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パンデミック・マン 作者:ですの

パンデミック編

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第五十九話 パンデミック・レフト


「済まないツグモリ、本当に」

「良いんだ。元々長居はするつもりはなかったから気にすんなよジェシー」

ベイズアザディとの戦いから一夜が明けた。
ジェシーは朝になるとすぐに三上の元に向かい、マンハッタンのコミューンの代表者達と話し合った結果を三上に伝えたのだった。

ウィルスの原株保有者をいつまでも居させる訳にはいかない。直ぐにでもニューヨークを発って欲しいというものだった。

「本当に感謝してるんだ。ウィルス殺しの事も、昨日の戦闘の事も。でも、原株の保有者と一緒に居るっていうのはやっぱり、コミューンの人達にも安全が保障できないし」

「だから気にするなって。これでいいんだ。それに、俺もこの先どこに行くか決めたところだったんだ」

そう言うと三上は部屋を出た。
ジェシーはそれを引き留める事も出来ずに、その姿をただ目で追っていた。

三上が旅支度を初めてしばらくすると山田が現れた。

「三上君、もう旅に出んのか」

「山田さん。はい、直ぐにでも発ちます。行先は決まってます」

「次はどこに行くんだ」

「……日本です。日本に向かいます」

それを聞いて山田は驚きを隠せなかった。
日本は10年ほど前の核兵器の大量投入によって全土が焦土と化している。
放射能汚染が今後数十年は続く不毛の土地となっていた。

10年以上経ったとは言え、今そこに足を踏み入れるという事はとてつもなく危険だ。

「なんで、なんで日本なんだ? あそこには本当にもう誰もいない。ましてやウィルス殺しを配る相手なんて」

「だから行くんです。ウィルス殺しはマンハッタンに託します。増産するために必要な俺の血液や体細胞サンプルもある程度残していくので心配は要りません。本当に終わらせる為に、俺は日本に行くんです」

三上の表情がその決意を山田に伝えていた。

「……そうか。理由は俺にはわからんが、それなら日本までは俺が連れて行ってやる」

「で、でもどうやって」

「手立てはある。まあ待ってろって。その代わり暫くはお前と一緒に行動させてもらうがな。実は旅支度は俺もしてたんだ」

「マジっすか。なんかすいません」

山田は笑いながらそれを承諾した。

「じゃ、ちょっとマホーンに伝えてくるわ」

山田はそう言い残して三上の元から去っていった。

そして直ぐに山田はマホーンの元を訪れ、三上の旅に付き添う事を伝えた。
マホーンはそれを快く承諾した。

「私はこれから一部の有志たちとLAを目指す。セドを迎えに行かなければ。それに昨夜の戦いでベイズアザディが敗北したことが、早くも人伝に他のコミューンに知れ渡り始めたようだ。そうなるときっと今度はLAが戦場になる。セドを危険な目に遭わせるわけにはいかないからな」

「分かった。それじゃ、セドを連れてここに無事で戻って来いよ。俺も三上を送り届けたらすぐに戻ってくる」

二人は軽く握手を交わして、それぞれ準備を始めた。

三上が荷支度を終える頃、山田が荷物をもって三上の元に戻ってきた。

「それじゃ、行くか」

「はい」

二人はジェシー達マンハッタンの代表者達と最後の挨拶を交わした。

「いいかジェシー、西側の処理、絶対に守れよ」

「分かってる。絶対にあのエリアにはマスク無しで人は近づけさせない。大丈夫だ。しっかり守るよ」

それをあいさつ代わりにしたのか、それ以上は何も言わず三上は歩み始める。
そして橋を渡り、静かにニューヨークを去っていった。

※2017/01/15
表現の一部と誤字脱字の修正をしました。
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