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短編「根性桜」
作:鳥海ドゥンガ


根性桜

とある田舎町に若い男女がいました。二人は将来を約束し合った仲でしたが、やむを得ぬ事情から男は女のもとを離れなくてはいけなくなりました。
 男が旅立つ当日、満開になった大きな桜の木の下で二人は約束しました。
 「五年後・・五年後の桜が咲く季節にぼくは必ず戻ってくる。その時はこの大桜の下で待ち合わせをしよう」
  女は黙ってうなずきました。
「もし、この木の花が散ってしまうまでにぼくが戻らなかったら他の男と結婚してくれ」
 男はそう言って旅立っていきました。
 五年が経ちました。
 女は満開になった大桜の下を毎日訪れました。そして何時間も待ちました。
 しかし、桜のピークが過ぎた頃になってもまだ男はやってきません。
 女の頭には「もしかしたら・・」という悪い考えも浮かびました。
 桜の季節も終わりに近づいてきました。
 まだ男はやってきません。
 女の心は焦るばかりです。
 そして桜の季節が終わりました。
が、約束の大桜の木にはまだ花が咲いています。他の桜の木はとっくに葉っぱだけになったというのに、大桜の木にはまだ半分くらいの花が咲いています。
 女はどうしていいのか少し悩みましたが、男の言った言葉通り、この木の花が散るまでは待ってみようと思いました。
 雨が降りました。普通なら花が散ってしまうであろうというくらいの強い雨でしたが、大桜の木は耐えました。まだ花は残っています。
 風が吹きました。傘がひっくりかえってしまうほどの強風で、今度こそ花は全て散ってしまうだろうと思われましたが、大桜はギリギリのところでまだ花をつけていました。
 今度は木に雷が落ちました。もうだめだー!と女は思いましたが、幹の半分が焼けたにも関わらず、まだ花を落とさずにいました。
 女はまだ待ってみようと思いました。
 そして雷の翌日、男と女は無事、大桜の下で再会することができましたとさ。 
                おしまい


うちの近所にも桜がありますけど、他の木より早く散ってしまいそうなヤワ感がただよっていますねえ。













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