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魔法少女は誰かを愛しちゃダメなんですか 作者:貞治 参

第1章

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第16話 師匠の話③ 東のこと

「じゃあ、次の質問に行きますね。次は」

 ミミが話を続ける。

「東の情勢についてです。先ほどのお話にも出てきましたが、西はどうやらルートが拡大中で、魔法少女が足りなくなっている、ということでした。では、率直に、東はどうなんでしょうか」

「君たちが知っているかどうかはわからないが、東のルートに関しては、一応僕が見張ることになっている。たんに他にも適任者がいないだけなんだけれどね。それで、僕から見た東の現状だけど……」

 師匠が一旦区切る。

「異常は見られない」

 ミミはほっとした。メイは表情を動かさないので何を考えているか読めなかった。

「西のようにルートが拡大しているという事実はない。ある程度のルートの大きさに到達した段階で、ルートは成長を止めたようだ。もっとも、ルート拡大の原因がわからないことには、確かなことは言えない。けれど、すぐに大量の強力な魔物が押し寄せてくる、なんてことはないと見ていいだろうね。将来のことは、まだわからない。以上でいいかい?」

「メイ、なんかある?」

「別に。特にない」

「じゃあ、この質問はこれでおしまいです」



 この後、メイ、ミミ、シズ、アイはそれぞれ、自分の能力や戦い方について師匠と議論を交わした。

 メイは、対人戦において、相手を無力化するのに遠距離で効果的な手法について師匠に聞いていた。

 ミミは、自身の魔力不足を今後、どうカバーしていけば良いかを尋ねていた。

 シズとアイに関しては、師匠から特別な講義があった。西で魔物と戦うときの心得についてだった。師匠曰く、少しこちらで訓練していくといい、とのことで、今週1週間は師匠のところに通うことになったようだ。

 また、シズとアイは、特にアイの希望によって、使い魔を習得することになった。

 …………
 ……

「これで契約は完了だ。さあ、呼び出してごらん」

 アイは目を瞑り、念じた。すると、青い光を放つ球体がアイの頭上付近に現れた。

 おそるおそるアイが目を開けた。

「やった。私の使い魔!」

 嬉しそうに使い魔を見上げてはしゃいでいる。私も初めて使い魔を呼び出した時は喜んでたなあ、とミミはしみじみ思った。

「使い魔がいろいろなことを手伝ってくれるようになるためには、使い魔との対話が不可欠だ。まだアイの使い魔はこちらの言葉を理解できない。だから、アイはまず言葉を教えることから始めるんだ。なに、そう難しいことじゃない。使い魔はかなり言語能力に優れているからね。すぐに言葉を覚えて会話できるようになるはずさ。それから、使い魔がどんな方面の魔法が得意なのか、尋ねるといいよ」

「はい!」

「おっと、そうだ。まず名前を決めてあげなきゃね」

 アイが腕を組んで考え始めた。

「うーん、名前かー。ちゃんと考えてくるんだったなあ」

 うんうん唸っている。

「青い光の球……、青い……、あお……、ブルー……、よし!」

 右手の拳を左手の掌に振り下ろし、手を打った。

「君は今日から、ブルータスだ!」

 ……裏切りそう。その場にいる全員がそう思ったに違いない。

 メイを除く全員の総ツッコミにあって、アイの使い魔の名は、ブルーローズに決まった。

 …………
 ……

「よし、これでシズも使い魔を使えるようになった」

「よ、呼び出してみます」

 シズが集中する。すると、ぽわっと、赤い光の球が宙に浮いて出てきた。

「ちょっとかわいらしいですね」

 シズが微笑んだ。おや、少し珍しいな。そういえば、あんまりシズの笑った表情を見たことがないなあ。メイみたいに無表情ってわけじゃないんだけど、笑っているイメージもあまりないかな。駅の本屋さんのときと……、あとは、カブラギ通りくらい?あ、カブラギ通りといえば、まだ教えてもらってなかった。

 ここで、ミミの思考がカブラギ通りまで飛んで行ったが、

「名前は、どうしましょう。今、ちょっと思いつかないです」

「まあ、話せるようになってからでもいいかもね。話しているうちに思いつくかもしれないし」

 色は赤かあ……、と別のことを考え始めてしまい、次第にカブラギ通りからミミの心は離れていったのであった。

「ちなみに、使い魔の形は、自由に決めることができるよ。メイはそのまま球状の発光体を使っているみたいだけど」

「そうなの!えっとね、私のピンキーはね……」

 ミミが使い魔自慢を始めようとしたところで、ベルが鳴った。

「おや、もう一時間たってしまったようだね。それじゃ、約束の時間はこれで終了だ」

「ありがとうございました」

 メイやシズ、アイがお礼を述べて頭を下げたのを見て、慌ててミミも早口でお礼を口にした。

 …………
 ……

「始めはびっくりしましたよ。てっきり魔法少女の先輩か、もっとヨボヨボのおじいさんが出てくると思っていましたから」

 帰りのバスでアイが喋っている。

「まあ、あのイケメンの中身がどうなっているのかは誰も知らないんだけどね。そういえば、」

 ミミが疑問に思って尋ねた。

「西にも師匠みたいな人がいるって言ってたけど、それはどんな人なの?」

「魔法少女ですよ。本人が言うには、最古参だそうです」

「へえ、じゃあ、3年前に魔法少女になったんだ」

「そういうことだと思います」

「変わった人?」

「いえいえ、かなり、常識人って印象を受けました。魔法の指導も丁寧ですし。結構、人気のある先生だと思いますよ」

「そうなんだ。一度お会いしてみたいな」

「じゃあ、今度、西に来られた時にお連れしますよ」

「わあ、ありがとう」



 ✳︎ ✳︎ ✳︎



 アイとミミの会話を聞きながら、メイはひとり、考えごとをしていた。

「でも、本当に魔力伝達だけなんだろうか……」

 あの師匠の言葉が気にかかる。何か、まだ私たちの知らないことがある予感がする。

 気をつけないと……。
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