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何か、酒と音楽の勢いで書けてしまったので投稿。
JOINTは久しぶりに聞いた神曲。
今回から、ややこしい話になります。
書いててめんどくせーと思った展開は初めてです。


後、キャラ名千島蒼二でWebゲーやってる人を見つけて笑ったwww
自分も某MSTで罪歌と狂使って色々キャラ設定考えてたなぁ。
キャラ作りするには、ああいうゲームはもってこいです。

それでは、今度こそ間が空きますー。
第12話:風 - Wind -
 夜通しの運転の甲斐あってか翌日の午前中には、令達は六道特区の近くへと来ていた。
 通常、特区は一つの街を結界で覆い、周囲から完全に隠蔽して運営していくのであるが、
 六道特区は海の一部を埋め立てて出島を作り、最奥部以外は一般開放もしているという異端の特区。
 通称【研究の街】。表向きには日本でも有数の学問都市として栄えているというのがこの特区の在り方だった。
 学生や研究員溢れるメインストリートを紫が運転する車は走る。そして、奥の方にある検問の近くまで行くと、

「人払いの結界やね。……タイプ的には、そこいらのとかわらへん」

 式神の中でも結界と呼ばれる異端の式神は、こうやってルールを付加した空間を作る事が出来るのである。
 術者の力量、力によって内容は異なるが、神代刹那の【楽園】は結界の式神の中でも最強クラスの力。
 あらゆる事象や現象を思いのままに操るが、それは結界の範囲内だけの話。
 戦闘能力は低いが、悪鬼の討伐には欠かせない式神なので、召還できたらもはや仕事にあぶれる事が無いといわれる程。
 そして、特区の大半に張られている結界の内容の大半は、悪鬼と式神を知っている人間のみが入れるというもの。
 その為、一般人の大半は検問がある事は知っているが、無意識の内に行動を操られ、特区側へと向かう事はまず無くなる。
 稀にそういう類のモノに対して感覚が鋭い人間が入ってしまうのだが、その辺りは特区の管理者によって処理されるというのが基本だった。

「そういえば、令。あたし、六道の事とか何も知らんのよ。六道って何してる一族なん?」
 
「……紫ちゃんが僕の家に来て、十年以上経つけどさ……流石に同じ十名家なんだから、
 それぐらいは知ってて欲しいな。てゆか、紫ちゃん、由加さんのトコのユニオンも
 最近まで何の組織だか知らなかったよね!?」

「……だって。あたし、鬼神やもん。人間の事は人間で何とかしてくださーい」

 誤魔化すように拗ねたような態度を取る紫。令はそれを呆れた目で見る。すると由加が口を開き、

「紫。ユニオンはね。鬼神、純血、混血が共存する世界を作る為の組織なの。主な活動は、
 迫害されている鬼神を見つけ、保護する事。純血と混血の抗争の抑止力となる事。
 基本はそうやって活動して、世界の流れを少しずつ変えて行ってる」

「そうなんすか。……確か、由加さんはそこの幹部なんでしたね?」

「そう。私以外にも四人居るよ。郁人、蒼二、神璽、運命。立場は違うけど、皆共存を望んでる」

(……サダメ? いや、あのアホババァがそないな事するわけないな。クーちゃんやヤマちゃんなら別やけど)
  
「どうかした?」

「いえー。何か嫌な奴を思い出してただけっすよ。……そのユニオンって、鬼神もおるんですか?」

「うん。何人か居るよ。今度本部に来て見ると良い。きっと、仲良くなれると思うから」

「その中に、ちっこくて、どーみても中学生で、めっちゃ暴れまくる鬼神おりませんか? 
 アイツとも、もう何十年かあっとらんくて、生きてるといいんですがねー?」

「いや。基本的に皆、十歳前ぐらいだね。その鬼神って紫の知り合いなの?」

「あぁー、なんていうやら。あたしの妹みたいなモンですわ」

「紫ちゃんの妹か……何か、無駄に騒がしそうだね」

「ってか……俺は姐さん育てた親の顔がみてぇんだが」

「おとうちゃんはまだ生きとると思うでー。一度、集落には帰らんとあかんかもな。
 ああ、後アイツはめっちゃ喋らん奴やで。特に、アイツは女と話さん。ガキの癖して、メンクイでなー。
 好みの男見かけたら、何十年もストーカーするような奴やで。きっと、世界の何処かでまた男を泣かしとるんやないかな?」

 紫は令と出会う前に何をしていたかについては、何時も適当に流して会話を終えてしまう。
 だから、令にとって紫の身の上話を聞くのは、本当に久しぶりの事だったし。雷神の王が生きていると言う事も、
 妹みたいなのが居るという事も、今始めて聞いた。それに何か胸の中に嫌なものを感じながら、しばらく黙って座っていると、

「お、アレ。颯太兄ちゃんやない?」

 六道特区の海に面した道路のガードレールに、一人の男が座っていた。周囲に人気は無い。
 男──五月颯太は、令達の車に気づいていたのだろう。ゆっくりと腰を上げ、道路の真ん中で止まった。
 紫はそのまま車を停止し、太郎は他特区の為、一応の配慮の為に粒子化すると令の筒の中へと入る。
 そして、三人が車から降りると、颯太は挨拶をするわけでもなく、淡々と言った。

「由加。アイツ、待ってる。場所、お前達が昔良く遊んでいた場所。わかるな?」

「……颯太。お前、何を知っている。私も神璽もお前に境遇の話は殆どしていない。
 情報を貰った時から怪しいとは思っていたけど……お前は何を企んでいるの?」

「……処罰やその話は後。早く行け」

「……わかった」

 由加は颯太の横をすり抜けると、そのままその奥にある建物を見据えた。十年ほど前に、自分が脱走した施設とは違う。
 ここに来た記憶も無い。だが、記憶には無くても体が覚えていた。確かに、自分はここに居たと。
 一瞬立ち止まった由加だが、もうそこからは振り返る事無く、地下へと続く入り口目掛けて歩き出した。

(──……気に入らない気配がするな)

(どういう意味?──)

 結晶の中に居る、自分の人格をベースとして作られた九尾の半身の意思が忌々しそうに声を上げた。
 神璽が数十メートル範囲内に居る時だけ、余剰の反意思と意思だけを抽出し、
 お互いの持つ半身を合体させる事で、完全な九尾に戻す事が出来るのだが、今はまだ遠いようだった。

(──"俺様"クラスの匂いがするの。ワタシだけじゃ、ちょっと厳しいかもね)

(九尾の狐と同じくらい……本当に、神璽なのかな?──)

(──少し遠いけど、半身の匂いもするね。わからないけど、進むしかないよ)

(わかってる──)





 由加が建物の中へと入っていくのを見送ると、令は颯太がいつもの颯太らしくない事に気づいた。
 何時もは直立不動で必要の無い時は全く動かない颯太だが、今は何か落ち着かないのか、
 手を握り締めて開き、握り締めては開きを繰り返している。小さい頃から、一緒に居たが
 こんな颯太を見るのは初めての事だった。それを不審に思い、令は颯太へと問うた。

「颯太兄ちゃん。処罰って何? ねぇ、何で神璽さんが此処に居る事知ってるの!?」

「……お前は、何も知らなくて良い。安心しろ」

 いつも通り、優しく笑うと颯太は令を見た。子供の頃からそうだった。令が悪戯しても、
 何か悪いことをしても颯太はいつもこうやって、令の事を諭してくれていた。
 だが、今はもう子供じゃない。純粋に、不安と怒りが浮かび、令は怒った瞳で颯太を見据え、

「僕はもう子供じゃない! ねぇ、何が起きてるの? 一体、あの神璽さんは何なの?
 僕、ずっと思ってた。あれは神璽さんと違うって! 空船と戦った時だっておかしかった。
 神璽さんは女の子を大事にするのに、凛さんに攻撃を仕掛けていたし、何より、
 "僕は神璽さんの素顔"をまだみていない! ねぇ、何か言ってよ!」

 そうまくし立てると、颯太の顔に僅かな感情の変化が見られた。だが、何か嬉しそうでもある。
 まるで、子供の成長を見た親のように。そして、颯太は一度「ふぅ」とため息をつくと、

「アレは、神璽じゃない。忘れ去られた、由加の友達」

「その人が、二十年前の勝負をしに由加さんと神璽さんにに挑んでるの?」

「そう。正確には、由加だけだと俺は解釈している」

「何で今更……」

 令がそう呟いた時だった。建物の方から嫌な感覚を感じとった。颯太もそれに気づいたようで、顔をやや顰める。
 一番大きな反応をしたのは紫。ガクガクと体を震わせ、体の力が抜けたのか、膝を地面につくいた。

「な……なんやこれ。正真正銘のバケモンやないか……」

 太郎も嫌な気配を感じとっているようで、筒の中に入ったまま震えているようだった。
 それは──悪鬼にしかわからない。強大な悪鬼の気配。雷神の鬼神の紫でさえ、恐れ戦く
 化け物の気配が由加の入っていった建物の中から感じられる。人間である颯太と令には
 そう強く感じられないが、同じ種族である太郎と紫には得体のしれない恐怖が襲い掛かっていた。

「ゆ、紫ちゃん……?」

「令、逃げるで。……あの中に居るのは、マジモンのバケモンや!
ウチのお父ちゃんよりも 気配がでかい。あん中には神話レベル気配を出す悪鬼があの中におるんやで!」

「由加さんはどうするんだよ?」

「馬鹿! 由加さんだって、九尾の狐が中におるんやで! あの伝説の悪鬼がや!
 あたしらとはもうレベルが違う。子供のお遊びの時間は終わったんよ!」

「……じゃあ、紫ちゃんと太郎くんは先に行って。僕は、一人でもやるから」

「馬鹿いうなや! アンタ一人で何が出来るって言うん!?」

「もう、何もしないで見ているのは嫌だ! 何か出来るのに、何もしないで逃げるのはもう嫌なんだ!」

「令……アンタ」

 令は無装を剣の形に顕現させると、前へ向かって歩き出す。すると、眼前に突き出されたのは銀色の金属バット。
 颯太の瞳の色が変わっている。【千里眼】を発動させたのだろう。それは、これ以上進んだら攻撃するという意思表示。
 今まで何度も稽古をつけてもらったが、令は律や莉王や颯太に勝った事は無い。だけど、今回ばかりは譲れなかった。

「本気か?」

「悪いけど、僕は僕のしたいようにするよ」

「面白い!」

 颯太の無双バットが閃き、令の顔面へと突き出された。それを腰を捻ってかわすと、令は一旦颯太から距離をとる。
 無双バットは打ったモノを重量、質量関係なく望んだ場所まで飛ばす危険な能力。
 それ故に剣で受け止めるだけで、吹き飛ばされてしまう。颯太を倒すには、まず近接攻撃では難しい。
 そうなれば、死角から狙撃をするのが常套だが、颯太には千里眼がある為に死角は無い。
 すなわち、攻略不可能。緋眼のような速さで、切りつけられればいいのだが、生憎そんな力は持っていない。

「っしゃあぁァァァ!」

 その時、筒の中から粒子状態の太郎が飛び出し、令の中へと進入した。慌てて鬼憑を発動させると、
 太郎の力の恩恵が湧き上がり、軽装と鬼を模した仮面が令の体へと顕現された。

(太郎くん? 大丈夫なの?)

(あぁ、俺は姐さんと違って馬鹿だからよォ。相手がどんなバケモンだって、もう考えるのもめんどくさくなった。
 それによ、一回颯太兄ちゃんと戦ってみたかったんだよ。良いだろ? なぁ?)

(太郎くんらしいね。わかった。今回は体は僕が動かすから、反応の方をよろしく!)

(おうよォ!)

 令は剣に炎を纏わせると、颯太へと向かって斬りかかった。それを、バットを振って迎撃しようとする颯太。
 まずは、剣と無双バットを触れさせない事、太郎の直感と鬼憑で強化された身体能力を駆使して、バットを避ける。
 だが、颯太も一流の式神使いであり、十名家の五月の長男。並みの腕ではない。
 バットを振り回し、アスファルトに思い切り叩きつけると、石礫を弾丸のように発射した。
 令は無双を巨大な盾へと変えて、礫をやり過ごす。だが、その時には既に颯太は、令へと接近していた。
 そして、盾目掛けて無双バットを振っ──ろうとしたが、体重移動を駆使して、横へとステップ。
 次の瞬間。盾の正面からもの凄い勢いで炎が噴出した。流石の颯太にも冷や汗が伝う。
 一旦距離を取り、颯太は一瞬目を瞑って意識を集中させると、

「令、強くなったな」

 賞賛の笑みを送りながら、周囲に三十個程の白球を顕現させた。これも、無双バットの能力の一端。
 颯太は物凄い速さだが、一発一発にちゃんと命令を込めて、白球をバットで打っていく。
 最初の何発かは令目掛けて、だが、これは鬼憑状態の令にとっては苦でもない。
 だが、白球は打ち出されるごとに、空中でぶつかり合い、乱反射して令と颯太を覆うようにして結界のようなものを作り上げた。

「っ──!」

 突然背中に痛みが走った。白球が背中へとぶつかり、またすぐに球の群れへと弾き返されていく。
 いつ、どこから攻撃が来るのかが全く分からない。前方だけならまだしも、死角から来られては避け様が無い。
 だが颯太は違う。千里眼の力を使い、あらゆる方向を知覚しているので、球の流れや、いつ何処から攻撃がくるのかも全てわかっている。
 正に、式神と一族の力の長所を利用した、昇華された力だった。

「令、諦めろ。まだ、俺に勝つのは早い」

「……嫌だね」

「余り困らせないでくれ。俺、令をあまり傷つけたくない」

「……颯太兄ちゃん。一つだけ言っておくよ」

「何だ?」

「そうやって、蚊帳の外に置かれるほうが僕は百倍傷つくんだよ!」

 令の無装が形を変え、二丁の拳銃の形へと変化した。そこから放たれたのは炎の弾丸。
 それは上手くぶつかり合っただけでなく、颯太の白球を貫いてしまうほどの威力だった。
 片手ずつでの狙い撃ちだが、一発一発外す事無く丁寧に白球が破壊されていく。
 
「良い腕だ。神璽にお前を紹介したのは間違いじゃなかった」

 颯太は疲れたように、無双バットを突然降ろした。そして、海の方を黙って見つめる。
 しばらくした後、震えていた紫が何かに弾かれるように立ち上がり、

「この気配……!」

「令、ゲームオーバーだ。最後の招待客が来た」

 颯太は何処か悲しそうな声でそう呟く。すると、凄まじい突風が吹き荒れ、何かが高速で飛んでくるのが見えた。
 目を凝らしてよく見てみると、少女が男の片足を掴んで凄まじい速さで飛んでいる。
 そして、最後に高く上昇すると、空中でジャイアントスイングをして、持っていた男の足を離す。
 
「うわあああああああああああああッッッッ!」

 轟音を立てて、令の近くのアスファルトに男が激突した。粉塵が晴れ、令がその男を見ると。
 どこかで見た事がある顔だった。でも何か違和感がある。服ではない。髪の色。
 令が言葉を発しようとしていると、先に男の方が声をあげた。

「おぉ! 令じゃん!」

「……神璽、さん?」

「おぉ、そうそう。てか、此処どこ? あのお嬢ちゃんに此処まで無理やり連れて来られてさ。
 後さー……由加と最近会った? 会ってたら、何か俺の悪口言ってたかな?」

 神璽が早口でそうまくし立てるも、令は流れにつていけていない。口をパクパクしたまま硬直しているだけ。
 颯太に事情を説明してもらおうとするも、颯太は颯太で飛んできた少女と何時の間にか喋っており、

「時間通りだ。流石、名だたる何でも屋なだけある」

「……いえ。……料金は今回は結構です。……紡さんに、依頼していた事でチャラになるので
 ……依頼の方はどうですか? ……あの子、子供だから見つけにくいかもしれませんから」

 颯太は、少女の問いに薄く笑みを作ると、とある方向を指差した。少女が釣られてそちらを向く。
 そして、そこに立っていたのは──

「お前に子供って言われとぅないわ! 碧、お前今まで何しとったん!?」

 懐かしそうな顔で立っている紫だった。
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