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奴隷解放剣客譚 作者:蒼奈

第1章 旅立ち

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第1話 神様のおつかい

目の前には広大な自然。
僕は森の中を歩いていた。
東京生まれ東京育ちの僕にはなかなかきつい旅路である。
僕、新藤直樹がこんな森の中を歩いているには訳がある。
訳、といっても理不尽な理由なのだが。
僕はある理由により「この世界」から奴隷を無くすために旅をすることになったのだが・・・。

「適当具合にも限度があるぞ神様あああああああああああああああああ!!!!」


話は少し前に遡る。

起きろ。起きるのだ・・・。

寝ているとそんな声が聞こえてくる。
うーん・・・眠いしもう少し寝たい。

「あと五分・・・。」

「五月蠅い!さっさと起きんかぁ!」

頭を叩かれて目が覚めると、そこは神殿のようなところだった。

「えーと、ここは・・・?」

「ここは神の神殿。私は神である。」

神様は白髪に白い髭、白いローブを纏っている。
神様のイメージぴったりなのだが・・・どうもイメージ通り過ぎて胡散臭い。

「はぁ・・・神様が僕に何の用でしょう?」

はっきり言って僕には神様に呼ばれる心当たりなんてない。
無宗教だし、成績も見た目の平凡そのまま、何の取柄も無い僕に用事があるとは思えない。

「実は儂の管理しておる世界の一つのことでちょっと困っておっての。
お主の力を借りたいのじゃ。」

「とりあえず話くらいは聞きましょう。」

「うむ、実はな、その世界ではお主の世界と同じように人間が暮らしておるが、
人間以外の知的生命体も多数存在する。
エルフや魔族、精霊、龍などという種族じゃ。」

「まんまファンタジーっすね・・・。」

「そうなのじゃ。ファンタジーな世界を作ってみたくてのう。」

「めっちゃゲーム感覚で世界作ってるよこの神様!」

「神様って暇なんじゃよ・・・。じゃから暇潰しに世界作って経過を観察するんじゃ。
ほれ、家庭菜園で植物を育てるのと一緒じゃよ。」

「家庭菜園くらいの気軽さ!?めっさ気軽やんけ!」

暇だし家庭菜園でも始めるか・・・よーしトマトでも作っちゃうかなー?
ぐらいの気軽さに聞こえるのはきっと気のせいではない。

「趣味じゃからのう・・・。それで、じゃ。
その世界の価値観を変えたくてのう。」

「価値観?」

「うむ、その世界の人間社会にある奴隷制度を無くして欲しいのじゃ。
その世界の発展に奴隷制度があるとプラスの部分もあるにはあるんじゃが、優秀な人材が奴隷になるというだけで
文化レベルの発展がかなり遅れてしまいそうでのう・・・。」

奴隷制度、確かに日本人の僕には胸糞悪い響きだ。

「なるほど・・・いくら神様といえども文化に根付いた価値観まではどうにもできないということですか・・・。
神のお告げとかなんかで奴隷は神として許さないとか言えないんですか?」

「お告げは神官職の奴にしか伝えれないんじゃよ。
信心深い奴ならともかく、奴隷なんぞ使っておるような奴が神のお告げがあったと神官から聞いたところでのう・・・。」

なるほど。
確かに、そんなの知ったこっちゃねえと突っぱねられればそれまでだ。

「でも、なんで僕なんですか?僕なんの取柄も無いですけど。」

「色々理由はあるぞ。お主が日本人であることとか、気弱なところとか・・・。」

「意味がわかんないよ!!日本人で気弱な人ってたくさんいるよ!」

「まあ他にも色々あるんじゃがな。
お主の暮らしておる日本には奴隷制度が無く人権を尊重する国じゃろ?
つまり、奴隷制度を無くすのに理解が早い。
そして気弱ということは、弱い者の気持ちがわかるということじゃ。
奴隷の味方になるにはそういう人間の方が良いじゃろ?」

そう言われてみると確かに、奴隷の味方になってあげてと頼むのならに自信満々の奴より気弱な奴のほうがいいとも思えるが・・・。

「一番の問題は、そんな気弱な日本人の僕に、奴隷制度を変えるほどの力なんて無いことなんですが・・・。」

「そこでじゃ!お主には異世界に行って貰うわけじゃし、いくつか能力を授けよう!」

相変わらず軽い神様である。
ってちょっと待て!?

「か、神様!奴隷制度無くす方法、もしかして具体案は僕に丸投げですか!?」

「うむ、お主のやり方に任せる。頑張るのじゃぞ。」

全てわかった。
この神様はなんとなく暇潰しに世界作ったものの、問題が起きて、
解決するのもめんどくさいし丸投げしてきたのだ。
つまり、かなり適当なのだ。
頭が痛い話だ。

「わかりました。それではいくつか確認させてください。」

僕は神様に色々確認させて貰った。
異世界に行った後、元の世界に戻れるかどうか。
何か報酬はあったりするか。
向こうで死んだらどうなるのか。
能力は希望した能力をつけて貰えるのか。

神様は適当なノリで答えてくれた。
別に希望すれば戻ってもいいし、そのままその世界で暮らしてもいい。
報酬はリクエストによって考える。
元の世界のお金でもいいし、能力的なことでもいいし。
ただし、神様の不利益になるようなこと、例えば僕が神様を殺して神様になるっていうのはダメ。
向こうで死んだらこちらの世界で死ぬのと同じように死ぬ。
だからやり直しはできないし、僕が死んだら次の候補者を探す。
能力は大体OK、ただし一応聞いてから考える。
神様を殺せる感じの能力はダメ。
神様が気に入らないと判断したらダメ。

適当感が半端ないが、最低限の事、つまり自分の保身は考えているようである。
別に神様を殺すつもりはないし、ある程度は要求が通るようだ。

「じゃあ神様、僕の希望することは3つです。」

こうして、僕は神様の依頼を受けて異世界に旅立つことになった。
その時の僕は大きな勘違いをしていたが、まだ気付いていない。

そう、神様の適当さ加減を甘く見ていたのである・・・。
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