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片道15分の恋人 作者:桜庭かなめ

特別編 in 2016

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12月1日(木)

特別編-End of Autumn in 2016-


 昨日で秋が終わって、今日から冬が始まる。高校生活最後の秋は文化祭と受験勉強でいっぱいだったな。いや、ハロウィンがあったか。
 2016年も残り1ヶ月となり、いよいよ受験本番の冬になった。3ヶ月後は国公立大学の試験はまだだけど、滑り止めの私立大学を幾つか合格しておきたい。
 午前7時30分。
 今日も定刻通り、各駅停車八神行きの列車が到着する。
 扉が開くとそこには天羽女子高校の制服を着た栞が立っていた。かなり寒いからか、栞は赤いマフラーをしていた。
「おはよう、栞」
「おはよう、悠介君」
 僕は電車に乗って、栞のすぐ側に立つ。今日もかなりの人が乗っていて、服を着込んでいるからか、人の割に混雑具合が凄い。上手くドアと僕の間に栞を立たせることに成功し、そのまま発車した。
「今日から冬だね」
「そうだね。もう今年も1ヶ月しかないか。何か、ここ半月ぐらいで急に寒くなってきた気がする」
「先週は雪が降ったもんね」
 先月の下旬に、東京では11月としては54年ぶりの降雪があり、その日は史上初の積雪となった。僕や栞が住んでいる潮浜市も雪が降って、道路にうっすらと雪が積もった。あの日だけは年明けのような厳しい寒さだったな。僕の通っている八神高校のある地域は更に寒かったので、敷地内にある芝生が真っ白になっていた。
「クリスマスがあったり、年末年始だったり、バレンタインデーだったり……冬は好きだけど、すぐに期末試験があるからそれだけが嫌だなぁ。私の方は来週に期末試験があるんだけれど、悠介君の方も来週だったっけ?」
「うん。僕も来週にあるよ」
 受験前だというのに期末試験があるなんて。といっても、科目によってはセンター試験や一般試験を想定した内容もあるから、そういう科目は有り難い。
「それでも、クリスマスや年末年始は一緒に過ごそうね」
「毎年恒例だもんね。今年は受験勉強の道具を持ってくることにしようか」
 付き合い始めた一昨年から、毎年クリスマスとお正月は一緒に過ごすことにしている。今年は受験だけれど、勉強道具を持っていって一緒に過ごすことにしよう。
「ねえ、悠介君。最近欲しいものってある?」
「そうだなぁ」
 おそらく、クリスマスプレゼントのことだろう。
 最近というか、今、切実に欲しいのは、第1志望の大学の合格通知だけれど、それはさすがに自分で勝ち取らなければならないし。
「……甘いお菓子かな」
「甘いお菓子だね、分かった」
「ちなみに、栞の最近欲しいものってなに?」
「悠介君と同じ学部の合格通知!」
 即答だった。
「……それは自分でちゃんと貰おうね。僕も貰えるように頑張るから」
「……うん」
 栞はちょっと不安げな様子を浮かべている。
 その理由として、先月受けた模試の結果で、僕達が目指している国立大学の学部の合格判定が、僕はB判定で合格圏内に入れたんだけれど、栞はC判定で合格ラインギリギリだったからだ。その結果を知ってから、美来は時々元気のない表情を見せるようになった。
「まだ、本番まで2ヶ月あるし、冬休みもあるから一緒に頑張ろうね」
「そうだね。……最近ほしいのは悠介君と一緒にいられる時間かな」
 笑顔でそう言ってくれるなんて。栞、いい子だなぁ。期末試験が終わったら、八神高校も天羽女子高校も自宅学習という名の冬休み期間に突入するので、その時には一緒に受験勉強ができるだろう。
「急に話は変わるけれど、紅白に出るのかなぁ。出場歌手が発表されたけれどいなかったよね」
 今日も栞は言っているよ。今年の大晦日に解散予定の男性アイドルグループがいて、栞と栞のお母さんがファンである。有名な曲が多いので僕も何曲か知っている。僕や栞が生まれた頃にはもうトップアイドルだから凄いよなぁ。
 僕も最後に紅白で歌う姿を見ておきたい気持ちもあるけれど、本人達にとっては静かに終わりを迎えたいのかもしれないし。
「あと1ヶ月あるし、もしかしたら、最後に紅白で歌う姿を観ることができる可能性があるんじゃないかな」
「そう……なるといいなぁ」
 どうやら、栞も僕と同じことを考えているようで。複雑だよな。
「まあ、そのことについては当日を楽しみにしていようよ。クリスマスや年末年始を少しでも楽しむためには、まず、ちゃんと期末試験を乗り切らないとね。赤点なんて取ってたら受験どころじゃないよ」
「そうだね。それに、きっと……勉強を頑張っていれば紅白に出てくれるよね!」
「そうかもしれないね」
 どうやら、栞は紅白に出て欲しい気持ちが強いようだ。勉強の活力になるとは相当好きなんだな。
 大学受験もあってかこの冬は例年になく、色々な意味で特別な冬になりそうだ。


特別編-End of Autumn in 2016- 終わり
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