43話 人の欲の形
今回は、人の欲望を詳しく描いています。それを、主人公(私)の持論で強引に解決しているので、嫌いな方は読まれない事をお勧めします。本筋にはなるべく影響させませんので、飛ばしてくれても話が繋がるようにします。この様な勧善懲悪は後に意味が出てくる予定です。
(何かライト君、最近一人水戸〇門みたいだ、ふと思いました。)
感想で5万kmが有りましたが、グー〇ルアースでこのくらいの景色が良いなと感じた距離感です。これを書いてる時に思いました。ライト君、視認の光の転移とこの宇宙空間に居れる魔法で、素で月にも行けそうです。(笑)
テルミル君が公爵家に帰った翌日、皇城に来ています。
1ヶ月前に渡した報告書の結果を聞くためです。
皇城に行き、案内されて大きめのサロンに通された。
この前の飲み会メンバーが勢ぞろいしていた。プラス皇太子さんが参加してます。
テルミル君のお父さんに会釈して席について、侍女さんが入れてくれたお茶を貰う。
「さて、ライト殿も来られたことです。現在の進行状況と結果の報告を始めましょう。」
国皇様の開始の言葉で始まった。
概ね思っていた通りになったが、違いもあった。
この世界では、貴族は義務を全うしていたら罪が軽減され、義務を怠ってると平民の時より遥かに罰則が厳しいという事です。
例えると、税金の横領で比べると良く分かる。しっかり領地を治めながら横領すると、横領額の2倍の罰金、怠って横領すると罪人奴隷に落とされ、家族は服1枚で放り出される。これほどまでに対応が変わってくる。
一番気になった都市のことを聞いてみる。
「ドムルはどうなたでしょうか。」
この都市はドムル伯爵が治める地域で、国境から3つ目の都市です。覚えているだろうか。以前エルフの国の首都の誘拐事件、首謀者の男爵の都市の隣に有り、血縁関係もある。
今回の報告書で最も多くの名前が上がって、最もひどい統治をしていた貴族です。
「ライト殿にはせっかく、貴重な情報の提供を受けましたが、この都市は手のつけ様も無く困っています。ドムル伯爵は、拷問にて全ての犯罪を明らかにした後、貼り付けさらし首になり、家族は全て犯罪奴隷、使用人の3分の2は犯罪奴隷に無罪放免は3分の1しかいなかった様です。
騎士団も上層部から、順に4分の3が犯罪奴隷になりました。残りの1千人弱の騎士団と、皇都からの派遣騎士団1千人では、極一部の治安しか維持出来ないのが現状です。」
まずい、ドムルの都市は、盗賊退治の時に行ったが、都市の4分の3がスラム化していて、皇国一番盗賊の数が多く、この都市が貴族と騎士団、盗賊の繋がりが懸念された都市だった。冒険者ギルドも目付きの悪い者ばかりで、都市全体が腐った匂いが漂っていた。
そんな所の頭が無くなった。最悪都市が滅びる。
一番被害を受けるのは、子供、女性、老人です。
目を瞑り考える。
みなが静かに待っていてくれます。ありがとう。
・・・今回は時間が問題で、いかに短時間で仮の治安を取り戻すかが鍵です。そうでないと万単位の人が死んでいく。
目に力を込めて御願いする。
「ドムルの都市は、頭の無くなった、無法都市になっている可能性が高いです。早く治安を回復しなければ、都市にいる何万と言う市民が犠牲になります。
派遣した騎士達も、目標にされた時全滅するでしょう。
少なくない可能性で、都市自体が盗賊化すると予測できます。そうなれば、派遣戦力の消耗と、都市の住民で何十万人の犠牲が出て、回復は何十年と掛かるでしょう。
これを防ぐ為に、劇薬になりますが、一気に変化させたいと思うのですが、どうか任せていただけないでしょうか。
掛かる費用は全て出しますので、どうか1年間だけ全権をお貸し下さい。御願いいたします。」
立ち上がり、全員に頭を下げる。
「此方こそ力が足りず、申し訳ありません。こちらから御願いいたします。どうかドムルの住民をお救いください。
全権の他に何か出来ることはありませんか。」
国皇様がいってくれる。とてもありがたい。普通自分の分野を侵されると、とても気分が悪くなるのに、さらに言ってくれるのだから。
「本当にありがとうございます。お言葉に甘えさせてもらいます。まず、即決で裁判をしなければなりません、法律に詳しい人物で一緒に行って貰える方を1人紹介下さい。
後、冒険者ギルド、商業ギルドがドムルの都市では違法行為をしている可能性が高いので、首都の各ギルドに協力をしてもらい、監査して不正を解決してほしい。この為の人員を、冒険者ギルドより10名本日、商業ギルドより10名5日後にそろえてもらいたいのですが、御願いできますか。」
「お安い御用です。」
「では準備を始めさせてもらいます。失礼します。」
こうして、時間との戦いが始まる。
今は、午前10時頃です。まずは商業ギルドに行き、ギルド長に経緯を話して、首都近郊の余剰食糧を商業ギルドで集めてもらい、ライト商会に買い取らせてもらう手続きをする。正午に冒険者ギルド首都本部に行き、派遣職員10名、法律家1名と合流し、ラナ、フィースを呼んで転移を手伝ってもらいまとめてドムルに転移する。
南の門より入り、門で騎士団に俺が皇国の全権大使であることを告げて、50人ほど集めて冒険者ギルドに来て貰う。
ラナ、フィースに光の輪の拘束魔法で、ギルド内の全ての人間を拘束してもらう。俺は、土魔法で拘束してゆく。拘束した人間は、全て一旦訓練所に放り込み、騎士団の人間に見張ってもらう。
派遣職員に監査を開始してもらい、ラナ、フィースには入ってくる冒険者を順次拘束して連れてきてもらう。
法律家を従えて訓練所に向かう。訓練所にいる職員、冒険者全てに向かって話しかける。
「話を聞け!。今回、私は皇国より全権大使として赴任した、ライトという。」
「だまれ、冒険者にこんな事をして許されると思ってるのか。」
「わしはここの責任者だぞ。これはどういうことだ。」
後ろ暗い者ほど良く吼える。
「だ・ま・れ!!」
土の魔法で騒いだ者に猿轡をかける。
「お前達は勘違いをしている。まず私が皇国の全権大使と言った。これは私が、ここに居る全員を皆殺しにしろと言えば、それが皇国の決定になると言うことだ。
それと、この国の冒険者ギルド本部から監査員を連れてきている。よってここより上位のギルドの承認済みである。
全ての犯罪行為の清算を皆さんにはしてもらう。覚悟してもらおう。
まずは各人に自己申告を行ってもらう。死刑判決が出た時点で死刑を実行する。ただしここで救済措置を行う。他人の漏れてる犯罪を申告すれば、申告した情報が正しければ、申告者の罰を減刑する。ここで死刑になると、死刑が確定する者は他人の罪をわざわざ減らすのに、手を貸すことになって悔しい思いをしなければならない。
罪の無い者が申告した場合、その情報に報奨金を支払い、尚且つ拘束されてた日数の給金も支払う。
ちなみに、残った人たちは借金奴隷の首輪を、一旦掛けてもらい、全てを吐いてもらいます。
さあ始めよう。」
この作業を騎士団50人と、法律家の人たちで行ってもらった。
結果は、ギルド長は殺人、伯爵の犯罪関与で死刑、幹部達も死刑と犯罪奴隷、職員は犯罪奴隷と刑罰、全くの善良な職員は5分の1しかいませんでした。
首都に連絡して、仮のギルド長と職員を20人用意してもらい、俺達で連れてきて何とか最低限の業務が続けられます。
冒険者は1千人が死刑で、この人たちは盗賊と変わりませんでした。500人が犯罪奴隷、500人が刑罰を受け、1千人弱が他から来た冒険者で犯罪に関与していませんでした。
人の居なくなったギルドホールで依頼書を見ます。また1年もせず盗賊が3組発生してます。
まずは都市内の賞金首を確認して、アマリーを呼んで影の魔物を召喚してもらい、賞金首の位置を特定してもらう。
ラナ、アマリー、フィースに念話をする。
『ごめんね、人間なんかのごたごたに巻き込んで、俺の力が足りず何時も迷惑を掛けてばかりいる。そして、本当にありがとう。』
『何を言ってるのライト、あなたは私の半身。あなたを支えるのは当たり前。』とラナ。
『ライト様は私の主であり、夫である存在。もっと私を使ってくれないと寂しいです。』とアマリー
『ライトは私の愛しい方。私の番。私を愛し、もっとたくさん精を注いで、早く孕ませて下さいね。』とフィース
気のせいかフィースだけ、この空気でエロ方向に行ってる。でも生命体としては良いのか?
『みんなありがとう、・・・愛してる。』
3人が転移してきて、そっと抱きしめてくれる。俺も気持ちの全てを込めて抱きしめ返す。
アマリーの召喚した魔物が、賞金首を全て特定するまでそうやっていた。
この都市の犯罪組織は全部で14組織。大きい順に賞金首を狩っていく。1つの組織が終わると、明日朝、中央広場に代表者は集合する様に言ってから次に行く。これを朝までに14回繰り返し、中央広場で両サイドに首無し死体を積み上げ、眼前に賞金首を220個並べておく。
時間になって、各代表14名とそれぞれのサブが数名、計100人位集まった。
「まずは言って置く。俺はライト。お前らの組織全てのボスになる。気に入らなければ、掛かって来い。その時は、遠慮なく皆殺しにさせてもらう。
そう、いまこちらを狙ってる、弓8人、魔法士10人の様に。」
此方に殺気を飛ばしてる、18人を魔力で拘束して、俺の目の前に引き寄せる。少し高い位置で、首を順番に引きちぎり死体の山に投げ捨てる。
「こうして逆らってくれれば、養う人数が減って楽になるからどんどん来れば良い。
さて、お前らに来てもらったのは、お前らの中で更に代表を決めてもらう。そしてお前らの稼ぎの元、賭博、花売り、窃盗、人身売買各代表も決めろ。
この都市で、犯罪組織全てと、騎士団、冒険者、この3大戦力は今を持って俺の指揮下に入る。これ以降犯罪活動をした奴は、俺が狩りに行くから、続けたてればこの都市を出て行け。
今後俺や、お前達代表の活動拠点は、やだけど糞伯爵の屋敷にする。サブの何人かは、今から渡す金と賞金首達の懸賞金を貰って、各アジトに帰って宴会でもしてな。
戻るサブは、各島でのスラムの代表を明日の朝、元伯爵邸に来るように伝えてくれ。でっかい仕事を頼みたい。
あと、全うな商売をしている商人の店主に声を掛けて、元伯爵邸に昼過ぎに来るように言ってくれ。組織として取引がしたいから、脅したりするんじゃないぞ。」
広場に面した一番大きな屋敷が伯爵邸です。4階建てのキンキラの趣味の悪い建物で、敷地も無駄に広い。ここには地下牢があって、ひどい獣人の女の子は、手足を切断されて性奴隷にされていた。もちろん違法にさらってきた14歳ほどの女の子です。他にも、さらってきたエルフの女の子の死体とやってた形跡まであったらし。そんな子供から25歳くらいまでの女性が20人も居たらしい。牢の中には流れた胎児の死体も有ったと聞く。ほんと糞貴族が。
門で、警備している騎士の人に、
「全権大使のライトです。この屋敷は私が使用します。今後警備は必要ありません。その代わり、騎士団と私の伝令を何人か常駐させて下さい。
それと、スラムに行って、この屋敷で住み込みの使用人をしてくれる方を、50人ほど雇ってきて下さい。子供でも構いません。ではよろしく。」
と言って、組織の代表者達を連れて、屋敷に入っていく。
広間で飯と酒を貰いながら話し合い、次々と決めていく。ここの都市には違法な金貸しまでいるようです。警備部の本拠地はここにして、4方に各支部を置く。その使用する建物を決めて行く、後は明日各部門の代表者達がきてからなので、一旦帰ってもらう。
この間に集まってくれた50人の商人達に話をする。自分が皇国の全権大使であり、元犯罪組織の全てのトップであり、2Sランク商人でも有ることを。
今は、余りに評判が悪く、流れの商人が来ないので、ライト商会が一括して物資を納入する事。
悪質な商人と、評判の悪い今の商業ギルドを排除したい事。
俺が、この都市の8割以上の人を、正規の賃金で雇うので途轍もない需要が発生する事。
以上の事をするのに、一旦ライト商会に入ってくださいと御願いした。色々あったが1年間系列店舗になってもらい、この屋敷を物流の基点にして、各商店が販売商品を引き取りに来る形にした。
翌日スラムの人たち、警備部、花町、賭博所、酒場、窃盗、人身販売の主だった人たち全員で、この都市の計画を練っていく。
スラムの人たちは最初は都市の掃除と、スラムの空き家の撤去、格安炊き出し用食事の調理で、後に住宅や造成、衣料品、彩色、などの仕事をしてもらい、最初は日払いで給金を払うが、働きが悪ければどんどんやめてもらう事を言って置く。
花町、賭場所、窃盗は以前と同じだが、賭場の人に本部のここに銀行として、年利5%の融資業務をして、スラムの住人で元職人、元商人の開店資金の管理を追加した。
酒場はそのまま営業で、ライト商会からしばらく納品させる。
そして人身販売は、今居る人たちに十分なお金を渡して開放させる。そして、今回で発生する全ての奴隷を商品として今後は扱わせる。今までの取引記録は、全て騎士団に提出させる。
5日目、首都の商業ギルドに言って監査の人員を50人にしてもらい、これに騎士団100人と法律家を加えて、この都市の商業ギルドに乗り込む。
同時に、警備部に言って騎士団と協力して、違法金貸し、違法奴隷商、悪徳商人、調べの済んでる下級貴族たちの所に摘発に向かってもらう。此方は奴隷確定者ばかりなので、最初から奴隷の首輪を使い、余罪も調べてもらう。
さすが、商業ギルド、最悪でした。
伯爵の悪事に加担して、袖の下や、地上げ、盗賊を使って邪魔な商人の殺しまで何でもやってた。
商人ギルドは、トップから10人ほど死刑が確定し6割の職員が奴隷、2割が刑罰、残りは18人しか居なかった。監査員にしばらくここでがんばってもらい、首都から幹部、新ギルド長を派遣してもらう。事務員等職員として50人スラムから雇い、監査員達にも、仕事を教えてもらう。
ここからがめんどくさい。商業ギルド、金貸し、奴隷商の記録から、都市にいる奴隷全ての金額の下方修正、もしくは開放と差額の返却をしていく。開放されただけの元奴隷さんは、商会で住み込みの仕事を紹介した。
花町ではかなりの人が奴隷から開放され、続ける人が多かったが、上流社会の貴婦人達が犯罪奴隷で入ったので、人数は増えました。
そして、都市を新しく造るごとく大規模な事業が始まる。あれ?新しく造ったほうが早かったかな?
人間の社会って、どうしても光と闇の2面性があります。この所良いことばかり書いていたので、この話で、ライト君の世界観のバランスを取ったつもりです。
気付ける方は、この世直しや、食の改革などが、ライト君の最終パラメーターに影響すると分かるのでは無いかと思います。