25話 2つ目の迷宮
前の迷宮との違いを重点的に描いてみます。
昨日狩った壺付き蛸は、魔力が多い分美味しいのか、とても美味しかった。どちらかといえば、旨みは一夜干の蛸に近く、筋肉もしまっていてぷりぷりしていた。
帰って直ぐに、たこ焼きソースにチャレンジ。
肉を細かくひき肉状にし、炒めて加熱、果物の果肉を8種類潰して投入、醤油と蜂蜜、酒で煮詰めてなんちゃってたこ焼きソース完成。
たまごの黄身と果実酢、塩、胡椒で偉く違うがマヨネーズモドキも作って、たこ焼きパーティーをしました。みんなでくるくるしながら美味しくいただきました。
そう、みんなで。
乳牛要員ミノタウロス5体(今度からミノちゃんズとする)が、興味を示しあの巨体で串片手に、たこ焼きをくるくるしていた。まだ何日も経っていないのに、ミノちゃんズ順応力高すぎ。
初日は黒セラミック製の部屋に監禁していたが、早々と3食昼寝付き、プラス、アマリリスの搾乳付きを理解して、2日目から食っちゃ寝の生活になっていた。
気持ちは分かる。
旨い飯、やわらかい寝床、外敵の心配が無く、アマリリスの快感付き。出て行く理由が無い。
ただ、牛乳だけでは元が取れないので、今度から家事をやらせてみようと思う。今の食事量は、ラナ母さんが白龍だった時とほぼ同じ量にもどってしまった。
ミノちゃんズも味覚は同じらしいので、アマリリスが手取り足取り、念話で指導中です。
ちなみに、言葉はブモブモ言うだけで通じません。念話で意思が伝えられるので何とかやっていってます。
朝一で、エルフの村の長老さんと、冒険者ギルド出張所に、家に魔物飼っていますと申告しておきました。なにか印を付けて下さい。と言われたので、ドワーフの鍛冶屋に頼んで白龍の顔のコイン付きペンダントを、鑑札の替わりに身に付けさせる事にしました。
ミノちゃんズ用大を5個とスケルトン達用に30個発注しました。
朝この手続きをして、そのまま龍人の国の首都に転移して、昨日の続きからスタートです。
この迷宮、低階層は軟体生物系が多く、水棲生物がメインでした。
階層を下っていくと、動物系や、飛行系まで出てきた。ただ、その系統が寒冷地対応している、熊、狼、牛、などが多く50階までは順調にくだっていった。
55階層ボス部屋、待ち人が4組いた。最後尾に付いて順番待ちです。1時間待ってやっと番が来ました。前後のチームが心配そうに、こちらを見ていたのが印象的でした。
何とか、ギルドカードを見せて、1人で入れました。
出てきたのは、2.5mの白熊、只直立で腕が地面に付くほど長くて足より太い。気で強化しているので、パンチをブロックして下から掬い上げるようにキックを心臓に叩き込み、白熊を天井に叩きつけて終了。
掛かった時間5秒。熊肉大2個と全身毛皮1枚、宝箱には、毒が付着してるアサシンダガー2本と金貨2枚でした。
出たところに、まだ前のチームがいた。
すごく驚いていたが、何故だろう?
ここからがとっても大変でした。
多分、龍人たちは戦闘力が大きな為、3人から4人でチームを組むために、迷宮を潜ってるチーム数が多く、ボス部屋で渋滞がおきやすい。
龍人達が力が強いけど、親分肌、姉御肌の性格が多く、1人で潜ってる俺を心底心配してくれる。
それなので、心配されて無碍に出来ないのが大問題です。
そして80階層、ここでは順番待ちが10組いた。長いと待つだけで3時間掛かる。ここを超えたら今日は、時間になりそうです。
遅い昼食を食べながら待っていると、前のチームの人が話しかけてきた。
「ぼく、1人で迷宮に来ているの?それとも誰かの順番を取ってるの?」
龍人の女性でした。少し爬虫類系が入っているのでキツイ感じがするけど、心配してくれているのでかなり良い人らしい。この人の仲間は、龍人の女性1人、龍人の男性1人、獣人の虎の男性1人の3人です。
俺が1人で来ているのが分かると、強引に仮チームに誘ってきた。出れば解除すればいいのだからと、こちらがギルドカードを見せても、関係なく誘ってくる。
「大丈夫、お姉さんにまっかせなさい!」
とかなり変な事を言う。お姉さんの後ろでは、その他3名が肩をすくめていた。なんかいつもの事らしいので、仮で加入した。あきらめたとも言う。
お姉さんのチームは、典型的な龍人チームで、お姉さん盾、片手剣、獣人さん両手剣、残り2人が槍、盾装備でパワータイプでした。
後衛の魔法タイプはエルフと人間に多いため、この国のチームは後衛はいても、獣人の弓タイプがせいぜいです。
お姉さんたちは、全員Bランクになったばかりで、やっと装備の強化が終わり、この階のボス部屋にチャレンジしにきたそうです。
そうだよね。
普通、装備や道具、宿代に手入れなど結構日々日必要経費でお金がかかる。それがほぼ掛からない自分は、改めて幸せなんだと思った。
3時間弱で、俺達の番になったので、いざボス部屋へ。
居たボスは氷のゴーレム4つ腕、4mでした。
お姉さん達が駆けて行き、ゴーレムにちくちく攻撃を仕掛け、避けたり、盾で防いだりしている。俺も働かないといけない。
ジャンプし天井を使って、三角飛びの要領で、ゴーレムの肩に着地し、振り返りざまに首にローキックを叩き込み頭を吹き飛ばす。
ゴーレムの体が前に倒れて行き終了。
ゴーレムが光って消えて宝箱が出てくる。
ゴーレムのドロップ品は50cmの魔石1個でした。なんかしょぼい。
お姉さん達が唖然としている。
「何してるの?早く回収して、次のチームを待たせちゃうよ。」
お姉さん達に宝を回収させて、部屋を出る。そこで早速チームから抜けて、先を急ぐことにする。
「心配してくれて、ありがとう。お姉さん達もこれからもがんばってね。」
まだお姉さん達が復活しないので、挨拶して別れた。
この日は、84階層で終了しました。
外に出ると、夕方近くになってたので、冒険者ギルドに行って換金してかえりました。思っていた通り、レベルが1つも上がらなかった。
次は1回だけ、夜に来よう。迷宮は夜になると魔物が強くなる。外でも同じですが、同じ魔物を倒すのに危険度が上がる為、冒険者達は夜になると迷宮を出る。
夜なら待ち時間が無くボスをクリアーできるし、最初から全開で行けてスピードも最速が出せる。
そんなことを考えながら、家に着くと家の中が賑やかです。
何だろう?
入るとミノちゃんズが簡単なワンピースを着ていた。
3mクラスのミノタウロスが、ノーブラでワンピースを着てブモブモ見せ合っている。なぜか力が抜けていく。
ラナ母さん、いつの間に裁縫を覚えたんだろう。母さんの周りに生地の残りや鋏、糸、針が散乱していてえらい事になっていた。
いつも通りの、展開で今日も終わっていく。
次回は1回ほのぼの回を挟もうと思います。