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魔法少女は誰かを愛しちゃダメなんですか 作者:貞治 参

第1章

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第27話 魔法少女傀儡化計画

「魔法少女の傀儡化……?」

 ミミは問い返した。

 灯りのない部屋で、椅子に座らされている。周囲の様子はわからない。

 神経支配の魔法をかけられたためか、体が一切動かせない。逃げ出すことはできない。魔法も使えないらしい。

 その部屋には、ミミの他に、もう一人少女がいた。

 外見はわからないが、声の様子からすると、ミミと同じくらいの年齢か。



「そう。魔法少女傀儡化計画」

 少女が先ほどの言葉を繰り返した。

 何を言っている……? ミミは訝しんだ。いや、それよりも、この状況をなんとかしないと。

 考えろ。

 ここはどこで、私は、誰に捕まったのだ?

 記憶を遡れば、黒装束の姿に思い当たった。

 ということは、???が主謀者か。

 では、ここは、きっと???の支配下にある場所なのだろう。



 ミミが考察を続けていると、少女は話し始めた。

「魔法少女の魔力に関する大原則は知っているな」

 ミミは、一度考えることを中断した。この少女を探った方がいいと判断したのだ。

「『魔法少女の魔力は、そのもののもつ愛や憎しみの大きさに反比例する』でしょ?」

「そうだ」

「で、それと今の状況と、なんの関係が?」

「西のルートが昨今拡大を続けていることは知っているか?」

 話が飛んだ。一体、何が言いたいのだ?

「知っています。???がその拡大を抑えていることも、そして増加する魔物に対抗するために戦力を集めていることも」

「ならば、話が早い」

 ミミの頭の中では、いまだ傀儡化、大原則、戦力増強の3つワードがつながらない。

 しかし、次の少女の説明で、ミミの疑問は氷解した。



「君はあのお方の傀儡となるのだ。傀儡化により、感情は消え、あのお方の指示に全面的に従うようになる。君の中にある愛や憎しみも、感情とともに消え失せる。どういうことか、わかるね。大原則により、君は膨大な魔力量を手に入れる。それと同時に、あのお方の命令一つで動く人形となる。つまり、君は、西を守るための最高の戦力たる魔法少女となるのだ」



 少女の言った言葉が頭の中に入ってくるにつれ、ミミは事の重大さを理解していった。

「私の感情を消す、ですって……?」

「そうだ。上級の神経支配魔法によってな」

 理解はしたものの、実感が湧いてこない。感情が消えるとは、一体どういうことだ……?

「すでに二人の魔法少女の傀儡化に成功している」

 少女は話を続ける。

「君も相対したことがあるだろう。黒のローブを着た、アキとハルに」

「……!」

 メイが言っていた、メイに匹敵するかそれ以上の魔力をもった黒装束たちのことか!

「彼女らは、傀儡と化した。現在、西では最も強い戦力だよ」



「もうしばらくの辛抱だ。感情散消の魔法には少々時間を要するのでね」

 ミミは、もはや絶句するほかなかった。

 感情が消える……?

 喜びも、悲しみも、怒りも、何もかもが消える……?

 愛や、憎しみも……?

 メイの顔が浮かび、さらに家族や友達、魔法少女仲間の顔が思い浮かんだ。



 嫌だ……。

 嫌だ……!

 嫌だ!



「嫌!そんなの……、嫌だ!」

 まるで子供のように、ミミは反抗した。体を動かして存分に暴れてしまいたいところだが、体は言うことを聞いてくれない。

「大丈夫。傀儡化してしまえば、その嫌だという気持ちもなくなるから」

 この場から逃れられない絶望に、ミミは力をなくした。

「嫌……」

 その言葉が、口から繰り返し出てきた。


 …………
 ……


「私のせいです。私が、ミミさんのこと、ベラベラとしゃべっちゃったから!」

 メイも電話越しにマリの言葉を聞いて、言葉を失っているところだった。

 ミミの感情が消える……?

「ミミさんの魔力が他の人より少ないってことも、私が話しちゃったんです! 傀儡化は神経支配を使うから、相手の魔力が少ない方が成功率が高まるんです。だから、ミミさんが……」

 マリのすすり泣きが聞こえてきた。

「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」

「……事情は、わかった」

 メイはやっとのことで声を出した。

「マリは悪くない。私が、今から行って止めてくるから」

「でも、今からって……」

「ううん、行く。ミミは大丈夫だから。マリは安心してて」

 数秒の間を置いた後、マリは応えた。

「……わかりました」

「じゃ」

 電話を切ろうとしたとき、マリの叫ぶような声が聞こえた。

「私も、できることをやりますから!」

 メイは、そのまま電話を切った。



 メイが西からこの町に帰ってきたとき、すでに陽は落ちていた。

 電車は。

 メイは一瞬考えて、却下する。

 もう動いていない、か。

 ならば、一か八かのあの手段を使うしか、ないか。

 メイは、必要なものを急いでバックに詰め、家を飛び出していった。


 …………
 ……


「シズ、聞いた?」

「うん。さっき」

「今は?」

「とにかくカブラギ通りのほうへ向かってる」

「わかった。私も行く」

「うん」


 …………
 ……


「ナナ、お願いがあるんだけど……」

「何?」

「緊急の用事。イチにも連絡お願い」

「用件は?」

「あのね……、」


 …………
 ……


 メイが自転車を飛ばして向かった先。

 そこは、師匠の家だった。
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