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サツキとダンの新しい世界  作者: 手絞り薬味
サツキとダンの新しい世界
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第2話サツキ編    隣の美容マッサージ男

 やっぱりお隣さんかな? 使用人っぽく無いし。

 立ち上がった男は、すごーく背が高い。

 もしかしたら二メートルくらいあるかも。

 私はチビだから見上げなきゃいけない。

 首が疲れちゃうよ……。

 うわっ! 腕も太い。

 体、超マッチョだよ。

 年齢は二十代半ばくらいかな?

 瞳は紫。すごく綺麗。

 髪の色は赤。真っ赤っていうんじゃなくて、黒と赤が混ざってる感じの短髪。

 あ、そうだそうだ。

「うちの洗濯物が飛んじゃったみたいで……。すみません」

 私は軽く頭を下げて、大男から布を返してもらった。

「私、サツキです。隣の屋敷に住んでます」

「隣……? カタヤに? 親戚か?」

 違う違う。

 首を振って否定した。

「娘です。日本という国から来て、拾われたんです」

「拾われた!?」

 大男は驚いている。

 まあ、普通は人間拾う事なんて無いもんね。

「あなたは?」

「あ、ああ。俺はダン。この屋敷は俺の物だ」

 あー。やっぱりお隣さんだった。

「お隣さんですね。宜しくお願いします」

「あ、ああ」

 私が手を差し出すと、ダンも慌てて手を出す。

 はい。握手握手。

 凄く大きくてゴツゴツして硬いなぁ。

「ところで、さっき何やってたんですか? 鏡見て」

「え……!?」

「頬を上下させて、顔の、えーと、美しくなる運動みたいなの」

 美容マッサージって、こっちでは何て言うんだっけ?

 美しくなる運動で通じるかなぁ。

 ダンはちょっと視線を逸らして頷いた。

「ああ、まあ、その通りだ」

 えー! 本当にマッサージしてたの!?

 へー。驚きだ。

 こんなごつい男が外見気にしてるの?

 ちょっと笑える。

 思わずプッと吹き出すと、ダンが軽く睨んできた。

「あ……。ごめんなさい」

 私は持っていた布をテーブルに置いて、顔を両手で挟んだ。

「私もやるよ。美しくなる運動。ほら、上、下、回して回して、ね」

 ニッコリ笑うとダンが目を見開いていた。

 ん? トーラと日本ではマッサージのやり方が違うのかな?

「じゃあ、教えてあげる。一緒にやろう。顎先から回しながら上に。ほら、早く」

 動かないダンの腕をポンポンと叩き促すと、眉を寄せながらも真似してやりだした。

 そうして暫く二人で顔のマッサージをやっていると、うちの方から私を呼ぶ声が聞こえた。


「サツキ様ーっ!!」


 マチルダの声だ。

 あ、そうか。

 黙って居なくなったから、心配して捜してるんだ。

「はーい!!」

 私は大きな声で返事して、テーブルに置いていた布を持った。

「ごめんなさい、帰らなきゃ。さようなら」

 軽く頭を下げて塀に向かう私をダンが呼び止める。

「サツキ」

 え? 何?

 ダンが指差す先を見ると、あ、門だ。

 あそこから出ろってことか。

 確かに、門があるのにわざわざ塀を乗り越える必要は無いよね。

 私はもう一度ダンに頭を下げて、門に向かって駆けた。


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