進むべき道(1)
「申し訳ありません!」
シバールは、両手を着き勢いよく頭を下げた。頭と腕に包帯を巻き、怪我をしている状態でもありながら自分の失態を必死に謝罪していた。
「そう頭を下げるでない同士よ」
恰幅の良く威厳がある男が言った。
「しかし、ノストラを取り返されたのは明らかに俺の失態です。セザルさん」
「気にすることはない。ノストラを占拠するのはあくまで時間稼ぎだ」
「それは分かっていますが・・・・・・・・ノストラがあれば、進行作戦もより有利に―――――」
シバールの意見にヤザルは豪快に笑った。
「ガハハハハ。シバールよ。もともと地の利で勝てるのならば、初めから攻め立てている」
「はぁ・・・・・」
「今居る者達を掃討したとしても、奴らは元々ルナテレスに、居た者たちではない」
「・・・・・・・」
「イタチごっこだ。追い払っても、追い払っても、奴らはやってくる。ならばどうやって、ルナテレスを我がものとすればいい?」
「・・・・・・・」
「わからぬか? ならば教えよう。ルナテレスを狙う者、全てに我々の力を教えてやればいいのだ」
「・・・・・なるほど」
シバールは納得したように答える。
「作戦はすでに開始した」
「!? いいのですか!? 『ディアボロ』の起動は半月ほど先なのでは・・・・・・」
「十分だ。我々の勝利はすでに決定している」
ヤザルは再び豪快に笑った。
「一日ヒマなんだから別にいいじゃねえか・・・・・・」
「元々教官は、幽霊みたいなものだからさァ。いてもいなくても同じだよ」
「だからって夕方まで訓練する必要はねぇーだろ」
ザガランとシゼンは北部宇宙港の近くにあるショッピングモールに来ていた。
支店だけではなく。スポーツ施設や、レストランなどもある。北部で、一、二位を争う巨大な人気施設であった。
二人とも軍服ではなく私服である。
今日は、ルナテレス本隊が外宇宙における配置を実際に確認する為に、全て出頭しているため訓練部隊は、今日と明日、訓練が休みと言う事になっていた。
しかし十七部隊は、シュメルの一言で強制的に訓練となった。
十七訓練所。
「今日は夕方まで訓練よ」
シュメルは、いつもどうりの口調で言う。
「ちょっと待て! シュメル! 他の部隊は休みだぞ!」
ザガランが反論した。
「そうね。休みよ。でも、ウチの部隊には、超振動剣を投げたり・・・・・」
シュメルがザガランにつめ寄る。
「うっ・・・・」
「戦艦の上から、ユニット無しで飛び下りたりする奴がいるからねぇ!」
ザガランを睨みつけながら言う。
「どこの誰かしら? そんな事をするのは〜? ねぇ、ザガラン?」
さすがに後退するザガラン。
「ありゃ〜。さすがに勝てないかな〜」
遠くでその様子を楽しそうに見ていたキラセは言った。
「なんか楽しそうですね? キラセさん・・・・」
シゼンが聞く。
「そりゃあ。休みもらって退屈するよりはこうやって訓練してる方が楽しいからね」
「言われてみれば・・・・・・。確かにこっちの方が、なんか充実してますね」
「おっ、健全な軍人の意見だな。オード君」
と、取りとめのない会話をしていると、入口が開いた。
「やる事が無いので手伝いに来ました」
カナンが入ってくる。
「珍しい新人君も来たことだし、とっとと訓練始めますか」
「確かに暇だ」
歩きながらザガランがさりげなく言う。
「確かにね・・・・・」
「馬鹿野郎!」
ザガランは急に声を上げた。
「暇なら暇じゃなくなることを探せばいいんだよ!」
「―――――暇じゃなくなることって?」
「それは・・・・あれだ!」
咄嗟に宇宙港を指す。
次の瞬間、それが合図だったかのように、宇宙港が爆発した。
「・・・・・・・」
紅く燃える火、声を上げて逃げて行く人々。
ザガランとシゼンは一瞬、何が起こったか理解できなかったが、瞬時に認識する。
「な、なんだ・・・・」
「へっ、面白くなってきやがった」
「もしかしてリーダーが?」
「んなわけねぇだろ!」
と、二人の横を警備部隊の青いガランが三機、勢いよく通過していった。 |