今日は大丈夫だから!
「今日は大丈夫だから!」
「本当?」
彼女はお風呂上がりに綿棒の入ったケースを持って待ち構えていた。
「きれいたまし、ちゃんと出来てるって!」
がんばっていい返すが。
「それじゃあ試してあげる、そこで綺麗ならば諦めるわ」
というわけで…
サワ
耳が指に触れるとビクッとする。
「き、綺麗だと思うけどもどうかな?」
「そうね~」
彼女はじっくりと耳の中を見渡しているようだ。
「そうね、ぱっと見きれいだけども、ここはどうかしらね?」
狙うのは自分で耳を掃除した場合、手が当たったりして、耳かきがそれ以上奥に進めにくい場所。
チョン!
綿棒がその奥に当たる。
ゾクゾクゾク!
「おやおや、どうしたんだい?綺麗にしてるんじゃなかったのかな?」
「あっ、あっ、…そこは」
こんなところかなと、綿棒を引き抜いてみれば、耳垢が毛と共に絡まりついていた。
「耳のお掃除をお願いします…もちろん、膝枕で」
「はいはい、素直に最初っからそういってくれたまえ」
耳掃除は開始される。
こんな風に時間がとれるのは、色々なことを二人で一緒に片付けているからであった。
食事の準備やなんかがそう。
モグモグ
彼は好き嫌いが特にはないが、気を付けないので食べやすいものばかりになってしまうのだ。
さっきもチクワを食べていた。
「おにぎりと味噌汁作るから」
「うん、お願い」
そういいながらも待たないで手伝う。
そんな人なので、長くゆるーく続くのだろう。
「ん…」
どんどんリラックスしているらしい、睡魔に襲われている。
この人の耳は本当に耳かきしやすい耳をしている。
まっすぐでこうして耳元から照らしてあげれば、こんなに奥まで!
そこに見えたのは耳の角栓。
ぽりぽり
ちょっとかくだけで茶色のものが混ざっていく、これをいかに綺麗に落とさずに、なおかつ気持ちよく剥ぐかって腕のみせどころである。
ピ!
大物が引っ掛かっている、耳かきを抜くとさじにめくれて丸まったか溜まりがのっていた。
くーくー
そしてもう一つ耳かきをしてて大事なことがある。
それは寝ている人を起こさないこと。
「今日もお疲れさま」
微笑みながら彼の頭を軽く撫でて、もう少し耳かきを続けることにした。
カチカチ
「それじゃあやりますか」
この隙にさっきから気になってしょうがない耳の角栓を抜いてやろう!




