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ロック陰陽師 作者:鑑祐樹
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第13話 纏わりつかれた男

「バン、ウン、タラク、キリク、アク」

 山城にゆっくりと歩み寄りながら、立花が何か、知らない言葉を発した。
 その言葉と共に、右手の指先で星の形を画く。

「あっ」

 一瞬――眩い光が山城を照らす。
 その一瞬で、俺の脳裏に、強烈に焼きついた。
 黒茶と白の塊。

 ――山城の肩や頭に何か得体の知れない何かが乗っていた。

 立花の発した呪文のような言葉のせいだろう。光と共に、その塊が後方に弾き飛ばされた……ように見えたのだ。

「なっ……何だよ……あれ」
 俺は動転してしまい、変な声を出してしまう。

「フン……」
 立花は鼻を鳴らすと、棒のように突っ立っていた俺に耳打ちをする。
 山城に聞こえないようにだろう。
 落ち着いた穏やかな声は、脳を正常に戻してくれる。

「大神君には悪いが、これから怖いものを見るかもしれない。でも、私が居るから問題ないよ。だから、出来れば怖がらないでね」
 呑み込まれてしまうから。と付けたしてから、立花は山城に近づいていった。

 山城は、何が起きたのか分かっていないのか、ぼんやりとしていた。コンビニの駐車場でも光が届かない場所で、背筋を丸めたシルエットは魂が抜けているように映った。

「肩が……軽くなった……」
 ぽつりと、零れ落ちたようにそう呟いた。

「さぁ、山城さん。これで一先ずは、あなたの恐れているモノは祓われました。ただ、彼女は随分としつこそうだ。今後の為にも、お話を聞かせてください」

「は、はい」

「ここは冷えるし、とりあえず、私の車へ移動しましょう」
「でも、窓が……あいつが……」

「今は、大丈夫です。この駐車場よりも、車の中のほうがまだ安全ですよ。守られていますから」

 山城の怯えた瞳は色を変える事はなかったが、立花に誘われるまま、車へと乗り込んだ。
 立花が運転席、山城が助手席、そして俺が後部座席へと乗り込んだ。今までずっと助手席だったせいか、何となく疎外感というか、不安に感じて辺りをうかがってしまう。

 またあの塊みたいなやつが出てくるんじゃないだろうなと、窓の外を確認するが、誰もいないようだった。
 すっかり冷えている車の中で、シートも冷たく感じられた。

 そうしている間に、前方から声が聞こえる。

「女……、女を連れて帰ったんです」

 全ての発端は、あの日から……と呟くと、山城は語りだした。
 長い話を。



 ……――会社帰り、女を見ました。

 夜の7時を回り、空はすっかりと暗闇に染まっていて。
 毎日歩く交差点で、信号待ちをしていました。

 赤いランプが青色に変わって、周りの人は皆歩き出しました。だけど私は、なぜか動けなかったんです。どういう訳か、動く気になれなくて。
 私の横を、サラリーマンや、大きなバックを持った女子高校生が通り過ぎて行きました。でも、私はただ棒のようにたたずんでたんです。

 目線の先――。

 私がいる横断歩道の反対側に、女性が立っているのに気が付きました。
 長い髪と白いワンピースを風に揺らしながら――私の顔を見ると、彼女はにっこりと笑いました。

 あ、可愛いなって。思ってしまったんです。

 次の瞬間、私の足は横断歩道を渡っていました。
 あれだけ、動けなかったのに、まるで嘘のように足が前に進む。

 点滅する青信号――。

 彼女の姿はもう、見当たらなかった……。

 ああ、ぼやぼやしている間に行ってしまったのかな。
 ただの通りすがりだし、もう二度と会えない人だろうと思いました。

 でも、また彼女の姿を見る事になりました。

 ――私の部屋で――。
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