遅ればせながら、アクセス解析で遊んでます。
Daysとか、結果が結構面白いんですよね。
罪歌、狂の話だけが他のキャラと六百人以上
読者数の差をつけています。
次が命で、その次が遥緋の話が読者数が多いです。
……やっぱ、秋月姉弟は人気があるんだなぁと改めて思いました。
PASTじゃめっちゃ影薄いですけどね。
第7話:Rough - Sea
昨日の夕方の浅葱家襲撃事件は、久しぶりにこちらの世界に大激震を起こすほどの事件だった。
狙われたのは八神の傘下の家でもある浅葱。そして、襲ったのは十名家十文字派の二階堂、三枝、一之瀬。
すなわち──十名家同士の対決という図式。詳しく知っている者なら、ユニオンと十名家の戦いとも評するだろう。
ユニオンとは、千島蒼二、天美運命、牧島郁人、棗由加、榛名神璽の五人がトップとして存在する団体。
傘下には八神も入っているため、必然的に十名家の四条派もそれに加わる事になる。
その理念は共存の為の組織。鬼神、混血、純血、悪鬼、それら全てとの共存を目指している。
幾分マシになったとはいえ、鬼神と混血と純血には大きな溝がある。ユニオンの傘下の家ではそれらは少ないが、
他の家は違った。悪鬼は人類の敵。その悪鬼から生まれた鬼神も人類の敵。
混血は力を持たない純血を見下し、純血は強大な力を持つ混血を心の底では侮蔑している。
これが、今の世界の姿だった。そして──ユニオンの長、千島蒼二は仮設されている
ユニオンの仮本部の最上階で、報告を聞きながらこれからの事を考えていた。
「──以上が、今回の事件の顛末。十文字に連絡を入れてみても音信不通。三枝も駄目。
一之瀬と二階堂は、長女と三男の行動を知らなかったみたいで、大慌てなのが現状かな」
「成る程ね。おい、運命。これから何人か引き連れて二階堂の本家へと行くぞ」
蒼二はそう厳かに告げて、コートを羽織ろうとすると、不意にその頭に湯飲みが投げつけられた。
「グハッ」と短く悲鳴を上げて、湯飲みを投げつけたであろう女──天美運命へと非難めいた視線を向けると、
「痛ぇよ! いきなり何しやがんだ!」
「運命の事はお義姉様と言え。言わなきゃ、すぐ命と離婚させる。蒼華と煉次の親権も渡さないから」
「……っ。わかったよ、義姉ちゃん」
「少し気にいらないけど、まぁいい。早くコートを着込め、お義姉ちゃんを待たせるな」
「誰の所為だと思ってやがる……!」
「何か言った!」
「別に……」
蒼二は諦めたような表情で返事をすると、運命の後に続いた。七年前に命と結婚してからというものいつもこの調子。
何回か大きな問題(主に命の独占)について抗争を繰り広げてきた二人だったが、
今はこうして義姉と義弟として、同じユニオンの幹部として協力しながら暮らしている。
そして、二人はビルを降りながらも、これからの行動や問題についても話し合いを進めた。
「神璽は見つかったのか?」
「全然。海外で由加を怒らせてそれっきり。全く、浮気なんて最低の極みだよ」
「あいつも、ホント懲りねぇよな」
「でも、進展はあったみたい。とりあえず、信頼できる人に探させてるみたいだよ」
「わかった。それと、浅葱の事後処理はどうなっている?」
「浅葱の一族はしばらく本家に身を寄せるみたい。陸人も梨香も怒ってて常に臨戦態勢。
それを郁人と竜胆に宥めてもらいながら、二人には一旦海外での調査を終了してもらって
昔みたいに情報収集に徹してもらう。あの二人、ああ見えて人脈結構あるからね」
「逃走した一之瀬の空船は?」
報告の全てを頭にいれ、状況を整理しながら蒼二は次々と運命へと質問をぶつけていく。
正直、考えなければいけない事は、この他にも沢山ある。だが、浅葱襲撃は良くない。
八神の下の家でもある浅葱を攻撃されて、黙ってしまっていては、ユニオンに関する
世論は確実にマイナスへと向かう。それを打開すべく、蒼二はあらゆる事を聞きながら
同時にそれをどう生かすかを考えていた。
「それは、九我山の令が追いかけてくれている。九我山の意思ではなく、令個人の意思でね。
後、光希と遥ママは狂の家……ああ、七海の傘下の平和なヤクザの所の客人扱いにした。
瀬戸内の方だからね。こっちと違って暖かいし、戦場にはならないほど長閑な所だよ」
「ヤクザかよ……まぁ、七海傘下のヤクザは義理と人情系の古めかしい奴らだからな。
だが、警戒は怠らせるなよ。母さんと光希に何かあってみろ。俺は絶対に許さん」
「パパを護衛につけようかと思ったけど、もしもの時に由加と居ないと困るからね。
空我と大和はお店の経営が忙しいとかナめた理由で欠席。後でぶっ殺すけどいいよね?」
「そう言ってやるな。こっちは善意でお願いしてるんだからよ」
「むぅ……蒼二はあいつらに甘い」
会話をしながら、ビルの一階までたどり着いた二人は、相変わらずの言いあいだか会議だかわからない話し合いを続けながら
表に止めてあった一台の車へと、運命は助手席へ、蒼二は後部座席へ乗り込んだ。
運転席には遥緋が既にエンジンを吹かしており、いつでも発車できる体勢。
「お義姉ちゃん、お兄ちゃん遅いよー」
「ごめんね、遥緋。蒼二の馬鹿がコート着るのに手間取ってたの」
「うわ……この年になって一人で着れないんだ」
「減給されてもいいなら信じろ。お前の常識的判断を期待する」
「も、もう! お義姉ちゃんも冗談が好きだなぁ!」
慌てて取り繕うように笑顔を浮かべる遥緋をジッと睨んだ後、蒼二はため息をつき、
「まぁいいや……目的地は、二階堂家な。安全運転で頼むぜ」
「任せてー」
そういうと遥緋はアクセルを思いっきり踏み、車を急発進させた。そして、蒼二は気づく。
自分は遥緋の運転する車に乗り込むのは初めてという事と、実技試験を二回落ちた遥緋の
運転の相談にのっていたのは律だという事実。そしてそこから導き出される答えは、危険。
周囲の車をどんどん追い抜き、大きな道路へ。更にそこでも法定速度を守ってると思いたい速さで疾走していく。
助手席に乗る運命は平然としていた。どうやら、鬼神にはこの程度にスピードは全く脅威ではないらしい。
「お、おい……安全運転は?」
「大丈夫だよ。いざとなったら、コンセプトで何とかするから」
遥緋のコンセプトは触れた物を死滅。力の度合いによっては分解する事が出来る奇異な力。
それを車の前面に発生させておけば、確かにぶつかっても"こちらは平気"だろう。
無事に着く事だけを祈りながら蒼二は、とりあえず、落ち着くことに決めた。
「そういえば、お兄ちゃん。蒼華ちゃんと煉ちゃんは体調良くなったの?」
「あー……熱は下がったみたいだな。蒼華は熱が下がった途端、家から脱走をしやがって、
命が散々叱ったらしいぜ。さっき電話したら、今は二人して肉まんを大量に食ってるんだとよ」
最愛の娘はどこで教育を間違ったのか、蒼威と陸人を足して、命で割ったような感じの女の子になってしまった。
息子は息子で姉の影となり、見えない所で姉への被害を少なくするために動くような感じ
に最近はなってきていた。可愛くなくはないが、将来が恐ろしくてたまらない。
「ははは……相変わらずだね」
「お前のトコの莉那は大人しくて羨ましい限りだ」
「大人しすぎるのが欠点だけどね。あの子、灼汰にぐらいしか言いたい事言わないし」
「蒼華は毎日言いたい放題だぜ。唯一、悪口を言わないのが親父の事だけ。どこで教育間違ったんだろ……」
「ああ、何かお父さん凄い好かれてるよね。莉那も灼汰も大好きだもん」
遥緋と蒼二の子供。すなわち、蒼威と遥の孫である蒼華と煉次と莉那と灼汰は、兎に角蒼威に懐いていた。
その次に遥に懐いており、ようやく母親である命と遥緋がきて莉王と蒼二という順番である。
「蒼威パパは尊敬できるよ。それにしても、莉那は運命の事が嫌いなのか? この前話しかけたら逃げられたんだけど……」
「ああ、あの子恥ずかしがりやだからね。後、苦手な人は適当に笑って流すから大丈夫だよ」
「俺、この前話しかけたら笑って逃げられたんだけど……」
「嫌われてるねー。とりあえず、お兄ちゃんは目つきが最悪だからね」
顔には出さないが、姪に苦手だと思われるのは精神的にかなりキツい蒼二であった。
こっそりと心中でもう少し笑顔を増やしてみようとか考えている間にも、運命と遥緋の追撃は続く。
「納得。蒼華と煉次がこんな捻くれた目つきにならないと良いけど……」
「遺伝って怖いよねー。蒼華ちゃん、お兄ちゃん似だから気をつけないと」
「女の子がこんな犯罪者のような目つきはいけない。うん、やっぱり離婚しろ」
「テメェら好き勝手言ってんじゃねぇェェ!」
その日の夜。太平洋のド真ん中、周囲には島一つ見えないその海の上で、何かが動いていた。
波に呑まれるように時折姿を消しながら、二つの人影がぶつかりあっては、離れてを繰り返していた。
性別は男と女、そして両方の服装はお互いボロボロ。かなりの長時間戦っている事がわかる。
それでも、二人はぶつかり合う。互いの目的を果たすために──
「──ッ」
黒髪の男が、闇色の塊を相手のまだ幼い少女へ向かって投げつけた。少女は悠然と空を飛翔しながらそれをかわす。
闇の塊は海水に着弾すると、闇を広げ海の一部を侵食し、その部分を消した。
だが、すぐに海水が流れ込みその部分は再び海となり、高く高く波を立てる。
そして、そのまま少女は体当たりするように男まで接近し、男の腹部に手を当てると、
「……戻って」
直後、男の体が突然吹き飛び、何度も波の間を跳ねながら数百メートルほど転がっていった。
だが、少女は表情を緩めない。油断は出来ないとばかりにすぐに男へと追いつくと、
その幼い体からは信じられないような蹴りを男の腹にぶち込み、海の中へと叩き付けた。
……男は浮かんでこない。そして、ハッとしたように何かに気づく少女。
何かに集中するように目を閉じると、海の一部分に手をかざし、
「……そこ」
風が舞い起こり、その場所に竜巻が起きた。それに巻き込まれているのは、黒髪の男。
男は少女を見て、感心したように笑うと一度腕を振っただけで、竜巻を打ち消した。
「大したガキだよ……かれこれ、10日の付き合いか?」
「……ガキじゃないもん。それと、11日だもん」
「細かいなぁ」
「……いい加減、諦めて。……君を行かすなって言われてるの」
「嫌だね」
「……じゃあ、殺すけど。……ああ、駄目だ。……殺すなって言われてるんだ」
「一体、誰の依頼なんだよ?」
「……教えない。……何でも屋は信頼がいのち」
少女の周囲に、荒れ狂う風が吹き荒れた。その凄まじい風に、流石の男も少々危険を意識。
男は最大級の力を練り上げると、闇の塊を大きく広げるようにして顕現。
そして、少女が風を解き放つのと同時に、闇の塊に命令して同じ程度の風を舞い起こす。
だが、男の力は紛い物。純正の少女の力にはやや押されてしまう。だが、それでいい。
男は闇の塊を全力で良く蹴ると、その勢いを利用したまま全力でとある方向を目指す。
少女もそれに気づき、男を追いかけるように飛んだ。二人が飛んだ先には、一つの島国がある。
日本という、男と少女が生まれた国が──
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