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パンデミック・マン 作者:ですの

エンデミック編

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第四話 エンデミック・エスケープ

研究棟屋上。
一足先にヘリの準備をして待機していた山田が、部下数人と駐屯地の被害状況報告を整理していた。

「こりゃ明らかに素人のやり口じゃないな」

「自分もそう考えます。一端の過激派にしては、駒の進め方が上手すぎます。駐屯地の本隊も、間もなくこちらに合流できるそうですが、敵は既に二階の試験棟まで侵入してしまっています」

「それに敵の人数が分からない。宿舎も格納庫も狙われていないとなれば、狙いは間違いなくここだろうがな。全く、警戒網を潜り抜けて此処に侵入してくるなんて」

その時、眼下で強烈な閃光が発生し山田達は一瞬目を覆った。

直後に今晩三度目の衝撃と炸裂音。

急いで屋上から駐屯地の外縁を確認する山田。
彼の観測ゴーグルに映ったのは、駐屯地の外柵を乗り越え次々に基地内に侵入してくる武装した集団の姿だった。

「まずいな」

「暴動……ですか?」

「暴動にしちゃ手が込み過ぎてるだろ。さっきも言ったがこいつら素人じゃない。梅宮! 実砲の発砲許可は出たか!?」

梅宮と呼ばれた男は震える声で山田に報告する。

「まっ、まだですぅ! ぼ、防衛省の高官から直接の指令で、実弾は使用を控えろと!」

「冗談じゃないぞ……、ゴム弾と麻酔弾だけで凌げる訳が無い」

その時、研究棟屋上に唯一入る事の出来る扉が大きな音をたて荒々しく開いた。
山田達が咄嗟に武器を構えるが、そこに立っていたのは三上と高見博士だった。

「博士! 無事に辿りつけたんですね!」

「護衛に付いていた3人の隊員が何処かへ行ってしまうから中々大変だったよ、山田君。さて、早速で申し訳ないんだけどヘリは直ぐにでも出せますか?」

「いつでも飛べます。随伴は私と梅宮、小林の両陸士の三名です」

「ありがとう山田君。ヘリに乗っている間も防護服とマスクを脱がないように。三上さんの血液からワクチンを作り出す前に皆さんが感染してしまったら大変だからね、僕はともかく」

山田達は装備を整え急いでヘリに乗り込む。
三上と高見博士が後に続いた。

ローターの振動が小刻みになり、ヘリは研究棟から浮上した。

「あの、博士。俺は次はどこに連れていかれるんです?」

「夜景をしばらく楽しんでもらう事にするよ、三上さん。練馬駐屯地のゴタゴタが落ち着いたらさっきの研究棟に戻るし、落ち着きそうになければ別の駐屯地の研究棟に向かうかな。燃料が維持できればの話だけどね。まぁ数時間もすれば落ち着くでしょう。増援も他の基地から向かってるし」

三上は空から駐屯地を見下ろした。
駐屯地からは爆煙が立ち込めており、時々閃光が走るのが見えた。


「何者なんすかあの人たち。ていうか自衛隊の人達もあんなのバンバン殺しちゃえばいいのに」

「自衛隊っていうのは、そう簡単に人の命を奪う訳にはいかないんだ、三上さん」

ヘリは上昇を続け、遂には研究棟全体が手のひらほどの大きさに見えるまでの高さに到達した。

※2017/01/14
表現の一部と誤字脱字の修正をしました。
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