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過去は抱きしめられない
作:芥子


いつもと変わらない朝、目が覚めると珍しく携帯がメールを受信していた

受信メールを見るとヤマキケイコと言う人物からだった

ヤマキケイコ

誰だろう

間違いメールならば名前はでないだろうし、本当に誰だろうか見当がつかない

気になり今までの受信メールを見て見ると大半のメールがケイコという人物からのメールだ

メールを見てみたらケイコという人物は市内の病院に入院している、文面を見ると、俺とケイコという人物は付き合っているような雰囲気がある

名前すらわからない相手が恋人・・・?そんな馬鹿げた事があるか!?

そのケイコという女性に会うために俺はバイクにまたがり市内の病院に向かった

病院につくと、俺はヤマキケイコが入院している病室を手当たりしだい探し回った

その病院自体大きくなくまもなくヤマキケイコとかかれた札を見つけた

名前は一つしかかかれておらず個室である、ドアを勢いよく開けると、ベットで寝ていた女がこっちをみた

一瞬驚いた顔をしていたが、俺の顔を見ると笑顔になり起き上がって手を招いた

長い黒髪に白い肌、それにつぶらな瞳、モロ俺の好みである、この娘が本当に俺の彼女なのか

そう思うと嬉しさと困惑が混じった

「ナオユキ来てくれたんだ。手術終わってから初めてあったね」

ケイコはそう言った

ナオユキというのは俺の名前である

「あぁそうなんですか。手術成功おめでとうございます」

俺は他人行儀な感じでそういった

「うん、ナオユキたら急に旅行なんて行くって言い出して連絡取れなくて教えられなかったんだよ」

というとケイコはナオユキの背中を軽くたたいた、

寂しかったんだよ!!そんな感じがした

旅行?ナオユキは全然そんな事は記憶にない、てか旅行なんて行ったことないし・・・

「ねぇケイコさん」

「なんでさんづけなの?」

「あ・・・ゴメン。ケイコ、退院はいつなの?」

ナオユキは話題を逸らした

「えっと、来週には退院できるって、これでまたデートできるね」

ケイコははにかみながらそう言った

「あ・・・うんそうだね。またできるねデート」

「いつもナオユキに病院に来てもらってばっかりだったから・・嫌だったでしょ?」

「そんな事ないよ、ケイコに会えてうれしいし、俺にとってはデートだよ」

ナオユキは自分の口からでまかせを言ったホントはそんな記憶なんてないのに

「ええそうなのうれしい、そういえば最初のデートの時だって・・・」

突然ケイコの携帯が振るえだした。メールを着信したのだろう。ケイコの携帯には黄色の熊のストラップが付いていた

ナオユキはそのストラップをずっと見ていた

「そういえばこれ、初めてのデートでナオユキがゲームセンターで取ってくれたんだよ覚えてる?」

ケイコがメールの返信をしながらそういった。

「確かブーさんだったっけ?そういえば取った事あるような」

頭をかきながらナオユキは小声で言った

「違うよプーさんだよ。ナオユキホントどうしたの?」

「ゴメン、ちょっとボケてて」

「もうやめてよね」

二人は目が合い笑いあった

そうこうやりとりをしていると、ドアが開いた

年は40ぐらいの女性だ、ケイコがお母さんと呼ぶまでになんとなくナオユキはケイコの母親だとわかった

「あらナオユキ君こんにちわ、来てたのね」

「はい、お邪魔してます」

「いいのよ、ナオユキ君にはホント感謝してるわ、なんてお礼をしたらいいのか」

「感謝・・・え?」

たじろぐナオユキにケイコの母親は続けてこう言った

「ナオユキ君がこの娘の手術代を立て替えてくれて、本当にありがとう」

「ナオユキ・・・本当にありがとう、私のためにあんなにもの大金を出してくれて」

ケイコが続けてそう言った

手術代?命の恩人?大金・・?全然話が読めない新手の詐欺か?俺の頭には色々な考えがめぐる

「ナオユキが今までの貯金をすべて下ろして、手術代持ってきた時断ったんだけど、断りきれなくて、元気になったら絶対返すからね!」

ケイコがそういうが俺の頭はパンク寸前だった

「ゴメン、急用を思い出しちゃった帰っていいかな?」

「うん、本当にありがとう、またね!」

ケイコをそういい手を振ったが俺は適当に返事し家に向かった

何か手がかりがあるかもしれない、そう思ったからだ
しかし家に帰ってもまったく手がかりなんてなかったいつものままだ

途方にくれているとふと椅子の上のかばんを見た、中にはそして名刺が一枚入っていた

闇の商人

と書いてあり裏には○月○日21時3丁目の公園と殴った字で書かれていた

日付が十日前

そういえば、ポケットから携帯を取り出し、携帯の受信を見てみるとケイコからのメールが十日前から着ていなかった、

何か関係があるかも知れない、俺は夜の九時にその公園に向かうことにした

夜九時、少し冷える中バイクを走らせ、3丁目の公園に向かった。公園の中に入るとヨレヨレのコートに帽子を被った50代半ばの男がベンチに座っていた

一瞬ホームレスかと思ったが、一応声をかけてみた

「あのぅ、ひょっとして10日前に合いませんでしたか?」

ナオユキの問いかけに男は低い声で

「ん・・・?あぁ・・・久しぶりだな」

「確かお前には十日前に500万貸してたよな」

「やっぱお前か・・・いったい俺に何をしたんだ?」

「何をしたかって?そんな事まで忘れたのか?お前は恋人の手術費をまかなうために俺と取引をしたんだよ」

「取引だと?」

ナオユキが冷静を装いながら問い詰めていく

「あぁ俺は人の記憶を専門に売買している闇と呼ばれる商人だ、あの日お前はあの日、500万で恋人との記憶を俺に売った」

「そんな馬鹿な!!記憶を売るだと!馬鹿げてる」

ナオユキは冷静さを抑えきれず大声になった

「馬鹿だと?現にお前は恋人との記憶がまったくないだろ、しかもこれはお前も承諾してやった事だ」

男は契約書を取り出した、ナオユキのサインまである

「そんな・・・俺はそんな事をしていたのか」

落胆するナオユキに男はしゃべり始めた

「落ち込むな、すべての記憶がなくなったわけではない、それだけでお前は恵まれているそれに・・・」

「お前は取引をする寸前に携帯に恋人の事をメモしているはずだ、それを読めば少しはわかるだろ」

男がそういうとナオユキは携帯をとりだしメモ帳を開いた

すると文字がびっしり並んでいる、そこには

「ヤマキケイコ・・・俺の大切な人、高校のとき猛アタックの末付き合えるようになった。
好きなものは熊のぬいぐるみ、しかし今は病院で入院をしていて、手術費が足りない、
だからこれを取引をしそのお金をケイコに送る、
商人の話では取引後3日目から記憶の調整のため1週間ほど眠りにつくらしいから、旅行に行くと嘘をつく」

とびっしりとできる限りのケイコの事が書かれていた。まだ数ページ分も書かれている

「ちなみに取引後3日間の記憶もなくなるからな、それにしてもお前みたいな馬鹿はじめて見たぜ」

男はそういいながらタバコに火をつけた

「馬鹿だと・・・何故なんだ」

「お前は恋人を助けたいそれには500万必要だと言っただから俺は恋人との記憶だとそれぐらいだと言うとお前はすぐ首を縦にふった」

「まぁそれぐらい切羽詰まってたんだろうな、俺もこの商売長いが客のほとんどが自分の借金のためだし、皆記憶を失うのが怖くて安物ばっかりだしかも他人のために
そんなポンと記憶を投げ出したのお前が始めてだ」

男はタバコをふかし火を消した

「良い記憶だったぜ」

ナオユキは男をずっと見つめていた

「俺には記憶がない、昔借金の形に取られたらしいだがな
まぁろくな記憶もないだろうから別にいいだけどよ
だから他人の記憶を取り扱える商売ができるんだよ」

さらにタバコにひをつけて男は言う

「記憶がないから空っぽの頭はなんでも記憶しちまう、そんなんだから汚いものばかりみてて世の中はそればかりだと思ってな、
そしたらお前みたいな潔いのがでてきて口が軽くなっちまったぜ」

男は苦笑した、

「そうだったのか・・・おっさんありがとうよ、これですべてがわかったよ、けれど・・・彼女の記憶がなくなったのは寂しいけれどな」

ナオユキ消えるような小さな声でそういった、男の話が全部ホントなら自分は大切な人の記憶をすべて失った事になる、

今となってはケイコとは赤の他人レベルにまでなってしまった・・・

「ひとつ言い忘れたけどよ。、記憶なんて曖昧なもんだ、ちょっとした刺激でまた記憶がよみがえるもんだぜ」

男が唐突にそう言った

その時ナオユキにはとある記憶が頭を駆け巡った

必死になって、ゲームセンターでUFOキャッチャーをしている記憶

ナオユキの横にはケイコがいた、期待と不安そうな目でみているケイコに真剣な目つきのナオユキ

UFOキャッチャーのアームが熊のプーさんを掴み穴まで運びそれを落とした

喜ぶ二人、ナオユキは景品を取り出しそれをケイコに渡した

ケイコは早速携帯に取った景品をつけた、携帯には前のプーさんのストラップが着いており
ケイコは先に付けていたのをプーとナオユキの取ったストラップをブーを冗談ぽく呼び区別していた

「おっさん・・・ありがとぅよ」

そう言いナオユキは走って家まで向かった

うれしさと不安それらすべてが入り混じり混乱した頭をほぐすため走ったと本人は自覚している

家に着き手をひざに付き息を整えているとメールを受信した

送信者はケイコだった内容をみると「退院したらまたデートしよう、そしたらまたプーさんとってね」

と絵文字いっぱいの女の子らしいメールだった

ナオユキはすぐに「OK!思い出に残るデートをしよう」
と返信した

もう他のケイコとの記憶は戻らないかもしれないが、もうそれは仕方ない、ケイコの命には代えられないからだ

もし金がなくてケイコが死んでいたらケイコは記憶の中でしか会えない。そんなのは嫌だ

記憶の中だけではケイコの側にいてやれる事ができない

だからあの時の俺は過去の記憶を投げ出したのだろう

過去よりケイコとの思い出を作るほうが今の自分には大切だと思った

過去の話をされたら大変かもしれないが、その時はその時だ、時期に記憶の事を話すかもしれない

ナオユキは家に着き早速ケイコとのデートコースを考え始めた。














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