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ホラーと言いつつ全然怖くないかもしれません。
ごめんなさい。
ヒアリング
作:ふかとも


耳を澄ませば聞こえてくるだろう。夜な夜な動き回る亡者達の鎮魂歌レクイエムが…。






いつもと変わらない日常。僕はいつもと変わらぬ人生を送っていた。でも、僕はそんな人生に嫌気がさしていた。
そんなある日、いつも通り学校に行った僕は何か違和感を覚えた。

何か声がする。いや、声と断定するのは分からないほどの小さい音。
学校に着いてからずっとだ。

「一体これは何だ?」

その一つの疑問が僕の心から決して離れる事は無かった。時間が経つごとに少しずつ音が大きくなっている気がする。
そして、ある程度大きくなった時点でやっと僕は確信を持った。

「これは声だ」

と…。
気付いた瞬間に僕は何とも言えない恐怖感に襲われた。回りを見渡しても皆、普通に生活をしている。


「聞こえているのは僕だけなのか?」

恐怖と同時に孤立感までもが襲ってくる。そして聴きとれるようになったそれが言っていた事は

「助けて…殺される」

僕には何の事だか理解が出来なかった。それにも関わらず声はどんどん大きくなっていく。
学校が終わった頃、声は完全に聴こえるまでに大きくなっていた。
誰かに相談したくても信じてもらえる訳がない。一体どうすれば…。

「助けて!殺される!」

声はいきなり大きくなり僕に訴えてくる。
僕は体が動いてしまう程驚いてしまった。

「くそっ…。一体なんなんだ…」

僕は精神が参っていた。
声は女の人の声か?結構若そうな声だが…。


そういえば僕の学校に不思議な奴が居ると聞いた事がある。何でもそいつは霊感があるらしい。そいつに会えば…。

僕はそいつがいつも居ると噂されている場所に向かった。
声は何故かさっき大きくなった後少し小さくなったようだ。


そいつが居ると言われている場所に着いた。そこは階段から屋上に出る少し前の踊り場だった。静かで何故か落ち着く感じがする。

「誰か居ないのか?」

僕は声をかけてみる。
すると僕の目の死角になっていた場所から男が出てきた。

「ん?何だい?僕は今眠いんだ。くだらない事だったらここから出てってくれ」

何だかやる気がないような声だ。容姿は中々格好良いんだろうが、髪型もボサボサ、服もよれよれ。相当なぐうたら主義なんだろう。

「くだらない事じゃない。大事な事だ。僕にとっては…ね」

僕は少し悲しそうに言う。

「では何だい?」

そいつは不思議そうな顔をして聞いてくる。

「僕にもよく分からないが、声が聞こえてくるんだ」

「声?」

そいつは少し興味を持ったようだ。今まであまり僕と目を合わさなかったのが僕の目を見た。

「あぁ。
「助けて、殺される」そう言われるんだ。他の皆には聞こえていないみたいで僕はどうしたら良いか分からない。そこで君を訪ねてきた訳だ」

「何故僕何だい?」

さっきから少し腹が立つ口調だが、そこはとりあえず放っておこう。

「君は霊感があるそうじゃないか。僕が思うにこれはきっと霊の仕業だ。そこで君の出番だ。僕を助けてくれ」

「おいおい…。僕は便利屋じゃないんだよ…。しかも僕が霊感があるっていうのはただの噂だろ?」

そいつは少し悲しそうな目をしていた。孤独なのか。僕にはとても寂しそうに見えた。

「噂でも何でも良い。僕には君しか望みが無いんだ」

「仕方ない…。手伝うよ」

頼まれると断れない性格のようだ。

「あぁ。まだ自己紹介して無かったね。僕の名前は黒皆 浩樹くろみな ひろきだ」

僕は簡単に自己紹介をした。

「僕は浜川 夏希はまかわ なつきだ。最も噂で知っているかも知れないけどね」

「いや、名前までは噂になってない。そんな事より宜しく。夏希」

僕は右手を夏希の方に差し出す。夏希は少し困った顔をしながら僕の手を握った。





「さてと…本題に入ろうか?」

夏希は急に真剣な表情になった。いざというときは頼りになりそうな男だ。
「いつから声が聞こえているんだ?」

「今日の朝からだ。はっきり声だと分かったのは学校が終わった頃だ」

「そうか…。じゃあちょっと調べてみよう」

そう言って夏希は立ち上がった。

「おい!もう良いのか?」

「あぁ。大体見当はついた」

こいつの行動パターンは読めないな…。夏希が立ち上がったので僕も立ち上がる。

「ちょっと付いてきてくれ」

一度こっちを向いてから夏希は歩き始めた。

「何処に行くんだ?」

「行けば分かる」

仕方なく僕は夏希に付いていく。僕にしか聞こえない声は大分小さくなっていた。何でだか分からないがこの声を放っておいてはいけない気がする。
僕は少し足を早めた。夏希は足が早く僕が足を早めてやっと同じ位だ。


着いた場所はインターネット喫茶。

「おい!何でインターネット喫茶何だ?」

「何か調べるには丁度良いんだ」

夏希についてまた一つ分かった。オタクのようだ。

「しかし、金かかるぞ。インターネットを使うならここじゃなくても…」

「ドリンクバー付いてるから居心地良いぞ」

「あっそう…」

こいつ、友達居ないな…。夏希が悲しい目をしている理由が少し分かった気がした。

インターネット喫茶は30分160円。ドリンクバー付きなら中々安いもんだ。
行くのが初めてな僕は店内をキョロキョロと見回しながら入っていく。

いつの間にか夏希はパソコンをいじり初めていた。相当馴れているのか、ブラインドタッチもお手の物らしい。

「あったぞ」

そう言って僕を手招きする。

「何があったんだ?」

画面を見ると今日の朝の事件が映っていた。

「今日の朝、女性が一人殺されている。しかも学校の近所だ。あまり表沙汰にされていないらしい。多分自分がまだ死んだ事を気づいていないのだろう」

「ちょっと待て。そうだとしても何故僕何だ?」

「多分君にも多少なりと霊感があるのだろう。だが、原因はそれだけじゃない筈だ。何か変わった事は無かったか?」

変わった事か…。朝から声が聞こえていたという事は昨日。昨日何かあったか?
そういえば不審な奴とすれ違ったような…。

「昨日の放課後に何か不審な人物とすれ違った位かな?」

「不審な人物?まさか…」

何だ?一体何を考えているんだ?

「とりあえず事件現場に向かってみよう」

夏希は直ぐ様立ち上がりお店の人にお金を払って出て行ってしまう。

「ちょ…!速いって!」

僕はお金を払い急いで夏希の後を追った。


事件現場はどうやら僕の家の近くらしい。僕の家から学校まではあまり距離はなく15分程度で着ける。

事件現場は本当に殺人があったのかと思う位普通だった。警察も居なければ野次馬も居ない。

「お、居たぞ女性が」

夏希は嬉しそうに呟く。夏希が向かっている方向を見ても誰も居ない。
本当だろうか?夏希は少し歩いた所で立ち止まり、深く息を吐いた。

女性と交信しているのだろうか?夏希はその場から一歩も動かない。
いつの間にか女性の声は聞こえなくなっていた。

「浩樹。女性は何とか分かってくれたよ。女性はやはり自分が死んだ事を気づいていなかったようだ。もう声聞こえないだろ?」

「あぁ。そう…みたいだな。だけど何でそんな浮かない顔しているんだ?」

夏希は何かすっきりしない顔をしていた。

「いや、女性を殺した犯人の事を考えていた」

「それは警察の仕事だろ?僕達が首を出す事じゃない」

「いや、きっと警察は動かない」

「何でだ?」

「これが普通の殺人じゃないからな」

何の事だかさっぱりだ。普通の殺人じゃない?訳が分からない。
夏希は気付いたように言う。

「あぁ。君の依頼はもう片付いたから君はもう関係ない」

「何言ってるんだ。乗り掛かった船だ。最後まで付き合わせろ」

「……」

僕何か変な事言ったか?人としては興味があるのは普通の事だろう。

「仕方ない…教えてあげるよ」

夏希は困ったような顔をしながら言った。

「これは警察の中でもごく一部の人しか知らない事なんだが…。この事件、殺人なのに表沙汰にされていないのは変だと思わないかい?」

「あぁ。この現場にしたって警察も居なければ野次馬も居ない。まるで殺人があった事を隠しているかのようだ」

「そう…。隠しているんだ。これは普通の殺人じゃないってさっきも言ったよな?」

「あぁ…。どういう意味何だ?」

「この事件は霊によって行われているんだ」

「何だって?」

霊が殺人を?聞いた事がないぞ。

「君が昨日すれ違ったという不審な人物が居ただろう?恐らくそれが犯人だ」

「待て。僕がすれ違ったのは不審ではあったが確かに人間だった」

「霊と言っても直接霊が殺すんじゃない。霊が人間に取りつくんだ。そして殺人をする」

「信じられると思うか?」

「いや、思っていない。だが事実だ。今までもこういう例はあったが霊が殺人を犯すなどという事を世間に公表出来ると思うか?」

確かに霊が人を殺すなど世間に公表したら混乱するだろう。

「だが、お前は何故そんな事を知っているんだ?お前に霊感があるのは分かるが何でそんな事が分かるんだ?」


「僕は親を霊に殺された。父も母も…。その事実を知ったのは警察に保護された時だった。僕もその時霊が人を殺すなんて信じていなかった。当時まだ12歳だった僕は親戚の家に引き取られた。だが親戚の家での僕の扱いは酷いものだった…。時が経ち僕も15歳になって高校に入学した。まぁ今の高校だな。今の高校には寮があるからな。お陰様で親戚の顔を見ないで済むから大助かりだ。」

深刻な話の中におどけた話を入れる夏希。夏希は一体どんな人生を送ってきたのだろうか?僕は人生がつまらない等と言っていたが夏希の人生に比べればマシだったのかもしれない。

「僕が霊感があると分かったのは高校に入る少し前だった。居る筈の無い場所に人が見えるんだ。最近は僕も目を疑った。だが見えている物はしょうがない。僕の性格も霊感と相まって人から少し変人呼ばわりされるしまつだ。」

「お前…」

僕は夏希にどんな言葉をかけたら良いか分からなかった。

「まぁ…な。あんまり気にするな。それで僕が二度目の心霊殺人に遭遇した。遭遇したと言っても既に殺人が行われた後だったけどな」

昔の事を思い出しながら話す夏希の顔はどことなく悲しみが増しているように見えた。

「その時に会った警察の人が前の僕の時に担当の金松かなまつさんだったんだ」

「金松…?」

「金松さんが僕に色々な情報をくれたんだ。今までにも心霊殺人が何回か行われていて最初の心霊殺人が僕の両親殺人事件だという事も…」

「な…に?」

「僕はそれを知らされたのは2度目の時だった。1度目の時はまだ幼かったから言わなかったのだそうだ。」

何で夏希はそんなに淡々と悲しい事を言えるんだ。僕だったらそんな事、人に言えそうにない。

「僕は何か運命的な物を感じたんだ。僕が霊感を持った事と僕の両親が殺された事件が最初の事件だったという事。何かが僕を突き動かした。それから僕はこの事件に対して色々調べている。金松さんも協力してくれているしな」

「そうだったのか…」

「まぁ、僕の話はこれくらいにして置こうか。思うんだが君の霊感は見えるのでは無く聞こえる物だと思うんだ」

「聞こえる?」

「そうだ。僕のは霊が見える。君は僕には聞こえない霊の声が聞こえる」

そうなのか?僕にもそんな力が…。

「これは僕からの依頼なんだが…。僕を手伝ってくれないか?」

「へ?僕が?」

「君は何か僕には感じ取れない何かを感じとれるようだ。君はさっき乗り掛かった船だと言ったな?では当然手伝ってくれ」

くそっ!はめられた!
まぁ殺人が起きてるという事も事実だ。人生がつまらないと思っていた所だから丁度良いだろう。

「仕方ない…。手伝ってやるよ!」

「それは助かる。では改めて宜しく」

今度は夏希から手を差し出してきた。僕は手を握る。夏希も握り返してくる。



これから僕と夏希の何かおかしい不思議な調査が始まった。


短編で書きました。
もし短編で連載希望が出たら連載する予定です。
その時はもう少し怖くするつもりです。













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