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魔法少女は誰かを愛しちゃダメなんですか 作者:貞治 参

第1章

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Ep. 03 スミノート:カブラギ通りの占い屋編

スミって誰!? と疑問に思った方へ。
スミは黒装束Cですよ。
『第12話 魔物討伐』で魔物と戦っている様子が描かれています。
それでは、スミの番外編。どうぞ。
 カブラギ通りにある、秘密の場所。
 私はここで、占い稼業を営んでいる。

 今日も迷えるお客さんがやってくる。

「失礼します」

 ドアが開き、中学生くらいのメガネをかけた少女が入ってきた。

「あの、ここ、占い屋って聞いて……」

「いかにも。ここは私のお店だよ。占いでも、人生相談でも、なんでも来いさ」

 私は、どうやら緊張しているらしいその少女を安心させるように、ニッコリと笑って言った。

「どうぞ、おかけよ」

 少女は椅子に座った。少しほっとした様子である。

「さあて、まずはお名前から聞こうか」

「はい」



「私は、スミと言います。今は中学2年生です。陸上部です」

「スミちゃん、というのかい。いい名前だね」

「ありがとうございます」

 スミが頭を下げ、

「それで、あの、占いってどうやって……?」

 急くように尋ねてきた。

「まあまあ、落ち着いて」

 私はわざとゆっくりとした口調で話し始めた。

「占いとはいうけどね、私には、ううん、誰にも、未来のことなんてわかりゃしないんだよ」

「え、それじゃあ、私がこれからどうすればいいのかも、わからないんですか?」

「ううん。それは違う。私には、未来は見えないけれど、過去を見通すことができるのさ」

「過去を?」

「そうさ。過去を知れば、未来がどうなるのかの予想もつくものさ。あくまで、予想だけどね。それをスミちゃんの役に立つ形で教えてあげるのが、私の仕事さね」

 スミは、私の言葉を頭の中で反芻しているのだろう。ぶつぶつと言葉を繰り返しつぶやいている。

「今はまだ、私の言っていることがわかる必要はないよ。今日は、スミちゃんに、分かりやすい形でスミちゃんの『道』を示してあげるからね」

 スミはこっくりと頷いた。



「じゃあ、スミちゃんの悩みを聞こうか」

「はい」

 一呼吸置いて、スミは話し出した。

「私、自分に自信がないんです」

「ほう」

「根暗だし、引っ込み思案なところもあるし、そんな自分を変えたいと思っているんです」

「ふむ」

 適度に相槌を打ちながら、相手の話を促す。

「何か、そう思ったきっかけはあるのかい?」

「私、先ほども言いました通り、陸上部に所属しています」

「うん」

「ある陸上の大会があったんです。その大会で、私、400mリレーの選手として選ばれてしまったんです」

「いいじゃないか」

「それが、よくなかったんです。私、その選手としての出場権を、同じ部の仲間に譲ってしまいましたから」

「譲った? 自ら?」

「はい。私が自分で決めて、譲ってしまいました」

「ふむ」

「そもそも、私が選ばれた原因は、私の短距離の成績が良いからではなかったんです。ただ単に、私が毎日まじめに部活に取り組んでいたからなんです。顧問の先生は、それを評価して、私を選んだんです」

「うん」

「私が出場権を譲った相手は、私と大して足の速さは変わらないんですけれども、生徒会の仕事をしていて、それで部活に毎日顔を出すことができなかったんです」

「ほう」

「だから、彼女は選ばれなかった。決して不真面目だったわけではないんです。ただ、顧問の先生は、毎日部活に来て頑張っている私の方を、選んだんです」



「でも、それでその生徒に譲ることにしたのは、なぜだい?」

「これが、先ほど言った通りで、自信がなかったからなんです」

「ふむ」

「私、何かに選ばれることを極端に嫌がる性格なんです。その大きな原因が、自信のなさなんです。私よりも、彼女が出た方がいい。彼女が出た方が、成功する。私なら失敗してしまう。私なんかが出ても、うまくやっていけない。いや、それ以前にプレッシャーに耐えられない。ああ、だめだ。選ばれたくない。いっそのこと辞退しよう。いつも、そうやって考えてしまうんです」

「うん」

「でも、それじゃだめだと思ったんです。こうやって、みすみすチャンスを逃すことを続けていれば、私は一生逃げ続けることになると思って。それで、そんな自分が嫌になって、自分を変えたいと強く願うようになったんです」

 スミは話し終えると、数秒間、目を閉じた。

 そして、目を開いた。強い決意がその目には宿っていた。



「それで、私は、どうしたらいいのでしょうか」

 私は、じっくりと時間をかけて、熟慮するふりをした。

 やがて、おもむろに口を開く。

「そうさね。スミちゃん、あんたは、自分で自分のことをよくわかっているみたいだ。良いことだよ。謙虚さも大事だ」

 静かにスミは一礼をした。

「私が思うに、スミちゃんには、スミちゃんをちゃんと見てくれる人が必要なんじゃないかな」

「私を、ちゃんと見てくれる人……」

「そう。そして、スミちゃんの考えを肯定してくれる人だ」

「そんな人、いるんでしょうか。顧問の先生だって、私が真面目だってことしか見ていません。多分、私の気持ちを話しても、通じないと思います」

「真面目なことだって、良いことだよ。だけど、それだけじゃなくて、スミちゃんを勇気づけてくれる人がいいんだよね」

「勇気……」

「うん。スミちゃんの自信のなさを理解して、なおかつ、それでもスミちゃんが前に進めるように勇気を与えてくれる人。スミちゃんの強いところも、弱いところも肯定して、励ましてくれる人さ」

「……占い屋さんには、心当たりがあるんですか」

「ふふっ。よくぞ聞いてくれたね」



 私は勿体ぶって、数秒の間をおいた。そして、

「私が、スミちゃんのそばに居てあげることができれば、それでもいいんだけどね。そうはいかない。そこで、だ。私は一人の人を紹介したいと思うんだよ」

 スミが身を乗り出す。

「それは、誰なんですか」

「ふふふ。多分、スミちゃんも聞いたことのある人だよ。連絡先を教えてあげるからね。あとで自分で連絡してみるといい」

 私は、予め用意していたその人物についてのメモを、スミに差し出した。

 スミは、メモを読んで、困ったような驚いたような顔をしていた。

「???(はてなはてなはてな)……?」

「おや、聞いたことはないかい? ここいらでは有名な魔法使いだよ」

 スミが、今度ははっきりと驚いた表情を見せた。

「ああ、もちろん、スミちゃんが魔法少女だってことも気づいていたよ」

「そう、だったんですか」

「うん。さあさ、行って、早速、連絡してみなさい。その人なら、きっとスミちゃんを手助けしてくれるはずだから」



 こうして、スミは???と出会ったのだった。
この占い屋、なにやら怪しい雰囲気がしますね。
???とも知り合いのようですし、何者なんでしょうね。

さて、次回はマリによってこれまでの謎が一気に解消されます。
乞うご期待!

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