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シカテマ疾風伝<第一部>
作:スピリットQ



宿にて (3)


とうとう背まで越されてしまったか…。

中忍試験で対決した時も、シカマルの技の方が一枚も二枚も…それ以上にうわてだった。
その上、上忍にまで昇格してしまったら、更に差が一段と開いてしまう。
どんどん遠ざかってしまう、そんな気がする。
成長することは喜ばしいことだが、嬉しい反面、テマリは何だか寂しい気持ちになった。

カンクロウにだって、こんな思いはしたことがなかったのに…。

成長期の少年は、驚異的に変貌する。
まだあどけなさが残ってはいるものの、急に逞しくなって大人びていく姿は、
異性が胸を焦がす要素を充分に含んでいることだろう。
確かにシカマルは、二年前に比べれば、ずいぶん逞しく凛々しくなった。
しかし、当のテマリにとってのシカマルとは、カンクロウや我愛羅と同列にいて、
弟みたいな存在だった。

……弟みたいなものだ……

そう思っていたはずなのに、今日ばかりはそれが何故だかしっくりこない。


幼い頃に母を亡くし、父を亡くし、風影の長女として厳しく育てられ、
男にならねば強くならねばと、周囲も自分も常にそう言い聞かせて生きてきた。
しかし、それに逆らうかのように、体はどんどん女らしくなっていく。
最初は戸惑っていたけれど、そんなことは気にしないようにしてきたつもりだった。
それなのに、シカマルと一緒にいると、自分が女であることを思い出す。

「……男だ女だ本当にうるさいからな、あいつは」

そして、シカマルに握らされたお金のことを思い出し、懐から数枚の銀貨を取り出す。
あの時、あのまま返したとしても、あいつはきっと受け取らなかっただろう。
それならば、いつかお返しに何かをやってもいいだろうと、
テマリは一応預かっておくことにしたのだ。

「いかんいかん、仕事を進めなければ……」

書類の束をめくる手が休んでいたのに気付き、テマリはハッと我に返る。
そして、集中力散漫になっている自分に喝を入れる。
ここのところ、毎日働きづめで、家に帰れば倒れこむように寝入っていた。

確かにあいつの言うとおり、息抜きも必要なのだろう…。

しかしそれは今ではなかった。
今はとにかく書類を整理整頓して、明日の早朝に出発し、
一刻も早く砂の隠れ里へ戻らねばならない。
上忍になった以上、遊んでなどいられないのだ。
自分は、前・風影の娘であり、現・風影の姉なのだから、
今まで以上にしっかりしなければならない。
風影を、里を支えて行かねばならないのだ。


テマリの泊まる部屋の明かりは、しばらく消えそうになかった。

 
                  


食事と入浴を済ませてからベッドに横たわったシカマルは、しばらく考え事をしていた。
今日のことをざっと振り返ると、二年半ぶりにナルトが木の葉に帰ってきて、
砂隠れの使者を案内し、一日が過ぎていった。たったそれだけのことなのに、
しばらく眠れずにいるのは何故なのか。

「あいつ…なんか変わったな…」

それは、再会した際にナルトに言い放った言葉。
なのに、今自分が思い浮かべているのは、もう一人の方。

「あいつ…あんなに…」

細かったか?
心の中で口ずさむ。あの時、とっさに握ったテマリの手と腕が、
意外に細く柔らかかったのにシカマルは驚いた。
白く繊細な指をしていた。
自分のそれとは一回り小さく見えた。
それに、ずいぶん綺麗になったような気もする。
錯覚だろうと最初は思ったが、やはりどこかが変わったのかもしれない。
綺麗な蝶に花になり、どんどん大人になっていく。

そして…、

どんどん離れていく…。

ただでさえ年上の彼女に、これ以上の置いてけぼりを食らうのは、何だか納得がいかなかった。
そんなことを考える自分が、心の片隅にいるのも事実だった。
それに、彼女自身わざと見せているのか無意識なのかはわからない、

…魅惑の胸元…

無意識にそんなことを考える自分に、思わず噴き出した。

「何だよ、魅惑の胸元って! これじゃあ、スケベナルトと一緒じゃねーか」

一人突っ込む。
それでも思考回路は留まることを知らない。

……あいつはどんどん綺麗になる。そしていつかは誰かのものに……

「ちっきしょー! 寝れねー! 一体オレはどうしちまったんだ!?」

バッと起き上がるとシカマルは、本棚に立ててある一冊の本を取り出した。
昔、アスマにもらった『誰でも面倒なことが好きになる』というハウツー本。
眠りたい時にはこれがよく効く。
これを開けば、面倒くさがり屋の彼にとって、1分もすればもう夢の中…

…だったはずなのだが。




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話は続く〜よ〜ど〜こま〜で〜も〜・・・
この話、もう少し続きますが、あらすじは最後までできているので、
あとはやる気と打ち込める時間にかかっています。
ちなみに、飛び飛びで約10年間の内容です(え)。
(グダグダ言ってねーで、さっさとアップしろってばよ!)


・ヤマト隊長っていいよね。ジャック・バウアーって呼びたい。
・本編(WJ)でのイチャイチャシリーズに、衝撃の事実が!!
・今まで書いたシカテマ小説も、微妙に変わっていたりするので、
 たまに確認してみてね(おい)。














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