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異世界で魔法を覚えて広めよう 作者:早秋

第1部0章

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プロローグ

いよいよ新作投稿開始です!
よろしくお願いいたします。
 最初に気付いたのは、どこかに浮かんでいるような感覚だった。
 疑問に思って周囲を確認しようとするが、なぜか辺りを見回そうと思っても真っ暗で何も見えない。
 慌てて手足を伸ばそうとしたがこれもうまくいかず、ぎゅっと縮こまっているような感じだ。
 しばらくしてから気付いたが、なぜか不思議なことに、ほとんど同じような体勢でいるのに、疲れるという感覚はなかった。
 これだけ縮こまっていれば、体中がおかしいことになるはずなのだが。
 勿論、時折身動ぎ程度は行っているが、それだけで十分だった。

 自我(?)が目覚めてからしばらく経っていた。
 その間にいくつかのことがわかっている。
 名前は聖夜といい、どこかの学校の教師をしていたようだった。
 ただし、わかっているのはその辺くらいまでで、それ以上の個人情報となると霞がかかったように思い出せなくなってしまう。
 さらにいえば、いまの状況におかれた理由もよくわからない。
 なぜか聖夜はこの状況にまったく焦ることなく受け入れていた。
 不思議なことだらけだが、それが聖夜にとっては一番安心できることだった。
 下手に発狂して暴れるようなことになるよりは、冷静な状況で周囲を確認できていたほうがいい。

 聖夜の自我が目覚めてからしばらくは、状況の把握に努めていた。
 どうやらこの状況で聖夜は、寝起きを繰り返しているように思えた。
 外の状況が把握できないので、昼夜はまったく分からないのだが、起きているときはある程度の思考ができるのである。
 とはいえ、あまり深く考え込むと、すぐに気絶するように眠ってしまうので、あまり深く思考することはしないようにしていた。
 とはいっても、この状況を解決するためには、色々と考えなくてはならない。
 そのため、なんとか起きている間に、色々なことを試してみることにしていた。

 縮こまった手足を伸ばそうとしたり、なんとか目が見えるようにならないかと開けようとしたりしているうちに、聖夜はあることに気付いた。
 自分の身体のある場所――正確にいえばお腹のへその辺りに、時に暖かいような冷たいような不思議な感触が発生することがあったのだ。
 しかも、最初はその不思議な感覚は黙って受け入れるだけだったのだが、なんとかコントロールできないかと試すうちに、なんといつの間にか上手くいくようになっていた。
 ただ、コントロールするといっても、お腹のあたりで暖かくなったり冷たくなったりするだけなので、それで何があるわけではない。
 とはいっても、周囲の状況も確認できず、まともに身動きのできない状態だったので、不思議な感触のコントロールは、かなりの暇つぶし(?)になっていた。
 このころには、状況の変化もほとんど起こらず、思考することもなくなっていて、目覚めたときにはかなり暇をしていたのだ。
 折角見つけた大事な娯楽ということで、聖夜は目覚めているときのほとんどは、その感触のコントロールにかなりの時間を費やしていた。

 聖夜の主観(外は相変わらず見えていないのでほとんど当てにならない)では、一月ほどの時間が経ったと思われる頃、ついに状況に変化が訪れた。
 それが起こったとき、聖夜は丁度眠りについていた。
 このおかしな状況になってからほとんどはじめてといっていい状態で半強制的に起こされた聖夜は、いままで穏やかっだった周囲の環境が変わっていることに気付いた。
 まるで、外から別の力で無理やりに移動させられているような感覚だった。
 この状況に陥ったときに、聖夜はいままで考えていたことの中で、まさかの状況のひとつにいま当てはまっているのではと考えていた。
 それでもまさかという思いからは、少しの間抜け出せなかった。
 とはいえ、状況は刻一刻と流れていっている。
 悩むもなく聖夜は外からの力で、移動させられている。
 ここまで来れば、現実逃避しても仕方ないという思いが先に立ってきた結果、外からの力に合わせるように、自分自身でもなけなしの力をふるっていった。

 ――聖夜にとってはかなりの長時間。
 いつまでも続くのかと思われたその状況は、唐突に終わりの時を迎えることとなった。
 聖夜の主観では永遠にも思える移動が終わったその時に、ついに今までとはまったく違った環境に触れたことを知った。
 今まで水の中にいた状態から、ついに周囲の環境が空気になったのだ。
 そして、自分の体が何かの巨大な手につかまれたかと思った瞬間、上に持ち上げられる感覚に襲われた。

『はーい。よく頑張りましたね~。もう大丈夫ですよ~』

 誰かが何かを言ったのかはわかったが、その言葉の意味まではなぜか分からなかった。
 以前の記憶では、聖夜はきちんと言葉を話していたはずなのだが、その言葉とは全く違った物だったのだ。
 ついでに、どこの国の言葉かもわからない。

 いや、正直にいえば、聖夜もいま自分がどういう状況にあるのかはわかっていた。
 ・・・・・・いたのだが、この状況を現実として受け入れることを認めようとはしていなかったのだ。
 だが、いくら現実逃避をしようとも、いままでさんざんやってきたように、状況が変わるわけでもなく。
 仕方なしに現実を受け入れて対処することにした。
 となれば、やることはひとつしかない。
 これまで正しい機能として働いていなかった肺に思いっきり空気を入れて、自分のやるべき一番初めの大事な仕事をこなすことにする。

「おぎゃあああああ!!!!」

 その声を聞いた瞬間、周りにいた大人たちから笑い声のような喜ぶ声が聞こえて来た。
 ついに聖夜、いやこのすぐ後にセイヤと名付けられることになる人間が一人、ここに誕生することとなったのであった。
母親のお腹から外界へ。でした。
この時点では、まだ「不思議な力」であって「魔法」という名はついていません。

※プロローグは少しだけ短めです。
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