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魔法少女は誰かを愛しちゃダメなんですか 作者:貞治 参

第1章

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第32話 メイの作戦

「まずはアキ。作戦は、」

 敵2名を見据えながら、メイがサキに伝える。

「壁を作らせて、消させる」

「はあ? それが作戦? 何言ってっかわかんねえ」

 よくわかっていない様子のサキの反応を無視して、メイは続けた。

「あなたじゃ、ハルの攻撃を防ぐのは無理。私が担当する」

「お前、人の話聞けよ」

「大丈夫。うまくいく」

「いや、こっちは大丈夫じゃねえよ」

 攻撃の構えを見せたハルとアキに反応、メイも杖を構える。

「ちっ。わけわかんねえな」

 舌打ちをしつつも、サキは刀を構えた。



 2対2。

 ハルとアキは、メイとサキから10メートルくらい離れた地点にいる。

 メイから見てハルは左、アキは右だ。



 まずは先手を取る。

 相手がいかに魔力発動を経た魔法発動の動作が速いと言っても、杖を持っているメイには敵わない。メイのノータイム魔法は、魔法少女の常識外の速度を誇る。

 メイが杖を横に薙ぐと、メイの前に無数のナイフが現れた。

 アキへの仕返しだ。

 間髪入れずテレキネシスでそれらのナイフを一気に、アキめがけて飛ばした。



 ハルとアキもじっとしているわけではない。

 ハルは先ほど同様、熱風をメイ達に向けて放った。

 アキは、生成した短剣をメイにやや遅れて飛ばしたのち、メイが飛ばしたナイフを防ぐため、壁を生成した。

「第一段階完了」

 サキにだけ聞こえる声量でつぶやく。

 サキの一歩前に躍り出て、ハルの熱風を防ぐ。が、やはり散消しきれず、肌が焼けるような感覚を覚える。

「っ!」

 サキも後ろで消せなかった熱に耐えているようだ。

 さらに飛んできた短剣を強烈な風、竜巻の発生によって斜め前方上空へ吹き飛ばした。



 すかさず、ナイフ第二陣を準備し、即座にアキめがけて飛ばす。

「行って!」

 言うと同時に水を生成、サキを水の膜で包んだ。

 サキは言われるがままに、ナイフを追いかけアキに、いや、正確にはアキの前方に生成されている壁に向かって、一直線に飛んでいった。

 メイも、散消を行いながら、サキの後ろからテレキネシスで自身の加速を行いついていく。



 サキを覆っている水はまだ持つか……?

「熱っ」

 サキの呻きが聞こえた。

 いや、こちらの動きの方が速い。



 ナイフが次々に壁に刺さる。

 ほぼ同時に、サキはアキの目の前の壁にたどり着いた。

 右足で強く踏み込んで、刀を横に一閃する。

 端から見れば、壁を切る動作に見えただろう。

 だが、サキの目的は違っていた。



 テレキネシス。

 刀に乗せた魔法で、壁をアキの方へ押しやったのだ。

 壁は勢いをつけてアキの方へ迫っていった。

 メイはそれを見届けた後、有無を言わせずサキをテレキネシスで上空に飛ばした。

 膨大な熱量に体を焼かれながらも、間を空けず、接近したハルに電撃を放った。

 当然、ハルによりこの電撃は打ち消される。

 が、ハルは何かに気づき、口を開こうとした。



 ピーーーーー!



 甲高い大音量の笛の音が響き渡る。

 メイによるエネルギー生成・音だ。

「後ろ!」

 ハルの言葉はかき消された。



 ✳︎ ✳︎ ✳︎



 笛の音を聞きながら、アキは目の前に迫ってきていた壁を散消した。

 しかし、そのときアキの脳裏に浮かんだのは、消した壁の向こう側から攻撃を仕掛けてくる魔法少女の姿だった。大通りの戦いで喰らってしまった、あの策。あのときも相手はメイだった。

 壁が消える間際、アキはまだ姿を見せぬ相手に向けて電撃を放った。



 壁がかき消える。

 誰も、いない……!



 こっちが罠か……!

 振り向こうとしたその瞬間、後頭部に衝撃を受け、アキの意識はここで途絶えることとなった。



 ✳︎ ✳︎ ✳︎



 アキに一撃を喰らわせたサキは、一人の人物の登場を察知していた。

「サキさん!」

 サキの後ろ側、メイやハルのいる方向とは逆側から声が聞こえた。

「ハルさん!」

 マリだ。

 思わず、舌打ちをしてしまうサキであった。

「近づくな!」



 ✳︎ ✳︎ ✳︎



 マリ……?

 ハルが動きを止めるのと同時に、メイも、一旦ハルから距離を取った。

 熱でボロボロになった服や、己の体の火傷を気にすることもなく、マリの動向を見守った。

「戦うのはやめて下さい!」

 マリは、黒装束の仲間だ。ハルも、まさかマリには手を出さないだろう。

 メイはそう踏んだ。

 そのメイの予想を裏付けするように、戦闘を中止したハルは口を開いた。

「マリ、あなたですね」

「ごめんなさい! 私が、しゃべりました!」

 サキも事の成り行きを見届けるようだ。刀を下に下げている。

 マリはハルとサキの間に割って入った。



「でも、関係のないミミさんを巻き込むのは間違っています!」

 マリの叫びに動じる様子もなく、ハルは口調を変えずに続ける。

「あのお方の命令に背くのですか?」

「!」

「いえ、あなたはもう、背いてしまいましたね。あれだけ念を押して秘密にしていた計画をバラしたのですから」

「で、でも……!」

 マリは必死に反論の糸口を探しているようだ。

 しかし。



「これで敵味方になりましたね、マリ」

 マリの想いは届かなかった。

 ある意味では、当然の結果だ。

 彼女ら傀儡たちは、???の命令にのみ従うようにプログラムされているのだから。



 ✳︎ ✳︎ ✳︎



 ハルは右手をマリに向け、静かに攻撃を放った。

 エネルギー生成・熱。ハルによって放たれるそれは、灼熱と呼ぶにふさわしい。

 まともに喰らえば、何人たりともひとたまりもないだろう。



 しかし、その攻撃はマリに当たることはなかった。

「ちっ!」

 サキが自身の左腕を犠牲にして、マリを突き飛ばしたからだ。



 サキが声にならない声を上げる。

 刀を持っている右手で、すぐさま神経支配をかけ、痛みを消す。



 痛みを感じることはなくなったものの、左腕はもう使い物にならないどころか、一見してそれとわからないまでに焦げてしまっている。



「うわああああああああ!」

 マリの絶叫が聞こえた。

 しかし、ハルがそれで攻撃を止めるはずもない。

 ハルは、突き飛ばされて倒れたマリに右手を向けた。
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