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パンデミック・マン 作者:ですの

パンデミック編

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第三十六話 パンデミック・ボーン


ゼルゲ教授と森崎は淡々と作業を進めていた。
次々と機材が設置されては三上に取り付けられていく。
三上の体調をモニタリングするためのものらしい。

間もなく腕に注射器が固定され、ウィルス殺しの投与が始まった。

三上は施術されている間何も感じることは無かった。
眠るわけでもなく、ただ天井を見つめていた。

しばらくして、ゼルゲ教授が話しかけている事に三上は気づいた。

「終わったよ三上君。私と森崎助手の予想に反して、思いの他すんなりと行き過ぎている。何かおかしい」

「教授お疲れ様でした。今のところは違和感とかも特に無いです」

森崎が三上から採取したウィルス殺し投与後のサンプルを機材にセットした。

「何よりまず、三上くんが生きててやったねって感じ! あたしはこれ調べてみるね〜。おじちゃんはどうするん?」

ゼルゲ教授は荷物を纏めていた。

「私は、私は家族とこの街を出るよ。家族は今地下のシェルターに避難させてあるが、間もなく危険が訪れる」

三上が思わず身を乗り出す。

「ど、どういうことですか?」

「ウィルスが蔓延するという意味では無い。実を言うと先日、ユウキから忠告をされてね。『もし僕の正体に気づいているなら、邪魔はしないほうが身のためだ』と。しかし私は尚も君達に協力した。いずれこの事は発覚するだろう」

ゼルゲ教授はひと呼吸置いてから、三上を見据えた。

「ユウキは必ず私と私の家族に手を出してくるだろう。彼にとって私は青春時代を台無しにした張本人の一人だからな。三上君、ウィルス殺しを使って少しでも多くの命を救って欲しい。私達はもうこの先二度と会うことは無いだろうが、どこか遠い所で私もこの世紀の発明で一人でも多くの命を救う事に尽力する」

ゼルゲ教授はそれだけ話すと、別れの挨拶も無く研究室を去っていった。

「……おじちゃん行っちゃったね〜」

「そうですね……。森崎さんはこの後どうするんですか?」

「まずはぁ〜、三上くんのバイタルチェックして、ウィルス殺し投与後の三上くんから採ったサンプルもチェックして三上くんがヤバイ感じにならないか観察タイムかなぁ」

「わかりました。その後は?」

「三上くんが大丈夫な感じ、ちょー安全な感じなのがわかったら、あたしのコネパワーをフル活用でこのウィルス殺しを量産してくれそうな友達のところに行ってくるよ〜」

「いずれにしても、しばらく俺達もお別れですね」

「えっ!? 一緒に来ないん!?」

「……そうですね。多分、多分なんですけど、俺と一緒に居ると危ないですよ。それに俺は多分やらなきゃいけない事がありますし」

「そっかぁ〜……」

森崎はそれを追求してくる事は無かった。
グルッと椅子を回転させてデスクに向き直り、サンプルの検査を再開した。

三上は平静を装っていた。
しかし心の奥底から湧き上がる黒い感情に徐々に思考が支配されていった。
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