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魔法少女は誰かを愛しちゃダメなんですか 作者:貞治 参

第1章

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第24話 ユリの受難

「よろしくお願いします!」

「よろしく」

 挨拶を交わし、互いにお辞儀をした。

 このとき、すでにユリは直感していた。このペアの相性は最悪だ、と。


 …………
 ……


 西における魔物出現の頻度、出現する魔物の強さは、日に日に増大していった。

 魔力の小さい魔法少女1人では対処しきれない魔物が出てくることも多くなり、街に被害が出始めていた。

 この事態に対処するため、西の魔法少女を指揮している「本部」は、あるルールを定めた。

「魔物に対処するときは、必ず複数人で当たること」

「基本的なペアを予め設定し、任務のときはそのペアで行動すること」

 このルールの制定によって、西で活動する魔法少女は、原則、ペアを組んで行動するようになった。



 ユリはこの日、新しいペアを作るという話を聞いて、街の外れにある本部まで足を伸ばした。

 この本部、まだ設立から日は浅く、認知度も低い。また、それゆえに、指示の実効力もまだ十分ではない。今は、使う人のいなくなったあるビルを本拠地として、細々と活動をしている。

 そんな何となく頼りない本部だが、通知が来たからには行かなければならないだろう。ユリは、どんな人が私のペアになるんだろう、と少し胸を躍らせながら、互いに顔をあわせるそのときを待っていた。本部のビルのある一室でのことである。



 やがて、そのときは来た。

「失礼します」

 ドアから少女が入ってきた。自分よりも年上っぽい。高校生かな?

「メイです。あなたがペアのユリさんですか?」

「はい、そうです。今、中2です」

 なんだろう……、この違和感。

 普通なら、こんな初対面の場面では笑顔を見せるものではないのだろうか。これから仲良くやっていかなければならないのだ。相手に好印象を与えるためにも、柔らかい表情をするのが礼儀というものではないのか? 実際、ユリは内心戸惑いながらも微笑んでいる。

 しかも、相手はこちらの目を見ようとしていない。これは、もしかしなくても……。



 私の苦手なタイプだ。


 …………
 ……


 何だか絶望的な気分を味わいながら、ユリはビルを出た。メイも一緒である。これから、夜まで警戒にあたる。指令が飛んで来れば、現場へ行き、魔物に対処するのだ。

 しかし、ユリの気分は優れない。こんなことなら、1人のほうが良かったよ……。

 そんな風に思っていると、目の前の道路を歩いている知人を見つけた。

「あ、すみません、知り合いがいたので、ちょっと行ってきます」

 メイの返事を待たずに駆け出す。



「イチ、ナナ!」

「あ、ユリじゃん。おっす」

 ナナが反応する。

 イチはこちらに向かって手を挙げた。

「2人とも、何やってんの?」

 ユリが尋ねる。

「いや、本部から通達があってさ、私とイチがペアなんだと。そんで今は見回り中ってとこ」

 ナナが答え、イチも頷く。

「えー、いいなあ。私も知ってる人とペア組みたかったよ」

 ユリが嘆く。

「ユリもペア決まったんだ。誰だったの?」

 ナナの問いかけに、ユリは人差し指を指して答えた。

「あの人」

「あー、私も知らない人だ。イチ知ってる?」

 イチは首を横に振った。

「ま、別にいいんじゃない? 仲良くやれば」

「いやいや、私もそうしたいんだけどさ……。なんていうか、あの人無表情で何考えてるかわかんないし、ちょっと苦手なタイプなんだよね」

 ナナもメイのほうをじっと見つめた。メイは、どこか宙を見ながらぼうっとしていた。



「なるほどねー。確かに、おしゃべりのユリには合わないっぽいな。趣味も全く違うだろうし」

「でしょ!」

「でも、こればっかりは決定事項っぽいしなあ……」

「だよね……」

「ま、どうしても合わないってなったら、本部に掛け合ってみればいいんじゃない? 本部だって、無理やりペアを組ませて、成果が出なかったら困るだろうし」

「うん……。とりあえず今日と明日一緒に行動してみて、ダメそうだったらそうしてみる……」

「それがいいよ」

 そして、ナナは腕時計を見て、言う。

「おっと、なんか呼ばれてるみたい。じゃあね、ユリ。また今度、ゆっくり話しよう」

「うん、じゃあね」

 ユリは手を振る。ナナとイチも手を振り返しながら、足早に去っていった。

「はあ……」


 …………
 ……


「メイさん、東から来られたんですね!」

「うん」

「東も、魔物いっぱい出てくるようになってるんですか?」

「ううん。変わらない」

「メイさんはいつから魔法少女に?」

「2年前」

「どんな魔法が得意なんですか?」

「色々」

「最近、西の魔物と戦ったことってありますか?」

「ううん」

「最近はですねー、魔法が効きにくい魔物とかがいるんですよ。これ倒すの結構厄介なんですよね」

「そうなんだ」

「ええ、そうなんですよ。だから、そういう魔物にはエネルギー変換はNGで、偽物質生成で武器とかを生成して戦うのがいいんですよ」

「へえ」

 か、会話が続かない……。何を話しかけても、一言二言しか返ってこないし、こっちが振る話題に興味を示している様子もない。

 おそらくメイは、沈黙が怖くないタイプの人なんだろう。ユリはその逆で、黙っているとお腹が膨れてくるタイプである。これで、この先やっていけるんだろうか。やっぱり、明日にでもペアの解消を本部に求めてみようか……。



「言い忘れてたけど」

 おっ、メイさんから言葉が飛んできた。

「私、複数人で戦うの、苦手だから」

 えー! 今それを言いますか? これから力を合わせなきゃならないって時に!

「そ、そうなんですね」

 どう返せばいいのだ……。いや、これはチャンスかもしれない。

「じゃあ、基本、私が1人で戦うことにしますね。それでメイさんは、後方でフォローをお願いします」

 これで連携など考えずとも大丈夫だろう。今まで通り、戦うときは1人で立ち回れば、ペアのことを気にかける必要はない。

「わかった」

 メイも頷いた。



 結局、その日(土曜日)は、午後から警戒に当たったものの、出動要請はなく、街中をブラブラ歩いていただけで終わったのだった。
この第24話で、第1章で活躍するキャラクターが(2,3人を除いて)ほぼ出そろいました。
今後は、ユリ、イチ、ナナのこともよろしくお願いします。

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