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dimension〜超越者〜
作:suici



第四話『再会』


 食堂を出ると、通りは入る前と変わらず、ガラガラだった。来た道を、トボトボと帰る途中、民家が目に入り立ち止まる。少女はどこへ行ったのだろう?気になってきて、軽く考えを巡らせ、きょろきょろと目を動かす。まさかな。
「あっ!」
 そのまさか少女は脇道から奥へ入って行くように歩いていた。そのせいで、彼女の顔が見えたのは、ほんの一瞬だった。しかし彼女の表情は、泣いているものとは全く異なって、大人びているように見えた。
 僕は、彼女が本当に泣いていた少女なのか不安に思った。それでも僕の脚は彼女を追いかけはじめていた。10分もしないうちに彼女に追いついた。
「おーい」
 彼女の後姿に声を掛ける。
「あら、ナンパ?」
 振り向きざまに少女はそういった。
「……」
 ふきだしそうになるのをなんとかこらえて、彼女の顔を見る。彼女はやはり泣いていた少女だった。彼女は真っ青な着物を着て、クマのぬいぐるみをしっかりと抱いていた。どうにも不可思議でアンバランスな服装だったが、不思議と彼女にはしっかりと似合っていた。
「ん……貴方、前にどこかで会ったわよね」
 前にあったときには似ても似つかない。きびきびとした口調だった。
「そうだけど……君はいったい――何者なの?」
「いきなりひどいわね、出会って二回目で、『何者なの?』か。最近の子はナンパもできないのかしら」
 少女はため息をつき手をヒラヒラさせる。
「だからそうじゃなくて……」
 なぜか泣きたくなってきた。
「冗談よ。そこまでにしといてあげる。あれは人探しの演技よ。泣いていると相手から下手に出てきてくれるから便利なのよ。それにね、私は十二歳じゃないのよ。この若さも力の一端っていうのかしら。貴方にはまだ分からないかもしれないけどね」
 彼女の声は幼かったが、声の力強さは全く異なるものだった。
「一体何を……? それに人探し? たしか見つかったって」
「ああ気にしないでいいのよ。しかも自分から来てくれたみたいで」
 自分から来た?この状況で?もしかして僕?Is it me?(それは私?)文法おかしくないですか?そうしてぐるぐると頭の中を疑問符が舞った。
「どうしたの?あら、固まちゃったわね、叩いたら治るかしら」
 僕はテレビじゃない。
「もしかして、その探し人って……ぼ、俺?」
「ああ気づいちゃった。あのあと、すぐについてきてもらっても良かったんだけど、すこし相談する事もあってね。あとで探そうと思ってたのよ。チカラを使えば難しくもないしね」
「さっきから気になっているんだけど、『チカラ』って一体? それにまだ君が何者なのか、その答えももらってないし」
「へ、『チカラ』に気づいていないの? 普通自然と気づくもんなんだけど。そうだとしたら時期尚早ってことだったのかしら、でも移行してから結構立っているはずだし。このままだと……ブツブツ」
 勝手に悩み始めた。しかも、いまだ質問にひとつも答えてくれていない。
「じゃあついて来る?ついて来るならもしかしたら貴方の質問に答えることができるかもしれないわ。貴方の理解力と持っている『チカラ』にもよるとは思うけど。もしかしたら何かの間違いで貴方はただの一般人って可能性も無きにしも非ずってところよ。どうする?その選択肢は貴方のものよ。でも1つだけ。ついて来たら戻れないわよ。物理的ではなく精神的にね」
 言葉の後に彼女の瞳が爛と輝いた。
 僕は悩んだ、それが人生で一番の悩みであると思えるほどに。たぶん、ついて行ったなら、世界は大きく変化を遂げる、そんな気がしてならなかった。
「いいわよ。まだ完全に発現してないようだし……。一度家に帰りなさい。でも、もし『こっち』に踏み込む勇気、いやそんなものじゃないわね。世間知らずな無謀さ、そんなところかな。まあなんでもいいわ。とにかくこっちに来る気があるなら、明日に初めて私と会った民家の前に1時に来なさい。私が全て教えてあげる」
 彼女は最後に茶化すような笑みを浮かべた。
「それじゃあ私の話はここまで。それじゃ、さっさと行った、行った。じゃあまた逢えたら逢いましょう」
 彼女はふっと薄れるように姿を消し、僕はそのあと普通に歩いて帰った。







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