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私の好きなかぐや姫 ~竹取物語感想文~(改稿前) 作者:yuki kannazuki18

7.帝の恋

 さて、五人の求婚者のくだりを終えると、この物語はまったく別の顔を見せ始めます。帝の一途な愛と、天人としての運命を背負ったかぐや姫との愛の物語の始まりです。
 かと言って、突然かぐや姫がしおらしくなる訳ではありません。彼女の高ピーぶりは相変わらず。むしろさらに強調されているかもしれません。

「帝がお召しになるなんてこと、わたくしはべつに恐れ多いとも思いませんわ」

 帝? だがら何? あたしにはかんけーないわ。って口ぶりです。

 直接会いに行けない立場の帝に代わって、必ず姿を見て来るように命じられた内侍ないし中臣なかとみ房子ふさこが、

「国王のご下命を、この世に生きる人なら、どうしてお受けせずにすむものですか」

 とまで言っているというのに、

「国王の仰せごとに背く、というなら、さっさとわたくしを殺していただきましょう」

 と、まるで脅迫まがいの捨て台詞。

 当時は絶対君主制度の封建社会です。地位の低い物は高い者に従わなければ生きてはいけません。当然国王の命令は絶対。それを承知でこの言いよう。高ピーどころの騒ぎじゃありません。国の頂点に立つ、絶対的な神にも等しい君主に向かって、

「気に入らないなら、殺せー!」って、言ったんですから。

 さらに翁に位を授けるからと言っても、宮仕えさせられたら死ぬ! とまで言います。

 この辺りからお話の色合いは変わっていますね。愛らしくも冷酷でわがままな姫の姿が、必死に何かに抵抗しなければならない、苦しげな姿へと変貌していきます。

 帝の方もまだ、本気でかぐや姫に執心しているわけではなくて、次々と男達が身を滅ぼすほどの姫とは、どんな姫なのかと好奇心から容姿だけでも知りたいと思ったようです。完全に怖いもの見たさの発想ですね。
 ところが姫の態度は「殺せ」「死ぬ」というほどに激しいもの。そんな話を聞かされると、

「そういう気性が、多くの人の身を滅ぼしたのだろう」と、納得がいったようす。

 それでも一国の王たる帝が、そこまで激しく撥ねつけられれば、負けてたまるか! と、ムキになってしまいます。 そこで帝は一計を案じます。竹取の翁……この時点では名を造麻呂みやつこまろとされています。に、狩にかこつけて姫に逢えるよう、手配させます。

 こうして二人は初めて出会うのですが、帝は姫の美しさに魅了され、無理にでも連れ帰ろうとします。ところが、とたんに姫の姿はパッと消えて、影になってしまいます。
 帝は姫が普通の人ではない、何らかの化身である事を思い知らされてしまいます。

 姫の方でも、帝に辛い仕打ちをする事はありません。帝が本気で姫に惹かれてしまった事に気付いたのでしょうか。

「この国に生まれた人間の身でございましたら、帝のおぼしめしのままになることもできましょう。でも、そうではございません」と、優しい言葉をかけています。

 帝が「もとのお姿にお戻りなさい。せめてそのお姿を見て、帰ることとしよう」

 というと、すぐにもとの姿に戻ります。これまでの冷酷で、闊達な姿とは違う姫の態度です。
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