最近、緋色の眼を寝る前に読み返してみると。
自分の文章の酷さに泣きたくなります。
更に、設定に幾つかの矛盾を発見してまた涙目www
一番ビビったのが、
初期の時雨は口が悪いという事。
一人称が「俺」だし。「父さん」ではなく「親父」だし。
若かったというのもありますけどね。
だけど、昔の時雨の方が感情がむき出しだった気がします。
PAST終わったら、一話から全部書き直そうかなと。
もう予定の半分ぐらいなので、後半分ほどの十六話ぐらいでしょうか。
そんなわけですが、次回投稿は全くの未定でございます。
正直、忙しすぎる。
第16話:本当に、色々あったよね
遥緋のとんでもない運転を体験し、途中寄った場所で幾つかの仕事を済ますと、本格的に二階堂特区へと向かう蒼二達。
蒼二が車を運転してもいいのだが、昨日までの仕事の疲労が残っているので、無駄な体力は使いたくない。
下手をすれば、二階堂家との戦闘になるかもしれない。二階堂もそこまでバカではないだろうが、用心にこしたことは無い筈。
運命はアイマスクをして、完全に寝入っており、遥緋は鼻歌を歌いながら高速を爆走中。
手持ち無沙汰になった蒼二が暇つぶしに携帯を弄っていると、郁人から着信が来た。
「蒼二さんですかっ!?」
「何だ? いきなり、そんな大声出してよ」
「当たり前ですよ! 二階堂特区に運命さんと遥緋さんの三人で行くなんてどういう神経してるんですか!?
もう少し、組織の長という事を自覚してください。貴方達の身に何かあったらどうするんですか!」
「す、すまん……」
「とりあえず、俺も十数人程度引き連れて二階堂特区の傍で待ってますから、そこで合流しましょう。
いいですか。今度こういう事をするのなら、必ず俺にも連絡くださいね。
今は神璽さんも居ない状態で、更に由加さんまで出てっちゃってるんですから」
「ん? 由加どうかしたんか?」
「何か、令君達と大事な用事があるそうで……」
「ふぅん。じゃあ、しばらくは皆バラバラだな。とりあえず、本部の方は莉王とか時雨に任せておこう」
「もうとっくにお二人とも来て下さってますよ……律さんも来てくれてるので、何とか運営に支障は出ないでしょう。
ああ後、運命さんも一緒に居るんですよね? きっと寝てるんでしょうけど。起こして仕事させてください。
運命さんが幾つか仕事をを止めてるんで、回ってない仕事があるんですよ」
「わかった。そう伝えておく」
「じゃあ、特区の近くになったら、また連絡ください。竜胆のGateで一気に向かいますから」
「おう」
郁人も口やかましくなったなぁと思いながら、蒼二は電話を切った。それもその筈、
郁人は九年前の神々の黄昏事件の時に、一つの約束をした。それを律儀にも今も守っているのである。
名剣・フラガラッハを使う今の郁人は、海外でも有名に成る程に強くなっている。
昔は育てているつもりだったが、今ではこちらの方が助けられていると感じる事が多くなっていた。
「また、郁人君に怒られたんだ」
会話が聞こえていたのか、遥緋が鼻歌を中断して話しかけてきた。
どうでもいいが、運転に集中して欲しいと思いながら、蒼二は自嘲気味に笑うと、
「ああ、よっぽど俺らの事が心配なんだろうよ。煉達ももうちょい、適当な奴に意思を託せよ」
「それが郁人君の良い所だもん。きっと、灼也達もわかっていたんだよ。郁人君なら、意思を託せるってね。
でも……私としてはあんまりそれに縛られて欲しくない。もっと、自由に生きてもいいと思うんだけどね」
「そうだな……だが、お前がそれを言うか? お前、何回郁人に迷惑かけたよ。
前に莉王と喧嘩した時なんか、クリスマスだってのに郁人呼びつけてたよな!?」
「あ……アレは、うん。なんていうのかな。あー……てか、お兄ちゃんだって。
千島戦争の時に、郁人君の家に逃げ込んだじゃない! 竜胆ちゃんと二人の愛の巣に、
何週間も寄生しちゃってさ。きっと、顔には出さないけどかなり迷惑だったと思うよ」
千島戦争──それは、過去にあった蒼二の浮気疑惑から起きた今思えば、馬鹿馬鹿しい戦い。
命はわんわんと泣き喚き、運命は阿修羅姫を振りかぶって、蒼二を追い掛け回し、
更にそれを見ていた蒼威の財布から、おっパブ嬢の名刺が見つかった為に、第二次千島戦争まで起きた忌むべき事件。
最終的には、家の状態を嘆いた光希の作文により一応の終局を見せたが、蒼威、陸人は病院送り。
蒼二は一ヶ月近く命と会話してもらえなく、更には遥にまで五時間の説教をくらった。
「……ああ、そんな事もあったなぁ」
「本当に、色々あったよね。気がついたら私もお兄ちゃんも何時の間にか親になっててさ。
昔をこうやって思い出すと、少し変な気分になるよ」
「そうだな……」
高校を卒業したらあっという間にここまで来てしまった気がする。命と結婚し、蒼華と煉次が生まれたと思ったら、蒼華なんかはもう小学生だ。
年をくったなぁ……と蒼二は自嘲気味に笑う。ユニオン設立前にも小さいながら戦いはあった。
神々の黄昏事件のような大きな事件ではなかったものの、色々と考えさせる事が多かった。
そして、ついにここまで来た。頼りになる仲間に支えられてユニオンを設立した。
これからもっと大変になるだろう。だが、それでいい。そう決めたから。
そして、とりあえずは困っている部下を助けようと、蒼二は運命を起こす事にした。
郁人は蒼二との電話を終えると、ため息と共に携帯を懐へとしまった。
現在、郁人が居る場所は数年前に移転した浅葱の本家。そこは、ビルとその隣にある小規模な屋敷。
完全に梨香の趣味で作られた家屋の地下室では何人かの人間が緊張した面持ちでまばらに過ごしている。
彼らは郁人直属の部下に当たる。年下も居れば年上も居るが、それなりに上手くやっている。
というよりも、部下達は自分を尊敬してくれているのだ。牧島を追い出され、落ちぶれても
郁人はこうして今、力を手にしてユニオンの幹部へと上り詰めている。
(そんなに……良い事ばかりじゃなかったけどね)
郁人は首にかけられている剣の形をしたネックレス──フラガラッハを軽く指で撫でた。
郁人の意思によってフラガラッハは巨大化し、四つの型へと変形できる魔具だ。
九年ほど前にとある女性から貰ったのだが、結局あれから彼女の姿は見ていない。
このフラガラッハも十文字が作ったものらしいのだが、当の十文字はノーコメントを貫いている。
そして、その四つの型を手に入れる為に郁人は四つの意思を犠牲にした。
彼らとした約束は今でも覚えている。──蒼二、遥緋、罪歌、狂を守り、力を貸す事。
そして郁人は、九年経った今。ユニオンの幹部として蒼二達の敵をフラガラッハでなぎ払ってきた。
「郁人さん。どうしたんですか?」
しばらくフラガラッハを撫でながら一人物思いに耽っていると、部下の一人が話しかけてきた。
名前は南野喜一。顔や体には無数の切り傷。だが、それに対して背は170センチ無い。
顔はかなりの童顔で。表情や性格も穏やか。その為かユニオンの女性隊員に人気がある。
郁人よりも幾つか年上ではあるが。むしろ年下に見えるほど。郁人は微笑を作り、顔を上げ、
「いや……ウチの頭の非常識な行動に頭を抱えていただけっすよ」
「確かに千島さんは度胸がありすぎですよね……あの二階堂にたった三人で話をつけにくなんて……
でも、自分らからしたらあの人達の力は桁が違いますからね。何か大丈夫かなぁ……とか思えてもしまうんですよ」
確かに喜一の言うとおりだった。あの三人の中だと一番凶悪なのが遥緋の輪廻転生。
九年前よりも格段に使用の幅が広がっており、専用武装と戦闘スタイルも固まっていた。
次点が蒼二と運命。神威という式神を超えた力と九尾の狐の鬼神だ。喜一がそう思うのも無理が無い。
「そうっすね。……っと、そろそろ時間だな。皆、ちょっと集まってくれー!」
郁人は部屋に居た全員に声をかけた。時計を見ると、そろそろいい時間だ。
蒼二達の居場所から判断するに、もうそろそろ二階堂特区付近だろう。そして、
全員が郁人の傍に集まると、郁人は頭の中で自身の式神──牧島竜胆へと話しかけた。
(竜胆、そろそろ仕事だぞ。ちょっと地下まできてくれ)
(……はぁはぁ……はぁ……)
(ど、どうした?)
(あー……もう! 北斗君と南斗君にこっちは振り回されてるんだよぉ!
蒼威さんも陸人さんも疲れ果てて寝転がってるしさぁ。もーちょい待って。もーちょい
したらあの子達捕まえてお仕置きしてやるんだからぁ! じゃあね!)
そう何故か怒鳴られて郁人はため息をついた。仕方が無いので、郁人は部下達へと向き直り、
「あー……うん。今回はいつもと違って特に作戦は無い。二階堂も馬鹿じゃないだろうし
多分戦闘は起きないと思うけど、ちゃんと警戒はしておくように。
もし、万が一の事態が起きたら喜一さんの指揮の下に、臨機応変に対応してください」
「あれ、牧島さんは来ないんですか?」
「ああ。竜胆のGateで移動するまでは一緒に行きますよ。ただ……申し訳ないんだけど。
俺はその後竜胆と一緒に政治家の護衛につかなくちゃならないんです。
本当なら断るような依頼なんだけど。その人が結構大物で、蒼二さんの政治的判断の結果
俺がしばらくつく事になったんで。この戦いが終わったら、陸人さんが代理してくれますから、その後は彼の指示に従ってください」
その言葉に、部下の何人かは動揺したようだ。浅葱陸人といえば、身内では馬鹿だのアホだの言われてはいるが、
他の家からの評判は悪くない。というよりも、ユニオンには陸人や蒼威のファンが多い。
二人に共通するのは、圧倒的なまでの強さと家に縛られない自由奔放な生き方。
他の家で死者を馬鹿にすれば殴り合いを起こし、家と家の歴史なんか意にも介さない。
家に縛られてきた者が多いユニオンにとっては、この二人の生き方が眩しく写るのだろう。
(まぁ……ぶっちゃけ、我侭とも言えるんだけど)
郁人自身、蒼威や陸人に巻き込まれて幾つか酷い目にあったことがある。
だが、何故か笑って許せてしまう。そんな魅力が二人にはあるし、あの二人は本当に困った時は一番に力になってくれる。
そんな事を考えていると、自分のすぐ近くにコンセプトの紋様が出現した。
全員がそこに目をやると、紋様の中からは一人の少女──牧島竜胆が姿を現す。
「あ、皆ごめんなさいー。八神の坊ちゃん達に苦戦してしまったんですよぉ」
その言葉に全員が「わかる」みたいな顔をした。この屋敷に北斗と南斗がきてからというもの
この場に居る全員があの二人の悪戯に被害を受けた。ある者はトラップにはまり、一時間ほど情けない格好で吊るされた。
またある者は、彼女との電話の様子を全て屋敷の中に流されもした。郁人自身も、トイレに入っていたら……とまで思い出して身を震わす。
「全くもぅ。あの二人は律さんが居ないとすぐにハメを外すんだよねぇ」
北斗と南斗は相当律の事が怖いのか、律が居る前では本当に天使のような良い子だった。
だが、律がユニオンに呼び出されてからは、その本性がすぐに曝け出されたというわけである。
「まぁ、後で律さんに全て報告するとしておこうか」
「うっわ。郁人陰険ー。いい年してチクりなんて恥ずかしいよぉー?」
「女のお前にあの痛みはわかるまいよ……」
「?」
竜胆は不思議そうな顔で郁人を見た。だが、これだけは説明するわけには行かない。男として。
竜胆から視線を外すと、携帯電話が再び鳴った。今度かけてきたのは蒼二ではなく運命だ。
心から眠そうな声で、郁人に恨み節を幾つか吐いた後、現在位置の情報を寄越した。
そして、幾つか仕事の確認事項をすると通話を切り、
「二階堂特区の奥。住宅街の入り口に居るってさ。頼むぜ」
「あいよぉー」
紋様が更に大きく広がり、その場に居た全員を呑み込んだ。
二階堂特区に入り、有料駐車場に車を停車させると、三人は車から降りた。
蒼二は生きてここまで辿り着けた事に感動し、遥緋と運命は思い切り伸びをしている。
この二階堂特区は俗に犯罪の町よ呼ばれている。十数年前までは本当に酷かった。
雨龍の犯罪奨励政策によって、街の治安は特区最悪と呼ばれるほど。それが後の死罪六神結成にも繋がったという最悪な場所だった。
蒼二も遥緋も運命もここに来たのは初めてではない。九年前に運命とここで戦った事があった。
「いや、懐かしい。どっかのアホ狐をボコしにここまできたっけなぁー」
「うう……遥緋。蒼二が意地悪言う」
「お義姉ちゃん、無視して。あの人根暗だからそういう事しか言えないんだよ」
「どっかの貧乳は罠に引っかかってたなぁー」
蒼二は滅多に見せない晴れ晴れとした笑顔でそう言う。遥緋もこれにはカチンときた。
何か言ってやろうとするが上手く口に出来ない。そして、そのまま三人はお互いをけん制し合いながら特区の奥へと進んでいく。
相変わらず、汚い街だった。だが、数年前よりは格段に治安が安定している。
罪歌達が作った自警団の事件がまだ緒を引いているのだと蒼二は思う。聞いただけの話だが、かなり激しい戦いだったらしい。
そのまま三人は、雑多な人ごみをの中をすり抜けるようにして二階堂特区を進んでいく。
まだ夕方だというのに酒臭く、遠くからは罵声や悲鳴のようなものも聞こえてくる。
だが──周囲に居る人間は楽しそうだった。これもこれでありかな。と思いながら蒼二は先頭を歩く。
「む……」
しばらく歩いていると、巨大な屋敷の一部が見えた。特区の中心街から少し離れた場所に
二階堂家の屋敷はある。他の家のような日本家屋ではなく、要塞のような無骨な作り。
見ただけで成金趣味だとわかる二階堂の本家は、今は表向きはひっそりとしている。
「ん。郁人もう来るって」
「わかった」
何時の間にか電話をしていた運命がそう告げると、前方に突然コンセプトの紋様が現れた。
その中からは予想したとおり、ユニオンの制服を来た人間がぞろぞろ出てくる。
最後に郁人と竜胆が出てくると、総勢三十人程の人間が蒼二達の前にきっちりと並ぶ。
(相変わらず慣れねぇ……)
こういう堅苦しいのは苦手な蒼二。だが、組織の長としてそれだけはいけない。
規律があってこその組織だ。なぁなぁの適当な感じでは周囲にも示しがつかないし、何より上手く行かない。
そんな葛藤を経て、蒼二は気を取り直し、
「皆、よく来てくれた」
「良く来てくれたじゃないですよ……全くもう」
ジト目の郁人がやや呆れたように蒼二へと返した。
「悪いな。だが……ただケジメをつけに行くだけだ。まさか、戦闘にはならんだろう」
「そうなんですけど。やっぱりこういうのはちゃんとしなくては駄目です。
……では、俺はもうあっちの仕事に行かなくちゃならないので、後は皆さんお願いします」
「お願いしまーす」
郁人と竜胆は軽く頭を下げると、再びコンセプトの中へと入り、消えてしまった。
「さて、どうしたもんか」と蒼二が考えていると、その前に運命が一歩前に出て、
「お前達は此処で何時でも突入できる体勢で待機してて。それだけで、かなり相手に緊張感与えられるから。
でも、変な刺激だけはしちゃ駄目。こういう場では小さなきっかけでも戦いが生まれちゃう。
兎に角、何時でも動ける体勢で待機ね。中には私達三人で行くから」
先に指示を出した。だが、それでいいと思う。大勢でぞろぞろ行っても無駄なだけだ。
すると全員は無言で頷き、あらかじめ決めてあった隊列へとなり始めた。
ある者は式神を顕現し、ある者は標準武装や電子器具を取り出してテキパキと動いている。
「流石は郁人の所だね。こういうのはきっちりとしてる」
「……そうなのか」
「私の所だってちゃんと教育してるよー。まぁ、お兄ちゃんはいつも基本一人だからね」
ユニオンでは、運命や神璽や由加は当然の如く個人的な部隊を幾つか持っている。
郁人の隊は剣を中心とした式神使いや、それをサポートする役割を持つ隊員が多い。
運命の隊は大多数を相手に出来る式神使いが多いし、由加の隊は隠密行動が出来る隊員ばかり。
神璽の隊はオールラウンダー。どの役割もそつなくこなす事の出来る臨機応変な隊員で構成されていた。
その全ての上に立つのが蒼二。その為に、個人的な部隊等は持っていない。
そして、遥緋や竜胆や梨香や時雨は戦闘部門以外の部の統括や、幹部の補佐を行っていた。
「んじゃ、そろそろ中へ行くか。後は頼むぜ。俺らが離れたら、隊長の指示で動いてくれ」
「了解。お前達、もしもの時は頼む」
「皆さん、よろしくお願いします」
三人は隊員達にそう言うと、二階堂の屋敷の門を潜った。
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