危険も顧みずにハルへと真空波を放ちながら突っ込んでいった。

 しかし、今度のハルは、それを散消することはしなかった。

 なぜなら、ハルの次なる攻撃は……。



 ✳︎ ✳︎ ✳︎



 轟音がカブラギ通りに響いた。

 シャッター通りと化した商店街が崩壊した。

 通りの中央で大規模な爆発が起きたのである。

 その場にいたハルを除く魔法少女は、その余波を喰らい、ある者は吹き飛び、ある者は衝撃波に飲まれ、ある者は地面に打ち付けられていた。

 通りに並んでいた店は、その面影を消していた。

 イチは、その様子をスコープで覗きながら、ただ一人立っているハルに照準を当てた。

 引き金を引く……。



 ✳︎ ✳︎ ✳︎



 ナナは一瞬の気絶ののち、自身の体が自由に動かせないことに気づいた。

 そこで目にしたのは、おそらくイチによる攻撃を散消するのではなく、<弾き返した>ハルの姿であった。

 攻撃はイチの方へとそのまま引き寄せられていく。

 あの速度の攻撃は、イチには散消できない……!

「イチ!」

 声にならない声を上げて、ナナは再び気を失った。



 ✳︎ ✳︎ ✳︎



 周囲を見渡し、邪魔するものが全員倒れたことを確認したハルは、急いで彼女のボスである???のいるところへと向かっていった……。
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