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パンデミック・マン 作者:ですの

パンデミック編

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第四十八話 パンデミック・スクワッド

マンハッタン郊外。
人々の驚きの声があがった。

三上がウィルス殺しを投与した三人の男は、マスクを外されたまま24時間外で放置されていても感染する事無く生きていた。

「これがウィルス殺しだ。ウィルス殺しのキャリアーになったら、後は投与した人間が呼吸してりゃ勝手に周りのウィルスを喰ってくれる。だからいずれ街からウィルスは消え去るんだ」

三上がそう言うとジェシーに薬瓶を渡した。

ジェシー達コミューンの人間はこれを見てようやく三上の持つそれが本物であることを認めた。

「なんだってんだ……。用が済んだならもう返してくれよ」

縛られた三人の一人、ヤンが疲れきった顔でそう呟いた。

「そうはいくかよ、お前たち三人は人質としてここに残ってもらう。次にお前らの元締めの野盗がここを襲いに来た時の交渉材料だ」

ジェシーが得意げな顔でそう言い放った。
少なくともこれで野盗との戦闘はしばらく避けられるはずだと確信していた。

「俺達に人質の価値なんて無いぜ、切り捨てられて終わりだ」

それはどうかな、と三上が切り返す。

「偵察とか斥候を任せられる人間ってのは中々信用されてるはずなんだよ。しかも高そうな狙撃銃なんて持たされてるんだから尚更だ。だいたい加減ってもんを知らないのかお前らは。週イチで襲いに来るってのはちょっとなぁ」

ヤンはそれを聞いて不思議そうな表情を浮かべていた。

その日の夜、ジェシーがマンハッタンの他のコミューンのリーダー達を呼び、ウィルス殺しについての説明を行った。

ウィルス殺しを活性化させて投与可能にする為に病院の機材が必要な事を伝えると、病院付近のコミューンのリーダーがそれを快く承諾した。

順調に事が進んでいく。
しかし、ジェシーは少し不安だった。

「なぁツグモリ。あの三人の野盗共のボスがここに来た時に、本当に撃退できるのかよ。人質をとったなら、向こうも本気で襲いに来るだろう」

三上は笑いながら気楽そうに言葉を返す。

「大丈夫さ。野盗だって生活の為にコミューンを襲ってるんだから、エサを与えたら案外おとなしくなるんだ。さぁ、折角外で空気が吸えるんだ。お前も楽しんでこい」

三上が一部持っていた活性済のウィルス殺しを投与された若者達は外でパーティーをやる為に準備を進めていた。

そして彼らは冗談のような大きさの薪を組んでいた。

間もなく火が灯る。
巨大な篝火が街全体を赤く照らした。

その日の夜は久しぶりにマンハッタンに光が宿っていた。
摩天楼の放つ輝きとは似ても似つかないそれは、しかし人々の心に確かな希望を齎していた。

そして、遥か遠くからその光を見つめる集団が居た。

「LAから連絡はあったのか」

「あぁ、吉報だ。サーシャさん達の部隊をわざわざここへ送ってくれるそうだ」

「それはありがたいが、時間がかかるだろう」

「飛行屋を使うらしい。なんにせよ、マンハッタンが陥落するのも時間の問題だ。アイツらのコミューンでまともに戦える人間なんてもうガキしか残ってねえ」

今や世界最大のコミューンと化したベイズアザディ。
かつての組織の姿は影を潜めたものの、依然としてその手段を選ばない過激な姿勢は健在であった。

ベイズアザディの幹部、サイード。
その妻は合衆国に居た。

夫を含めた幹部が秘密裏に手に入れた核兵器を用いて自爆を図った事を知ると、彼女は間もなくベイズアザディの名前を引き継いだ。
そして、文明が崩壊した世界で新たな秩序を作り上げるべく、次々と避難民達を取り込み、組織を一気に拡大した。

そのベイズアザディの魔の手は間もなくマンハッタンへ到達しようとしていた。
※2017/01/15
表現の一部と誤字脱字の修正をしました。
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