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クライシス
作:古河新後



出会い エイル編(4)


 「しつこい・・・・・」

 エイルはある程度、飛べば追跡をまけると思っていたが、少し甘かったようだ。

 「余程知られると困るようね」

 機体を反転させる。数は三機。勝てない数ではない。

 「たった一機で勝てると見える」

 敵機の内、先行している一機が後ろについている二機に通信を入れた。

 「それじゃあ――――」

 「戦るか!」

 二人の合図を待ってから答える。

 「フォーメーションTだ!」

 「OK!」

 「楽しくなってきたなぁ!」

 空中で停滞しているウイグルを囲むように回りながら飛ぶ。

 「何をするのかと思えば、茶番ね・・・」

 徐々に囲いが迫ってくる中でウイグルは高く上空に浮上した。

 「逃がすな!」

 後を追う様に残りの三機も追いかける。しかし、一行に追いつくことが出来ない。

 「追いつけない?!」

 次の瞬間、ウイグルが急速降下を仕掛けてきた。あまりの速さに反応する暇もなく一機の機体を縦にレーザーブレイドが通り過ぎる。

 空中で爆散した。

 「スカル!!」

 「馬鹿な?!」

 早すぎる。こんな早いウイグルは見たことがない。

 「この野郎!」

 味方が降下していった敵ウイグルを追いかけて行く。

 「まて! バリル!」

 制止するが、目の前で長年連れそった仲間が殺され、頭に血が上っているのか、他の事はまるで聞こえていない。

 「まちやがれぇぇぇ!」

 降下して行った機体の後をぴったりくっついている。

 「なかなかだ。気づいていないの・・・・?」

 眼前に仲間の敵が迫る。

 「スカルの仇!」

 レーザーブレイドを集束し、勢いよく斬りかかる。

 「終わり・・・・・」

 次の瞬間、勢いよく吐血した。

 「な、・・・なんだ。・・・・・こりゃあ・・・・」

 操縦桿から手を放し口を覆う。さらに血を吐きだした。

 「何も対策が無いのなら、先ほどの高速移動には体が重力に耐えられないだろ?」

 「ス・・・カル・・・・」

 エイルは自由落下していく機体に向かって小型ハンドガンを連射する。

 複数の弾丸が被弾し、炎上しながら墜落すると爆発した。

 「バリル・・・・・」

 今の戦いを見て男は理解した。あのウイグルのパイロットは機体性能を全開まで引き出している。しかし、それには代償が伴う。とてつもない重力を受けるのだ。先ほどのスカルがいい例だ。急激にかかる重力にパイロット自身がついていけないのだ。しかし敵はそれに耐えつつしかもまだ戦う余力を残している。自分では敵う相手ではないかもしれない。だが、

 「目の前で同士が殺られて、黙っていられるほどお人よしではない!」

 男は敵ウイグルに勢いよく接近する。敵に残っているのは小型ハンドガンのみ。右腕部に搭載していたレーザーブレイドはスカルを撃墜した時に、あまりの高速に右腕ごと吹き飛んでいる。

 低空で飛び、ハンドガンを避わし近距離に接近すれば、勝機はある。敵が逃げるのならば後ろから射程外に逃げる前に追撃させてもらう。

 敵機はハンドガンを連射してきた。予測内の範囲だ。それらをすべて回避する。

 「当たらん!」

 ハンドガンを撃つ。左脚部に被弾し爆発した。誘爆しない所を見ると切り離したか。しかし、機体の手足を損失するということは、大幅に機動力が落ちる。すでに右腕と左足。機体性能は半分以下だ。

 「終わりだ!」

 レーザーブレイドを集束する。

 「そうね。終わりよ」

 次の瞬間、真下から高熱反応が入る。

 「まさか!? ガスか!?」

 下から浮き上げて来る炎の柱にそのまま飲み込まれた。

 「自分達の惑星でょ? 地形ぐらい把握したら?」

 爆発を確認すると、エイルはウイグルをさらに遠くに飛ばす。ここらでリヴェリオンを呼ぶのはまずい。せめて後、十キロほどは離れなくては・・・・

 だいぶ飛んだ所で機体の警告音が鳴った。

 「無茶しすぎわね・・・・・」

 確認すると、高速戦闘の代償に高空飛行機関がオーバーヒートを起こし炎上していた。しかもその炎が左腕部にも燃え移っている。

 「仕方ない」

 このままでは空中で爆発する。地面に激突するような形で着陸した。もともと装甲が薄いウイグルはとてつもない衝撃を受けた、それが直にエイルにも伝わる。

 「っ・・・」

 なんとか着陸できたものの、あまりの衝撃に意識がはっきりとしない。

 警告は相変わらず響いていた。

 まずい。脱出しなければ・・・・・

 なんとか機体のハッチを開け、転がるように外に出る。

 着陸の際に散った破片で切ったのか左腕に激痛が走った。

 「くっ・・・・」

 腕を支えながら少しでも遠くに離れる。と、

 「!」

 もうろうとする視界で人物を捉えた。ぼやけており姿ははっきりと見えないが敵であることだけは分かっていた。

 なんとか銃を握ると、敵に向ける。しかし、

 「・・・・・・・」

 意識が続かず、そのまま目の前が暗くなった。


エネミーライン編もやっと次回で後篇に突入です。それでは(^^)/











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