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あいつとあのこ、そしてあたし
作:佐達砂羽


 あたしには、いま 悩みがある。
 女の子のほうが背が高いなんてことは、中学生にはよくある話だからいいとして。
 クラスにひとくみ、焦れったいカップル。
 正確にはまだ付き合ってないけれど、あたしの中ではすでにカップル。
 毎日、同じ悪口ばかりの痴話喧嘩。
 背の低いあいつの短い髪を引っ張るあのこ。
 手は出さない。言い合いにも勝てないあいつ。
 夫婦漫才のような喧嘩は面白いけれど、早く付き合えばいいのにって、焦れったくてたまらない。
 あのふたりをいかにしてひっつけるかが、今のあたしの悩み、あたしの一番の楽しみ。

 運命なんて言葉を信じたくなるくらい、いくら席替えをしても隣とか前後とか斜めとか近くの席だったふたり。
 遂にバラバラになってしまった。
 教室の最前列左端にあいつ。
 一番後ろの右端にあのこ。
 あいつの後ろにあたし。

 これも運命?

 とにかくあたしは、ふたりをひっつけるべく仕掛けることにした!

「あんたすきな子とかいないの?」
 チャイムが鳴って、先生が来るまでの時間。
 机の中を探っていたあいつは、国語の教科書を引っ張り出して振り向いた。
「なんで?いてほしい?」
「うん」
 てかいるでしょ!さっさと自覚しろー
「そっかあ。おまえおれのことすきやもんなあ。自分のことすきでいてほしいよなあ」
 話がよめない。
「おまえいっつもおれのこと見てるやろ。あんなあつい視線送られたら気付かずにはおれんって!」
 このひとはいったい何を言ってるんだろう。
 あたしの作戦はあんたとあのこをくっつけることであって、あたしは関係ないんですけど。
「まあおまえ何気にモテるし、おれもちょっと気になってたし、付き合ってもいいけど?」
 なにこの 上から目線 は!
 あたしが告ったことになってる‥‥気がする。
 不愉快きわまりない!


 顔があつい気がするのは気のせいだ。
 脈が速くなった気がするのも気のせいだ。


 とりあえず 次の休み時間は屋上に逃げ込んで作戦を練り直そう。


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