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投稿頻度が少なくて申し訳ありません。
執筆中小説はもうクライマックス終盤まであるのですが。
諸般事情により、二週間に一回ぐらいとなってます。
たぶん、四月になれば一週間に一回。
それぐらいかそれ以上に戻せると思うので。
それまではこのペースでお付き合い頂けると幸いです。



※KIRA☆KIRA Show Time届きました!!!
これ聞きながらバリバリ書くだけは書いていこうと思います!
a song forはマジで神曲すぎる。
第20話:千島家、西へ
 ユニオンと十名家の抗争が激化したのと、浅葱家が襲撃された事件があったので、
 千島家は七海傘下のヤクザへと身を寄せる事になっていた。
 蒼威はもう殆ど引退した身であるが、浅葱の力になる為に今は陸人達の下へと行ってしまっている。
 そんなわけで、遥と光希は秋月奏──旧姓七海奏と一緒に新幹線に乗って、岡山県へと向かっていた。

「……だからね。奏ちゃん。狂君はそんな事をしないとは思うけど、携帯のチェックはかかさない事ね」

「は、はい。とても勉強になります」

 光希は乗り物に乗ると、すぐに睡眠に入ってしまった為、遥と奏はここ二時間程、ずっと夫婦について語り合っていた。
 既に結婚して数年経ち、子供も立派に成長してくれているが、結婚生活に不満が全く無いというわけでもなかった。

「狂さんってば、最近私の事ほったらかしなんですよね。確かに、お仕事は忙しいのはわかりますけど。
 家に帰ってきても善とばっかり遊んでいましてね。ホント、何の為に私はここに居るんだろう
 って思うときが最近結構多くなってるんですよねぇ……たまには、かまって欲しいんですけど」

「そういうのは、ちゃんと言わなきゃ駄目よ。男ってのは本当に鈍感なんだから。
 蒼威君なんて、私を約七年放置プレイだよ!? 子育てが忙しかったから、浮気なんて考えた事も無かったけどね」

「七年ですかぁ……。遥さんは凄いですねぇ。私なんか、三日連絡が無いだけで、涙が……」

「ちゃんと夜は抱かれなきゃ駄目よ。自分は好かれると思って、疎かにしてると。
 男なんてのは、性欲の塊だからね。どんどんお互いの気持ちが離れて行っちゃうものなの」

「わ、わかりました。帰ったら、久しぶりに甘えてみようと思います」

 そう奏が鼻息を荒くして、自分を炊きつけている時だった。

「奏お姉ちゃんって抱っこされたいのー?」

 唐突に眠っていた筈の光希が目覚めており、不思議そうな顔をして遥と奏の顔を見ている。
 流石に子供にこんな話は出来ない。遥は慌てて、フォローに走ろうとするも、

「み、光希。お菓子食べる?」

「んーん。お腹いっぱいだからいいや。で、奏お姉ちゃんは誰に抱っこされたいのー?」

「きょ、狂さんに抱っこされたいなー。なんて……ははっ」

「わかった。今度狂兄ちゃんに会ったら言って置くね。お姉ちゃんが抱っこして欲しいって」

「い、いいわよ……明日には会うんだから」

「あ、そういえばそうだね。……お母さん、僕ちょっとトイレ行ってくるー」

「い、行ってらっしゃい。知らない人についてっちゃ駄目よ」

「うん」

 光希が手を振りながら、電車内を駆けていくのを見送ると、遥と奏はドッと疲れたように椅子に体を預けた。
 
「……光希君。恐ろしい子ですね」

「蒼二や遥緋の倍くらい素直な子だけど、その分こういう時に破壊力があるのよ。あの子は……」

 それから更に一時間後、目的の駅に辿り着いた遥達は荷物を持って、電車から降りた。
 奏は何回か此処に来た事があるらしく、駅構内にある物件の説明をしながら、駅の外へと出た。
 そこに待っていたのは、遥が予想していた通りの黒塗りの高級車。だが、そこから出てきたのは、
 どうみてもヤクザには見えない、地味と言ったら失礼か、優しそうな雰囲気を持つ男だった。

「お久しぶりです、奏お嬢様」

「鬼塚さんこそ、お久しぶりです! こちらが件の千島遥さんと息子の光希君です」

 鬼塚と呼ばれた初老の男は、遥と光希にキッチリとした動作で体を向けると、深々と礼をして、

「はじめまして、鬼塚小太郎と申します。誠心誠意、貴女方のサポートや身の安全を守るべく
 本日より組員一同、一丸となって御守り致しますので、どうかよろしくお願い致します」

「はい。こちらこそ、よろしくお願いします。ほら、光希もご挨拶しなさい」

「千島光希です! これから、しばらくお世話になります」

「はい。よろしくお願いします。では、立ち話もなんですから、早速我が家へとご案内致しますので、ご乗車ください」

 奏は助手席に、遥と光希は後部座席に乗り込むと、迎えに来たのは鬼塚一人のようだった。
 従兄妹から聞いていたヤクザ像とは少し違う感じに、やや遥は戸惑いつつも、何とかなるだろうと思い気にしない事にした。
 光希は光希で、初めて乗る高級車に期待を膨らませており、さっきから世話しなく中を見渡している。
 鬼塚は、丁寧な運転で車を進めながら、段々と人が少ない住宅街の奥の方へと向かっていく。

「奏お嬢様も此処に来るのは久しぶりでしょう。最後に来たのは、遠音様と……あ、失礼」

「いえ、お姉様の事はお気になさらずに。父と旧知の仲である鬼塚さんの事です。
 お姉様は表向きには亡くなった事になっていますが、生きていられる事は知ってるのでしょう?」

「ええ……惣一様からそれだけは、聞いておりました。大変、残念だと思います。
 あの事件は本当に酷かった。私も何回かお見舞いへと向かったのですが、全て惣一様に止められてしまいましてね」

「……父は、逃げたんですね。お姉様をあんな体にしてしまった事から。だから、お見舞いも全て禁止した。
 お姉様が病院から脱走してからも、敢えて探そうとはせずに、ずっと皆を騙して──」

「そう、惣一様を責めないであげて下さいませ。アレは、七海の頭首として、歴史を背負う者として
 仕方の無い行動だったのです。現に、惣一様はずっとその事を気にやんで、ついには体調まで……」

「わかってます……でも、お姉様は……きっと、悲しかっただろうなぁ」

 それきり、車の中での会話は無くなってしまう。だが、そうこうしているうちに、車は鬼塚家へと辿り着いた。
 八神の家を小さくしたようなスケールだが、それでも近隣の家と比べると明らかに大きい。
 やがて、車が止まり、鬼塚は遥と光希から荷物を受け取ると、先頭を歩いて家の中を案内する。
 人の数はそんなに多くない。やはり、ヤクザなだけあって、居る人間はどう見ても堅気ではないが、
 それでも、遥が見てきたヤクザよりは幾分マシなように見える。何というのやら、落ち着いた雰囲気の組であった。

「どうぞ、こちらへ」

 三人が通された部屋は、広々とした和室。多分、鬼塚の私室であろう。幾つかの家具に紛れて、奥のほうには
 仏壇や写真が飾ってある。そして、遥達は鬼塚と向き合うようにして、座布団の上に座った。
 すると、部屋の障子が開き、入ってきたのはまだ若い男。長い黒髪を不潔に見えない程度に整えており、
 目の付近に傷でもあるのか、サングラスをかけていた。男が持っているのは、お茶と菓子。

「はじめまして、鬼塚二郎と申します」

 挨拶を終えると、男──二郎は、丁寧な動作で、お茶とお菓子を配り始める。

「あらあら。二郎さんと私は初対面でしたっけ?」

 次郎を見て、不思議そうに奏は鬼塚へと問う。それに、二郎は一礼すると、会話しても良いかの許可を取るように、
 鬼塚のほうを見つめた。そして、鬼塚はそんな二郎を見つめて、嬉しそうに笑うと、

「そうですね。二郎、奏お嬢様や千島さん達にちゃんと自己紹介をしなさい」

「わかりました」

 そう言うと、二郎は鬼塚の隣だが、やや後ろ側に正座し、正面から三人を見つめると、

「先程も言いましたが、鬼塚二郎と申します。まだ若輩者ですが、一応この組の若頭を務めさせて頂いています。
 誤解の無い様に申しますと、私は親父殿の実の息子ではございません。記憶を失い、街を放浪してたチンピラだった
 私を拾ってくれたのが、親父殿との出会いでした。それから約、八年。鬼塚組に誠心誠意仕えさせて頂き、
 この度は、千島様の護衛兼従者として精進させて頂きたい所存にございます。」

 二郎は土下座でもせんばかりの勢いで、遥達へと頭を下げた。流石にこれには、遥も光希も戸惑い、

「あ、はい。よろしくお願いします」

「よ、よろしくおねがいしますー……」

 その言葉を聴き終えると、二郎は満足したように再び顔を上げて、鬼塚の言葉を待つ。

「ハハハ……この子は、こうやって堅い子ですが、根はいい子なんです。どうぞ、お気軽に接してやってください。
 ──さて、次郎。早速千島様をお部屋にお通しして、この家の事を説明してあげなさい」

「はい。では、参りましょう。秋月の奥様、これにて失礼致します」

「ええ。どうか、遥さんや光希君の事をお願いしますね」

「──この命に代えても、お守りいたします」




 電話がかかってきた奏を尻目に、遥と光希は二郎の後に続いて屋敷内の生活に必要な場所を案内されていた。

「こちらを右に曲がりますと、トイレ。左に曲がりますと、お風呂があります。一応、男女分けがあるので
 ご安心を。覗きやその他セクハラ行為があったらすぐにお申し付けください。私自ら、処罰に行きますので」

「は、はぁ……」

「光希様は、お母様とお風呂にお入りになるのですか?」

「んー……僕はどっちでもいいよー」

「では、慣れるまではお母様とでどうでしょう。慣れてきましたら、不肖私が、お背中をお流しいたします」

「わかりましたー。よろしくね。二郎兄ちゃん」

「……は。では、お部屋へと参りましょうか」

 二郎は先程までとは少し違い、軽い足取りで、遥達が住む部屋へと案内した。そこは、大切な客用の客間。
 大きなテレビに、豪華な調度品類。更には、屋敷に殴り込みがきても、遠くまで抜けれる地下通路まであると
 二郎は二人に説明した。好奇心旺盛な光希は、早速地下通路に行きたいと言ったものの、非常用なので、
 普段使われては困りますと二郎が苦笑しながら言うと、渋々とだが了承した。

「お部屋の説明はこれぐらいですね。食事の時間は、朝は八時。昼は十二時。夜は七時半となっております。
 お風呂の時間は特に制限はありません。お好きな時間にお入りください。後は……あ、嫌でしょうが、
 私は千島様の護衛を兼ねております。何処かお出かけするにも、ついていかなければなりませんが、よろしいですか?」

「あ、それはもう。こちらはお忙しいのにわざわざそんな事をしてもらって、こちらからもお願い致します」

「いえ。何処か行きたい場所があれば、何時でも行って下さい。何処へでもお連れ致しますので。
 この辺りは結構昔の風情が多く残っている場所でしてね。お祭りとかもやはりかなり大きな規模で開催されるのですよ。
 来週には桜祭りも開催されますし、良かったらお申し付けください」

「よろしくお願いします。申し訳ないんですけど……早速一つ行きたい場所があるんですけど」

「はい。何処へでもお連れ致しますよ。ただ……夜までにはお戻り頂く必要がありますが」

「実は……ですね。兄の家がこの近くでして、久しぶりに会いに行きたいのですが……」




 


 二郎の運転する車に乗る事、十分。遥が住所の説明をすると、意外にもかなり近所に兄の家はあった。
 見たところ、普通の家よりややランクが高そうなその家。表札には「海野」の文字。
 遥には二人の兄と姉が居た。名前は徹宵と良子。二人ともとっくの昔に結婚しており、良子なんかは遥と同じく孫まで居る。
 今回訪ねて来たのは、兄の徹宵の家。運動神経が良く、頭の良かった兄は蒼威と同じく労働が嫌いだった。
 大きな会社を立ち上げたものの、あっさりと息子が成人したら社長の座を譲ってしまい、
 今は悠々自適に、「会長」という身分の下毎日遊び呆けていると聞いていた。

「では、私は車の中で待っていますので、ごゆっくりとどうぞ」

「え……二郎さんもどうぞ、上がってくださいな」

「いえ……久しぶりに家族水入らずでお楽しみください。私は車の中で家の仕事をやっていますので、どうか御気になさらずに」
 
「本当にありがとうございます」

「二郎兄ちゃんまた後でねー」

「はい」

 遥と光希はそう挨拶すると、家のチャイムを押して、返事を聞くとドアを開けて家の中へと入った。
 玄関口に立っているのは、四十代後半のスラリとした体つきの男。外見は、俗に言うならチョイ悪親父といった風貌。

「おお! 我が妹と甥っ子ではないか! 何でこんなトコにいるんだ?」

「兄さん……この前事情を書いた手紙を送ったじゃない……」

「うむ。きっと、桜が読んでそのまま俺に伝えなかったんだろうな。だが、過ぎた事だ。
 立ち話もなんだから、上がっていけ。蒼威君や蒼二や遥緋は一緒じゃないみたいだな」

「あの人達は、仕事よ」

「なるほど。ささ、上がれ上がれ」

 徹宵に促されるようにして、遥と光希は靴を脱いで家へと上がった。
 よく分からない置物が 沢山置いてある廊下を抜けると、広いリビングへと出た。
 パッと見た感じでは普通のリビング。だが、違和感が一つあった。
 それは、ソファーの上に座って本を読んでいる一人の人物。

「太陽君はまだ……子供できてなかったよね?」

「うむ」

「じゃあ……あの子は誰の子?」

 遥はムスッとした顔で音楽を聴きながら分厚い本を読んでいる中学生程度の少女へと視線を向けた。

「お前が知らないんだ。知らない子に決まっているだろうに」

 流石の遥も、この徹宵の発言には腰が砕けそうになった。






 
 
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