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魔法少女は誰かを愛しちゃダメなんですか 作者:貞治 参

第1章

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第30話 不意打ち

 スミは、カブラギ通りから一本離れた通りまでやってきていた。

 あのお方のご命令である。


 …………
 ……


 ミミの誘拐は、メイの東への帰還とは行き違いになるように行われた。

 そのため、ミミの失踪に気づいたメイが引き返してくるのには相当の時間がかかるものと予想されていた。



 しかし、その予想に反して、帰還から間も無く、メイはカブラギ通りに突如として出現した。

 この速さは、おそらくは、空間魔法だろう。



 東に空間魔法の使い手がいる。



 この事実は、あのお方の注意を引いたようだ。

 メイ自身がその使い手か、あるいは、別の誰かが空間魔法を取得しているのか……?

 この問いは重要であり、早急に追及せねばなるまい。

 そう、考えていらっしゃるようだ。



 だが、今対処すべきは、こちらに迫ってきているメイだ。

「ミミの傀儡化を阻止する者、私の計画を邪魔する者は、断固として止めてきなさい」

 これが、あのお方のご命令だった。


 …………
 ……


 スミは、様子を伺っていた。

 ここ通りからなら、横道を通って、隣のカブラギ通りまで抜けることができる。

 しかし、相手はあのメイだ。

 まだ自分の接近はバレていないだろうが、バレれば即座に行動不能にされてもおかしくはない。

 ハルやアキのような傀儡化された者とは違い、スミはあのお方から魔力伝達を受けただけだ。

 自分は、メイには到底及ばないだろう。



 ならば、自分にできるのは、メイの不意をつくことだ。

 相手に気づかれず、こちらから仕掛けることができれば勝機はある。



 メイは、この横道を抜けた場所からカブラギ通りに沿って左側にいるはずだ。

 黒のローブを翻し、カブラギ通りへと出る横道を注意深く進んでいく。

 街灯はこの横道まで照らしてくれない。

 暗い道を一歩一歩進んでいく。

 だが、カブラギ通りまであと数歩の地点で、それは起こった。



 3本の長いロープが、左前方から横道に侵入してきた。

 スミを目掛けて一直線に飛びかかってくる。



 接近が気づかれた!

 仕方ない。

 一瞬の判断で、魔力発動を行い、物質散消をロープに向かって放つ。



 最初にスミまで到達した1本目を消す。


 次にやってきた2本目も消えた。


 だが、最後に飛んできた3本目はどうしても消えなかった。



 なぜ!?

 まさか、このロープ、本物?

 気づいたときには、すでに両腕を縛られたのち、体をグルグル巻きにされていた。

 偽物質で生成されたロープはフェイクだったのだ。



 なんとかロープを断ち切ろうと試行し始めたのも束の間、メイが目の前までやってきていた。

 ロープに目をそらした瞬間に、すでに間合いを詰められていたのだ。

 無表情のメイは言葉を発することなく、手に持っていた杖で地面を3回ついた。

 神経支配……!

 シズとの戦いでメイが放った技だ。

 そのことに気づいたものの、拘束されて避ける術はなく、呆気なく術中に嵌ってしまった。

 次第に、スミの意識は遠のいていった……。


 …………
 ……


 メイは、師匠の言葉を思い出していた。

 メイ、ミミ、シズ、アイのメンツで師匠に会いに行ったときのこと。

 メイは、師匠に対人戦において遠距離で相手を無力化する方法を尋ねていた。



「さっきも言った通り、君たち魔法少女は少々魔法に頼りすぎなきらいがある。魔法は、確かに便利だよ。でもね、それは、弱点にもなり得るんだ。いいかい、魔法少女が相手だからって、必ずしも魔法で攻めてくるとは限らない。時にはこちらの思いもよらない方法で攻撃をしかけてくる場合もあることを、君たちは知っておかなければならない。使えるものはなんだって使ってくる、ということを意識しなきゃあいけない」



「そして、これは君たち自身の戦いにも応用できる考えだ。いいかい、君たちは、決して魔法に縛られてはいけない。発想を自由にして、魔法に頼らないでも相手に勝てる方法を考えるんだ。そうすれば、相手の意表を突くことができる。遠距離だろうが、近距離だろうが、作戦を練るときには、このアイディアをよく覚えておくといいよ」



 メイは気を失ったスミに絡みついているロープを回収し、バッグに入れた。


 …………
 ……


 メイは考えた。

 以前にこの通りで出会った黒装束は5人。マリとこの倒れている黒装束を除けば、少なくともあと3人いるはず……。



 そして、メイは気づいた。

 その3人はすでにカブラギ通りに姿を現していることに。



 3人分の人の接近を魔力波により感知したのだ。



 メイは、相手の動きを探りながら、ゆっくりと横道を戻っていった。



 通りの両側には、メイを挟むように3人の黒装束が立っていた。

 左側に1人、右側に2人。

 魔力発動はまだしていないようだが、こちらの動きもすでに捕捉されている。

「クッキー、あれを」

「うん」

 魔力をより良く視認できるよう、クッキーに魔法をかけてもらった。



「あのお方の邪魔をするのですね」

 左側の一人から声が聞こえた。

「ええ。ミミを返してもらいます」

 メイは左右に神経を向けながら、答えた。



 スミに接近する前に、すでにメイは自身に神経強化をかけていた。

 まだ距離はある。

 即応は可能なはずだ。

 杖を構え、チョコを呼び出した。

 チョコの舌打ちが聞こえた。



「では、問答は無用、ですね」

 左の一人がそう言葉を発した途端、魔力がその周囲を渦巻き始めた。

 右の二人も同様だ。

 メイはそれらを視認し、魔力量を見て取った。



 左は、メイを上回る魔力量の持ち主。おそらく、ハルと呼ばれていた魔法少女だ。

 右には、メイと同程度の魔力量のアキがいる。それと、名前は知らないが、メイには劣るものの、一般的な魔法少女に比べれば相当な魔力量を持つ魔法少女もいる(注:カイのこと)。



 条件は、圧倒的に不利だ。

 メイを凌ぐ魔力量を持つ魔法少女がいる時点で勝敗は傾くのに、それに加えてメイと同程度の魔法少女までいる。

 はっきり言って、勝ち目は薄い。

 前回の邂逅では、逃げの一択だった。

 今は、それでも、ここで退くわけにはいかない。



 どうやら、互いに様子見をする時間は終わったようだ。



 4人の魔法少女は、示し合わせたわけでもなく、一斉に戦闘を開始した。
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