閑話休題・・・。
『―――で? 混乱したお前は、帰宅後めちゃくちゃ忙しいゴールデンタイムであるにも関わらず俺に電話をかけ、
わけのわからないことをギャアギャア喚き散らしてしまったわけか』
うんざりしたような竹下の声を聞きながら、オレは「うー」と言葉にならない呻きを零した。
ケータイを握りしめた手に、うまく力が入らない。
「た…竹下、オレ…どうしよう…」
『どうしようって、何が』
「病気なのかな…」
『はぁ? 何言ってんだよ緒方。それって間違いなく恋だろ、恋』
「こっ、こっこっこっこっこっ…!?」
『落ち着けよ。お前はニワトリか』
竹下は電話の向こうで溜め息を吐いて、『とにかく!』と少し語調を強めた。
『渡瀬会長と一緒にいて、ドキドキしたんだろ?』
「う…あー、まぁ」
『そんでもって、頭の中が渡瀬会長のことでいっぱいなんだろ?』
「…うー…あー…まぁ、うん」
『じゃあ、それは間違いなく恋だ』
「そっ、そんなぁ…!」
はじめ感じていた“まさか”は、いつのまにか“もしかして”になり、そして今この瞬間、竹下の言葉によって“間違いなく”に変えられてしまった。
あのドキドキ、は、渡瀬会長への恋愛感情。
その可能性は自分でも考えていたのだけれど、こうして他人にきっぱり言い切られると心にドスンとくる。
オレが、恋?
あの変態生徒会長に?
「あ、有り得ない有り得ない。なんかの間違いだよ。そうだと言ってくれ竹下…!」
『ごめん。俺ウソはつけない性格だから』
「ウソでもいいから言って…!」
『何をそんなに切羽詰まってんだよ、緒方』
「だってだって! だって何だか…何だか…」
『だってだってなんだもん〜♪』
「歌うな!」
倖田○未さんゴメンナサイ。
「ホント真面目に聞いてくれよ…オレ、もうどうしたらいいか…」
『あのなぁ緒方。もう素直に認めればいいじゃんか。渡瀬会長もお前のこと好きなんだし、よかったな。両思いだぜ?』
「嫌だぁぁぁぁぁぁ…」
ショックを受けるオレには頓着せず、竹下はあろうことかアッハッハッハと楽しそうに大笑いした。
『まぁとりあえず、その話はまた明日』
「な、なんでだよ」
『忙しいんだよ、俺。連ドラの最終回がいま良いところなんだ』
「何だそれ! 連ドラとクラスメイトどっちが大事なんだ!」
『連ドラ』
きっぱりと答えて、竹下はそのまま電話を切ってしまった。
ツーツーという物悲しい音を聞きながら、なんて冷たいヤツなんだ、とオレは心の中で呟いた。
ああもう、今日は眠れそうにない。
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