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片道15分の恋人 作者:桜庭かなめ

恋人編

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5月2日(金)-Another Heart-

 会いたくない、っていう言葉。嘘に決まってるよ。
 あの写真を友達から見せられたとき、とてもショックだった。きっと、あの金髪の女の子が、例の高校受験の時に出会った女の子だと思う。
 私よりもずっと悠介君と一緒にいる時間が長くて。きっと、悠介君の気持ちとか色々なことを分かっていて。そんな女の子がクラスメイトにいたら、私なんてどうでもよくなっちゃうよ。
 私がいたらきっと、悠介君を苦しめるだけ。だから、一昨日の朝にあのメールを送ったの。本当は諦められないのに。会いたいのに。
 会いたいからって鏡原駅で待っているっていうメールが来たときは嬉しかった。でも、返事ができなかった。
 茶道部の活動があったから坂井先輩に相談した。悠介君が会いたいってメールを出しているんだから、悠介君に会うべきだってアドバイスをもらった。自分の本当の気持ちを悠介君に伝えようって心に決めた。
 鏡原駅で悠介君の姿を見つけたとき、凄く嬉しくなった。本当に私のことを待っていてくれたんだって。だから、彼の所に走り出そうと思った。
 だけど、私は踏み留まってしまった。写真に写っていた女の子が悠介君の側にいたから。どうして、あの子がいるの?
 ――もう、諦めた方が良いんじゃない?
 女の子がそう言った直後に、悠介君が帰った姿を見て……もう悠介君はあの女の子の彼氏なんだなって思った。きっと、彼女だって紹介して、きっぱりと私と別れるためにここまで来たんだ。
 あの子の言うとおりだよ。私は悠介君のことを諦めた方がいい。だって、あんなに可愛くて悠介君のことが好きな女の子がずっと側にいるんだよ。それに、写真を見せてくれた友達からも、悠介君みたいな人とは付き合わない方が良いって言われたし。
 それなのに、今も私は泣いている。涙を拭き取ろうとすると目元が痛い。
「……会いたいよ」
 ふと漏らしたその言葉が私の本音。恋人同士じゃなくてもいいから悠介君に会いたい。それはどんどん大きくなる。
 昼休みになった直後、悠介君から一通のメールが届く。

『今から栞に会いに行くから』

 会いに行く。その言葉を見て、思わず笑ってしまう。私が学校にいるのに、会いに来るなんてできるわけない。
 もしかして、これは夢なのかな。悠介君に会いたいって泣き寝入りして、こんな夢を見ているのかな。
 でも、本当に悠介君が会いに来てくれたら、夢でも良いからちゃんと伝えよう。
 私の気持ちと我が儘を。
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